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トレイルデザイン-Retaining Walls

Retaining Walls

JMTを歩いていて感心させられる物の一つに、石で組まれた壁や階段があります。重機も入れられないような山の中で、いったいどうやってあのような大きな石を組むことができるのか不思議でなりません。特に目を見張るのは、峠を越える際によく見られる壁「リテイニングウォール」です。JMTは基本的に馬が通れる様に作られています。馬でも岩だらけの高い峠を越えることができるのは、石や岩を扱う高度な技術があるからこそではないでしょうか。

リテイニングウォールは日本語に訳すと「擁壁」といったろころでしょうか。主にスイッチバックや急な斜面に設置され、石で作る方法(rock retaining walls)と木で作る方法(log crib wall)があります。今回は石で作る「ロックリテイニングウォール」を取り上げたいと思います。

Rock Retaining Walls

とはいえ、一朝一夕に身に付けられる技術ではないと思いますので、基本的な部分を掻い摘む程度に・・・。

まず基本的に石は大きい方が安定するため、大きい石に越したことはありません。石の半分は60kg以上の(恐らく直径30cm以上の石)ものを使うことが推奨されています。また、石は平らな面がある石が理想的です。川で転がって角が丸まった石は不向きです。

そして、組んだ石は山側によりかかる様に傾斜させます。できれば、高さ:奥行きが2:1〜4:1の割合になるようにします。

一番下の石は基礎となる石ですので、一番大きな石を使いましょう。そして重要なこととして、石の下の地面はインスロープにすることです。そうすることで、荷重が山の斜面に寄り掛かるようになります。また、地面に埋まるように設置することで、強固な壁となります。

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Figure 75(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)

Rock Removal

トレイルを作る「トレイルクルー」として一番大切なのは自身の安全を確保することです。特に石など重い物を扱う時は最善の注意が必要です。石を動かすような作業は、念密な計画と熟練した技術のもとで行いましょう。「Trail Construction and Maintenance Notebook 2007」にはこんな言葉が出てきます。

Brain First,Muscle Last

Use Brains Not Brawn for Heavy Lifting

Your most important tool is your brain—use it.

要は「もっと頭を使え!頭を!」ということでしょう。ちなみに石を動かすのにロックバーという道具を使っているそうです。

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Rockbar(Trail Construction and Maintenance Notebook 2007より)

参考

Trail Construction and Maintenance Notebook 2007


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