”黒岳石室と僕たちを巡る話” 第6話 公衆電話ありませんよ
黒岳石室Q&A5
夏山シーズン真っ盛りですが、黒岳石室へは行きましたでしょうか?今回は本題に入る前に黒岳の様子をお届けします。
黒岳ロープウェーの五合目駅では100周年記念のパネルが展示されるなど、100周年仕様となっいます。
100周年記念木札(¥770-)が売られていて、売上の10%は登山道整備に寄与されるそうです。
黒岳石室まで行くと、ここでしか買えないオリジナルグッズも販売しています。
公衆電話ありました
さて、それでは今回の本題に入りましょう。黒岳石室に実際に訪れた人は見たことがあるかもしれませんが、石室の受付のある部屋の壁に「公衆電話(ありませんよ)」という謎の看板が飾られています。いったいこれはなんなのでしょうか?実は、かつて黒岳石室に公衆電話が設置されていた時期があったのです。
この公衆電話が最初に設置されたのは、『上川町史』によると1963(昭和38)年のことだそうです(1962年とする資料もあります)。この時に公衆電話とあわせて遭難防止灯と遭難防止サイレンも設置されたようです。少なとも1984(昭和59)年までは毎年設置されて、夏山シーズンの風物詩だったようです。
黒岳石室の公衆電話を物語る資料として当時の新聞記事が残されていますので見てみましょう。
今となっては街中でも、見かけることが少なくなった公衆電話ですが、当時に無線を使った公衆電話があったということも驚きです。具体的に何年まで設置されていたのかは定かではありませんが、もともと緊急連絡用に設置されもののようなので、無線機などが普及するにしたがって設置する意義が薄まって、設置されなくなったのだろうと想像できます。
今となっては黒岳山頂であれば携帯電話で電話をかけることができるので、あまり新鮮味はありませんが、当時山の中から電話をかけるというのはなかなかできなかった体験だったでしょうから、登山客にも利用できるようにしていたというのは粋な計らいですね。
ということで、黒岳石室にかつてあった公衆電話の紹介でした。また、次回をお楽しみに!
▼ 第7話 ▼
(準備中)
参考文献
『上川町史』
『北海道新聞』
吉田友好『出典準拠[増補]中央高知登山詳述年表稿』