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プロデューサーはペテン師か?

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九州、大分、日田。田舎に暮らしつつ、全国で多様な分野のプロデュース。そんな日々の問わず語りを13年、1300話以上のブログを書いてきた。noteにも徐々に新旧記事を転載中。htt…
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#料理

鍋とリール。 2020.1.7

料理をすることが増えた。我が家の事情でそうなったのだが、それが日常になってくると、いやでもスキルは上がる。味噌汁を作る鍋、炒め物などをするフライパン。鍋類で多用するのは、だいたいこのふたつ。鍋はともかく、フライパンは片手で振り回すことになる。 パスタなどは、茹で上がった麺を、具を準備したフライパンに投げ込み、一気に和える。その時、フライパンは左手で保持、右手で菜箸を操るのが相場。卵焼きも、溶き入れた卵を右手の箸で返しつつ仕上げていく。勢い、フライパンは左手で操るのがやりやす

麺が長すぎ。 2019.9.2

日常の何気ない小事が、生活を根本から変えるきっかけになる。一方、特段大事には至らないために、見過ごされ、繰り返される小さな障害がある。大きな満足を追い求めつつも、ちょっとしたつまずきを無くす工夫が、意外や意外、こころの安寧をもたらしてくれる。 普段の幸福って、満足と不満のバランスシートでできていると思うのは、僕だけではないだろう。なにも大袈裟なものじゃなく、ホントにちょっとしたこと。例えば、うどんの麺の長さ。温うどんでは気づかないが、ツユに浸けるおろしうどんなどで発覚する長

山上の夜宴。 2019.8.26

僕は2年ぶりの参加だった。この山上の宴は、男池散策と並ぶ、ここのえ低山部の主軸の行事になってきた。翌朝、近所の山に登るのが唯一の低山部らしい活動だが、主役は飲食とお喋り。F隊員が営む標高800mにある旅館叶館の、美しく手入れされた庭が宴会場だ。 当初は、F隊員が料理を担ったが、それでは本人が楽しめないと、料理人を立てるようになった。イタリアン、フレンチと来て、今年は和食。とても幸運なことに、料理人たちが来たがってくれる。一方の主役として、後半はお喋りの輪に入るのも楽しいらし

鮎、福島へ。 2019.6.30

東日本大震災から5年が過ぎた頃、福島県のブランド推進課の皆さんが、日田を訪ねて来られた。曰く、ようやく本来の仕事に戻れますと。この未曾有の災いに関しては、日本中が胸を痛めたが、かと言って何をすればいいのか、途方に暮れた方が大半だったに違いない。 かく言う僕もそのひとりだった。それがこの3月についに現地へ赴き、ブランディングについてお話しする機会をいただいた。テーマは、栽培に成功したばかりのホンシメジで、農家の方や飲食業の方が参加してくれた。その中に、お隣郡山でイタリアンレス

菜の花パスタ。 2019.4.3

ほぼ2年半の逆単身赴任で、普通に自炊をしていたのだが、生来の凝り性なのでついつい工夫を思いついてしまい、止められなくなることがある。もっとも、そもそも時間もないので、もっぱら簡単で美味しく、後片付けも楽なことが最重要課題。するとそれはそれで。 買い物もできれば回数を減らしたいので、進化したレトルトやインスタントもやむなしと覚悟を決めていた当初、それでもちょっとした手間で、美味しくなったりするとまたあれこれ考えてしまうのである。そんな中、パスタは大好物なのに、なぜか手を出さな

板場の包丁。 2019.2.28

このタイトルを別の言葉に変えるなら、「職権の使い方」になるだろうか。職権、つまり職業にまつわる権力は、必要なものである。丸腰の板場なんて意味を成さないのと同じ。職務を遂行するために与えられる刃物。それは鋭利であればあるほど仕事では役に立つ。 ところが、板場なら旨い料理を拵えるための大事な道具が、それ以外の目的に使われることがある。刃物は常にそうだが、他人を傷つける武器にもなる。鋭いほど、誤用の弊害は大きい。職権の濫用は、世に時折起こる喜劇だが、腹立たしい出来事でもある。職権

料理はデザイン。 2018.8.1

料理はまさにデザインそのもの。僕があちこちでばらまく繰り言のひとつである。まったく同じ食材が、料理人の見立てと技術によって、実に多様なメニューに変化する。デザインの本質をこれほど言い表せる切り口はない。ここが豊かだと、僕らの人生も豊かになる。 20代終盤は料理をしていた。いまから1年半ほど前から、また料理をしている。逆単身赴任が理由だが、昔とは状況が違うので、また新たに食事のパターンを考える必要があった。日々買い出しなんてできないし、その中でできるメニューを捻り出した。これ

ドンブリの正義。

基本、ドンブリ勘定である。数値より、言葉で伝えたい。定量じゃなく定性ということだ。体調がいまいちのときエクセルを見ると、吐きそうになる。発想にしても、工程にしても、評価にしても、緻密な数値が伴うことが進化のように言われる風潮には、拒絶反応がある。 何にしても複雑よりもシンプルが優れている。同じ機能ならハイテクよりローテクに分がある。ルールは多いより少ない方がいいに決まっている。しんどいより楽な方がいい。セカセカよりノンビリがいい。変わらぬ結果なら、適当、塩梅、案配、手加減、

なにげに家事。 2018.2.5

家事とひとことで言うけれど、その種類と頻度とボリュームたるや大仕事である。いつのまにやら、それは主婦の仕事のように、女性の仕事のように思われてきた。しかし、子供から見ても、男から見ても、母や妻に任された家事は、大変だなと感じることが少なくない。 若い頃からそんなことを思ってきたので、家事を誰かがしてあげないと生きていけないなどという無様はご免被りたくて、一通りは最低レベルだろうけれど、やれる。夫婦2人の時は、家事は分担したし、家族が増えても役割を変えつつ続いた。いまは逆単身

晩秋の夜宴。 2017.11.7

村にいた頃は、日常的に宴を開いていた。屋外デッキや座敷、キッチンカウンターで、多彩なゲストと楽しいお喋りと料理を楽しんだ。日田に越してからは、家族を取り巻くそれぞれの事情が変わり、随分と数が減った。そこへ来て、昨秋からの逆単身赴任の生活の始まり。 僕と臼田君は、馬齢を重ねたベテラン釣り師。毎年、何度か一緒に川へ出掛ける。そこへ、小社ディレクターの川嶋君が今春から、感性研修と称してフライフィッシングを叩き込まれ、時を合わせるように竹田でゲストハウスを開業した西田君がテンカラを

竹田料理男子。 2016.10.30

昨日から雨。ここのえ低山部の紅葉登山の目論見も潰えてしまった。 数ヵ月前から、大分竹田に通っている。あるプロジェクトがスタートしたためだが、並行して他の案件もオファーがあった。農政課が企画する地産農産物のプロモーション、その試食会をプロデュースすることになったのである。はて、普通じゃもちろんつまらない。 この時季、竹田の特産のひとつであるカボスは、それまでの鮮やかなグリーンから黄金色になり、その味も成熟するらしい。これをゴールデンカボスと称して、関東圏の飲食店などにプロモ

秘密基地の宴。 2016.8.7

今日は山の日だとか。日田は最高気温予想、39℃。そりゃ、あんまり。 そんな炎暑を避けて、標高1000m近い秘密基地に集まろうということになった。こんなことを考えるのは、ご存知ここのえ低山部。昨夏、いい思いをしたので、恒例にしようとの目論見だ。山の中腹に建つ小さな宿。その美しい庭が宴会場。今宵はイタリアンなのだ。 実は日中、鮎釣りに行った。8月の声を聞いて魚の気配が極端に薄れている。釣果は案の定だったが、気を取り直し、帰宅すると荷物を山セットに積み替え、Macの入った移動オ

豊後大野で。 2016.4.18

14日の地震のあと、16日にも大きな揺れ。大地が鎮まることを祈るのみ。 その数日前、豊後大野の郊外でパン屋を営む、釣友でもあるU氏とともに川に入った。普段は、数ヵ所のホームグラウンドをウロウロするだけなのだが、年に数回だけ美しすぎる川に惹かれて遠出をする。いつも、夕まずめの小一時間を釣るだけののどかな釣り。 今回は泊まり。嬢ちゃんが進学で家を離れたので、ゲスト扱いで甘えさせていただく。泊まりのいいところは、もちろん酒。前日、僕がプロデュースをする日田の井上酒造の蔵開きイベ