WACC
Weighted Average Cost of Capital (加重平均資本コスト)
資本コストの代表的な計算方法について解説いたします
WACCとは、資本コストの代表的な計算方法で、借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したものである。Weighted Average Cost of Capitalの略で、加重平均資本コストともいう。
具体的には、資金を1円調達するために、いくらのコストがかかっているかを示すのが、加重平均資本コスト(WACC)のことである。
ビジネスでは、WACC以上の利回りをあげることができれば負債コストと株主資本コストの両方をカバーし、債権者と株主を共に満足させることができる。
そのため、WACCを、超えなければならないハードルになぞらえて、ハードル・レートと呼ぶこともある。WACCは以下の式により求めることができる。
WACC=D/D+E × rD × (1-T) + E/D+E × rE
D:負債総額
E:株式の時価総額(=株価×発行済み株式数)
負債コストには、節税効果(金利費用が税控除されることによるコスト低減効果)があるため、WACCは、rDとrEの単純な加重平均にはならず、rDについては(1-税率)を掛ける必要がある。
例えば、資金調達の60%を負債、40%を株主資本に依存している企業があるとする。この企業の(平均)負債コストが5%、株主資本コストが15%、法人税率が40%とすると、WACCは次の式で求められる。
WACC=60%×5%×(1-0.4)+40%×15%=7.8
負債コストは比較的計算しやすい。債権者に対して支払うコストとは、主に利息(金利)だからだ。
ただし、企業が借入れの対価として銀行の当座預金に一定の残高を預けることによる機会損失や、手形割引の割引料など金利以外で支払われるコストがある場合は、これらも年利換算して加算する。
負債額についても、割引発行などがある場合は、額面ではなく、市場価格に換算する必要がある。
負債コストに比べて、株主資本コストを推定することは、以前は困難であった。株主資本は企業側から見れば返す必要のない資金だ。
とくに、株の持ち合いが広く行われていた日本では、かつては、配当だけ支払っていればよい低コストの資金と誤解されることもあった。
しかし現在では、CAPM(資本資産価格モデル)などを使い、株主資本コストを推定することが実務的に行われるようになっている。
以上
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