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NPV(正味現在価値)

その投資によってどれだけ利益を生み出すことができるのか?


NPV(Net Present Value:正味現在価値)は、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標である。今回はNPVについて解説する。

NVPは「その投資プロジェクトは利益を生むか?」「他の投資案と比べてどちらが有利か?」など、投資の意思決定を行う際に用いられる指標である。

1.NPV(正味現在価値)のポイント
PV(現在価値・割引現在価値)とは、将来獲得するお金の現時点における価値である。

NPV(正味現在価値)とは、投資によってどれだけの利益が得られるのかを示す指標であり、投資の意思決定をするために用いられる。

・理論的には、NPV=0ならそのプロジェクトに投資しても利益は出ないということであり、NPVが0以上なら有利で、大きいほど良いとされる。

2.PV(現在価値)とは?
・NPVを理解するために、まずPVについて説明したい。PV(Present Value:現在価値・割引現在価値)とは、将来獲得するお金の現時点における価値のことである。将来受け取ることができるお金を現在の価値に換算する。

3.PV(現在価値)の計算式

PV(現在価値) = 将来受け取る金額 / (1 + 利率・割引率)^n年後

・^nは、n乗という意味。たとえば、銀行預金の金利が5%だとした場合、1年後に手にする100万円のPV(現在価値)は、100万円 / (1 + 0.05)^1 = 952,381円となる。

・今、952,381円を年利5%で銀行に預けると1年で100万円になるため、1年後の100万円は現在の952,381円と等しいという捉え方ができる。

・同じ条件で2年後の100万円を現在価値で計算すると、100万円/(1+0.05)^2=907,029円となる。

※なお、計算結果は1円未満を四捨五入している。

4.現在価値を求めるときには割引率を使う
・上記の例では、現在価値を求めるのに銀行の金利を使ったが、一般的には「割引率」という指標によって現在価値を求める。この割引率が小さくなればなるほど、現在価値は高くなる。企業の投資判断の際に用いされる割引率は、一般的には「資本コスト」である。

〈参考〉
資本コストの代表的な計算方法が、「WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)」である。WACCは、株主資本コストと負債コストをそれぞれの時価で加重平均して求める。

5.NPV(正味現在価値)の計算式

NPV(正味現在価値) = PV(現在価値) - 投資額

・投資によって将来発生するキャッシュフローの現在価値(PV)から投資額を差し引いて求める。

6.NPV(正味現在価値)は投資プロジェクトの評価指標である
・NPV>0なら、そのプロジェクトに投資する。また、2つの投資案件を見比べる場合は、両者のうちNPVが大きい方を選択する(NPVは大きければ大きいほど良いとされている)。

・実際に、投資案件を例にして考えてみたい。以下ABCの投資案件のNPVを計算して、どれか1つを選択してみる。

①投資案件A(PVが1,800万円、投資額が2,000万円)
→NPVは−200万円になる。NPV<0であるため、投資すべきてはないと判断できる。

②投資案件B(PVが2,100万円、投資額が2,000万円)
・NPVは100万円になる。NPV>0であるため、投資すべきという判断になる。

③投資案件C(PVが2,300万円、投資額が2,000万円の場合)
→NPVは300万円になる。NPV>0であるため、投資すべきという判断になる。

・投資案件Bと投資案件Cを比較すると、CのNPVの方が大きいため、投資案件Cが優れていると考えられる。

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企業が永続的に成長するためには、どの投資案件を実施するか?この意志決定のスピードと精度が求められる。NPVを含めて総合的に判断することが重要と考える。

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