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経営戦略/ 「VRIO分析」について


「VRIO分析」とは、自社の経営資源を他社と比較することで、競争優位性を明らかにできるフレームワークである。

経済的価値、希少性、模倣可能性、組織の4つの観点で分析することで、経営資源の強みや弱みが判断できるだけでなく、競争優位性がどの程度持続するかも分析することができる。

本記事では、VRIO分析とはどういう経営戦略なのか。わかりやすく解説する。


〈目次〉
1.VRIO分析とは? 
2.VRIO分析の4つの要素
(1)Value:経済的価値
(2)Rarity:希少性
(3)Inimitability:模倣可能性
(4)Organization:組織
(5)Value(経済的価値)
3.VRIO分析を行うことのメリット
(1)自社独自の強みを生み出せる
(2)自社の弱みも把握できる
(3)経営戦略の見直しに役立つ

1.VRIO分析とは?
VRIO分析とは、ヒト・モノ・カネ・情報といった自社の経営資源の競争優位性を理解するためのフレームワークである。

経営資源に着目する点がポイントで、そこから自社の強みと弱み、優位性をどの程度持続するかが明確にできる。

なお、VRIO(ブリオ)分析は、1991年に米国の経営学教授であるジェイ・B・バーニー氏が自著『企業戦略論 競争優位の構築と持続』の中で提唱した、比較的新しいフレームワークである。


2.VRIO分析の4つの要素
VRIO分析では、以下の4つ要素が分析対象です。それぞれ、どのような点を確認すべきか詳しく解説します。

(1)Value:経済的価値
(2)Rarity:希少性
(3)Inimitability:模倣可能性
(4)Organization:組織
(5)Value(経済的価値)


経済的価値の評価では、自社の経営資源が顧客や社会に対して費用を支払いたいと思える価値を提供しているか評価する。

例えば、顧客が自社の商品やサービスに対して、継続的に対価を払うだけの価値があるかといった視点から分析を進める。

なお、ここでいう価値とは、単に会社の資金だけを指す訳ではないため注意が必要だ。建物や設備、社員の能力、企業の持つノウハウなど、ヒト・モノ・カネ・情報の全てが価値に含まれる。

自社の経済的価値が評価できない場合、需要が先細りし、ゆくゆくは事業の存続事態が難しいと判断ができる。


(2)Rarity(希少性)
希少性の評価では、自社の経営資源が他社と比較して、どの程度希少性が高いかを確認する。
希少性が高ければそれだけ他社と差別化しやすく、模倣もされにくくなり、顧客からの支持も集めやすくなる。


ここでも商品そのものだけでなく、従業員の接客姿勢、加工技術、流通過程など、企業の持つあらゆる経営資源について比較が必要である。
自社の経営資源を他社も保有しているなら、希少性は低くなる。

一方、他社が保有していないのであれば、希少性は高くなるものの、次に紹介する模倣可能性が高いときは注意が必要だ。
簡単にマネできる希少性であれば、自社の市場での競争優位性は一時的なものとなる。


(3)Inimitability(模倣可能性)
模倣可能性の評価では、自社の経営資源が他社にとってマネしやすいかどうかを確認する。
マネしづらければ、他社との差別化を長期間維持でき、市場で優位な状態を継続しやすい。


商品であれば、そのものを模倣できないことはもちろん、その商品の生産体制を容易にコピーできないことも大切だ。

また、技術面であれば特許申請など法的拘束力により、他社の模倣可能性を低く抑えることが必要となる。

一方、自社の経営資源がマネしやすいなら、現在は市場シェアが高い状態であっても、すぐにシェア率を追い抜かれる恐れがある。
例えば、飲食業であればメニューや業態は模倣しやすいため、他のポイントで模倣を困難にするなどの対策が必要だ。


(4)Organization(組織)
組織では、自社が経営資源を活かせるだけの組織体制となっているか評価する。
なお、組織評価に関しては、他社との比較よりも自社内の分析がメインとなる。


組織の評価では、人材採用・人材育成、人事異動、報酬体系など、組織内のフロー全般を確認し、継続的に組織運営を続けられる状態か確認する。

これまで説明した経済的価値や希少性、経営資源のマネのしづらさは、それらを活かせる組織作りが行われていないと、本来のポテンシャルを発揮できない。
言い換えると、組織が整っていなければ宝の持ち腐れとなってしまう。

VRIO分析では、経済的価値、希少性、模倣可能性、組織の全てが整っている状態を目指します。


3.VRIO分析を行うことのメリット

VRIO分析では、自社の内部環境の強みと弱みを把握できるため、それらを活かしたり補強したりする経営戦略の立案に役立つ。VRIO分析で得られるメリットを解説する。


(1)自社独自の強みを生み出せる
1つ目のメリットは、自社独自の強みを生み出せることである。新規事業であれば、自社の経営資源の特徴を他社と比べることで、より客観的に自社の状態を把握できる。

希少性や模倣可能性など、強みになる部分が見つかれば、そこを重点的に伸ばすことで、他社との差別化の強化にもつながる。

既にある程度成長した企業であれば、VRIO分析はコア・コンピタンスの発見にも役立つ。コア・コンピタンスとは、模倣されにくい自社の強みのことだ。

コア・コンピタンスが分かれば、それを軸にして経営を行うことで、市場変化にも対応できる経営戦略の立案が可能となる。


(2)自社の弱みも把握できる
2つ目のメリットは自社の弱みも把握できることである。VRIO分析は競合他社との比較や自社内部の分析により、自社の経営資源の弱みの発見にもつながる。

例えばオリジナリティが強い商品で、現在は売上が順調に伸びていても、模倣が簡単であればすぐに市場の形勢が逆転するかもしれない。

また経営資源が豊富であったとしても、それらを活かせる人材が数名しかいないのであれば、退職などがあったときに窮地に立たされる恐れがある。

状態が悪化する前に、弱みを見つけ克服する手段を講じられる点は、VRIO分析のメリットだ。


(3)経営戦略の見直しに役立つ
3つ目のメリットは経営戦略の見直しに役立つことである。自社資源の強みと弱みが分かれば、それらを活かしたり補完したりする経営戦略の立案が可能となる。

市場環境は常に変化しているため、定期的にVRIO分析を実行すれば、経営戦略の見直しにも役立つ。


なお、VRIO分析を経営戦略に活用としては、短期的な戦略よりも中長期的な戦略の立案に適している。

参照元: 「博学総研」Webサイト

以上

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