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ようこそ、「フィギュアの技法」に


はじめに

ここは、商業フィギュア造形家(俗に原型師などと呼ばれる)榎木ともひでのこれまでの作品紹介と、それらの作品の技術的なテーマをまとめておくためのページである。他の造形家があまり扱わない話も多いと思うので、ぜひゆっくりご覧になっていただきたい。

タイトルについて

『フーガの技法』は、間違いなくバッハの最高傑作だ。彼の音楽は複雑に入り組んだメロディラインで構成されている。

『アストリッドとラファエル』シーズン1第10話『五線譜の暗号』より

今、最も夢中になって観ている仏のミステリドラマ『アストリッドとラファエル』に上記のような台詞が出てくる。バッハの音楽がいかに精緻に組み立てられているか、それはパズルに例えられるようだ・・・という、亡き父の話を、主人公が思い出すシーンだ。
このnoteのタイトルを考えているとき、ふとその台詞を思い出した。
フーガの技法」「フィギュアの技法」。なんか似てる。
「おい、なんだ、ダジャレかよ!」
はい、そのとおり。
Wikipediaによると、「フーガの技法」は英語だと「The Art of Fugue」(独語:Die Kunst der Fuge)。
FugueをFigureに変えて、翻訳エンジンDeepLにかけてみたら、第一候補に「フィギュアの技術」と出てきた。なんか、ちょうどいい。
ARTという言葉が入っているからと言って、榎木がイキって芸術家気取りをするページを始めた、というわけではないのでご安心を。

では内容は

2023年で商業原型を作る造形家として25年を迎えて、ここらで自分の仕事を少しまとめてポートフォリオとして見せられるものを作っておこうと思った。
これまでネットでは、Twitterでちょろちょろ垂れ流してきたが、しょせんその日その日に流れて消えていくもので、後で参照するのが難しく、またフォロワー以外は目にする機会もないだろう。
普遍的に資料を残しておける場所が必要だったということである。

パズルのように

先のドラマの主人公はパズルに執着する性格が与えられており、バッハに惹かれるのも、そのメロディの構成がパズルと共通するものがあるのを感じているからのようである。
これまでの25年間、ひたすらアニメや漫画などの二次元だからこそ表現可能な線や面を、いかに立体として成立させるかばかりを考えてきた。
それはあたかも不可能図形を立体化するのに似ている。
解けないパズルに挑戦するように。
現代の(美少女ものを中心とする)フィギュアはその多くが、もはやそれを考えるのを止めて、立体だけが持つ魅力や整合性を捨て、テンプレートのたいやきの型にあてはめることで生産性をあげ、効率化し、数の力で「それが正解」であるかのように主張しているように見える。
ユーザーもそれで満足しているのだから、そういう道もあるのだろう。否定するつもりもないし、それを求められれば仕事として応えるし、積極的に取り入れることさえある。
だが、先達たちが求めあがき、掴みきれなかったものがあるのを知っている自分は、開き直ることにちょっとだけ抗いたい。少しでも挑戦しつづけていたい。
だから「フィギュアの技法」というパロディタイトルが、自分には妙にしっくりくる。
ここでは、解けるか解けないかわからないパズルのような「二次元→三次元」の答えを求めた記録が多くなるはずだ。
中には、いちからフィギュアを作った人にしか通じにくい話もあるかもしれないが、なるべく平易に進められればと思っている。

プロフィール

ここでは、あちこちで使われているテンプレートのプロフィールをあえてそのまま。

榎木ともひで Enoki Tomohide
1974年、和歌山県に生まれる。eyewater所属。フリー原型師。

高校時代はマンガ家を志していたが、専門学校卒業後、造形の道を歩む。
男臭いバイオレンスものから女性好みの児童文学まで、また可動フィギュアから高密度ヴィネットまで、あらゆるジャンルのアイテムを魅力たっぷりに、造型物として破綻無く再現する圧倒的技術力とセンスは、業界内でも比肩するものがない。

榎木HPより

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