ウマ娘プリティーダービーを見た感想
1期、2期を一気に視聴しました
ウマ娘のゲームは未プレイ、競馬知識は0、レース結果は史実通りであることやレースに勝ったウマ娘がライブをできることなど表面的な情報は知っていました
1期と2期で出てくるウマの世代が違うという話を聞いていたのでてっきり登場するウマ娘ががらりと変わるのかと思っていたのですが、レースのエピソードが描かれるキャラクターの違いだけでお話の時間軸は1期と2期で同じ時間軸なのに驚きました
感想としては2期の話のが多くなります、またwikiなどでモデルになっている競走馬の事を調べたりはしていないのであくまでアニメを見ただけの感想なので現実やそれとリンクしている情報は間違えたり勘違いしている点も多くあると思います
・ドラマある史実は全体通して見て楽しい訳じゃない
2期の主人公トウカイテイオーの話です
実際の競走馬では怪我したら即引退ということも珍しくない中、何度も復帰するのはすごいことなのだろう、特にアニメ最終話で三度目の骨折をして引退するだろうと思われている中でレースに復帰し強力なライバルを押しのけて見事勝利し奇跡の復活を遂げるというのは最高にドラマチックだ、このエピソードが感動的だからトウカイテイオーは主人公に選ばれたのは間違いない、そしてアニメのラストにこのエピソードを持ってくることを前提として他のシナリオが組まれている、しかしそれはクライマックスに感動的なドラマがあることは保証されてもストーリー全体が面白くなることは全く保証されていない
トウカイテイオーのストーリーとしては怪我→復帰→怪我→復帰の繰り返しで正直あまり面白くない、理由は色々あるんだろうが基本的には同じことの繰り返しであることが一番大きいように思える、1期でのサイレンススズカの怪我からの復帰の話でそういうドラマは描き切ってしまっているというのもあるだろう、史実でも度重なる故障から復帰している!ドラマチックじゃないか!と主張することもできるが史実と一致している=面白いとは別にならない、ラストのエピソードも怪我→復帰という基本的属性は同じためそのドラマを細かく描写して盛り上げるために他の復帰エピソードはわざと坦々と消化しているような感じもして全部見たうえで思い返すとよりつまらなかった気までします
・ライバルらしいキャラはライスシャワーだけでは?
ライスシャワー関連の話は面白かったです
ミホノブルボンの三冠達成を阻止して勝ったのに賞賛を貰えなかったのがライスシャワーです、そのライスシャワーがもう一人の主人公であるメジロマックイーンの春の天皇賞の3連覇も阻止します
ミホノブルボンに勝った時は観客たちが求めていたブルボン3冠達成のドラマを邪魔した悪役として観客からすごい冷ややかな目で見られてしまいます、テイオーのストーリーがカッコいいから感動的なように感動的な史実が生まれることを求めるファンの期待をぶち壊してしまった訳ですね、誰かの夢を壊してしまう誰からも求められてないと悩んでしまいますが色々あってレースを続けてメジロマックイーンの春の3連覇も阻止、そしてそこでもやっぱり冷ややかな目で見られてしまいます
ここで面白いのはメジロマックイーン戦のときは最初と違い連覇を阻止する役割を期待されている側面も描写されていたことです、3連覇達成というドラマを求めてる人が大多数ですがそれを阻止する悪役の存在っていうドラマを求めてる層がいて、いざ事実としてそれが起こってみると後の時代(ウマ娘がやっている今)に阻止したことがドラマチックな史実として使われているという点に面白さを感じました
基本的にどのウマ娘も具体的な理由はあまり描写されずに私が勝つ!っていう目的しかないのですがライスシャワーはこの悪役としてのドラマを持っていたため明確にこちらを倒しにくる感じがライバルらしいキャラとして唯一性を持っているような気がします
ただドラマの描写としてそう描かれているだけでライスシャワー自身は他のウマ娘と目的意識はあまり変わりません、なのでその後登場したときは特にライバルとしての役割は持っていませんでした
・ドラマを飾り立てるためのキャラクター
ツインターボは何のためにいたのか
実際の馬は人格を持ちません(例えば競走馬の方のライスシャワーを悪役とするのは見ている人がそういうドラマを付けるから生まれる属性であって実際のライスシャワーの人格ではない)が、ウマ娘は人格があって話したりキャラクター同士の関係が生まれます、レース結果は史実に基づいている(調べてないけど時間軸は結構ズレあると思ってる)のでレースを描写するには現実のレース結果を使わなければなりません
ツインターボはアニメでは見る限りあまり強い馬じゃなさそうですが、ライスシャワーなどアニメで活躍した馬がでているレースで勝利したことがあり、そのレースがシナリオ上でトウカイテイオーを勇気づけるために使われました
実際の馬は人格がないのでテイオーを勇気づけるとかそういうのは当然アニメの創作です、トウカイテイオーが主人公な理由はドラマチックな史実があるからと最初の方に書きました、そういう意味でツインターボはシナリオ上都合の良い史実があるからこの役に選ばれた可能性もあると思います
主人公のいるアニメという媒体では仕方ないことかもしれませんがキャラクターコンテンツにおいてあるドラマを飾り立てるためにキャラクターが設置されている感じがするとなんか良い気しないんですよね、本人の史実ドラマを主人公のドラマの引き立て役にされると史実の悪用って感じもちょっとします、その辺は全部のキャラクターが主人公になれるゲームでねってことなのかもしれません
・挿入されたフィクション
アニメ見て好きになったウマ娘はエルコンドルパサーです
1期でも基本的には最後のエピソードを決めてからシナリオ構成をするという作り方をしていると思います(ただ初アニメとして視聴者が見やすいように序盤中盤終盤に見どころある主人公を選んでいる感じはしますね)
1期のラストはフランスからきたブロワイエとの対決でその強さを予め視聴者に見せて最後をドラマチックに描くためにエルコンドルパサーが登場しています、そういう意味では2期でいうとツインターボと同じポジションといえますがこちらは本人の強さやストーリーも色濃く描かれていたこともありシナリオを作るための道具として使われている感じは全くしませんでした、そしてなにより主人公のスペシャルウィークと直接対決して同着という結果を出しています、道具どころか第二の主人公(2期でいうメジロマックイーン)といってもいいぐらいです
でもこの試合なんとエルコンドルパサーは実際にはレースに出ておらずウマ娘にしては珍しく創作らしいんですよね、サイレンススズカがケガから復帰するのも創作で1期は史実を逸脱した創作要素が多くみられます、怪我が原因で安楽死というのはアイドル要素のあるキャラクターコンテンツとして実行することができないので生き残るのは不可抗力だと思いますがレースの結果にフィクションを取り入れるのは色々と意見があったようでこれが2期の史実重視の方向性に影響与えたのかなとは思います
ただ史実=楽しいみたいな固定概念を捨てれば(トウカイテイオーの話で全編通して楽しい訳じゃない話はしました)フィクションを織り交ぜていった方が創作物のストーリーとしてはむしろ楽しくなると自分は思います、元の馬に人格がない以上はレース結果以外のキャラクターのやりとりや心理描写なんかは全部フィクションであると言い切っても間違いではないわけですし、ライスシャワー関連の話が楽しかったので2期も好きでしたが全体通して楽しく見れてたのは1期の方でした
ただ史実ドラマを重視する人からすると事実に人格を勝手に付け足すのと事実を改変するのは全然違うんでしょうね、何かの批判によく使われる「それウマ娘でやる必要ある?」ってやつなのかもしれません
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