尾崎放哉句集を読み直した。

尾崎放哉は明治末期から大正生きた詩人で、自由律俳句作る人であった。有名な句は「咳をしても一人」で、これは教科書にも載っていたようにおもう。

私は自由律俳句の声に出した時のリズムやふっと浮かぶ情景が好きである。自由律俳句には種田山頭火という名手もおり、こちらもなんかいい感じに叙情的(リリカル)な短文が多くある。放哉・山頭火のどちらの詩集も手の届くところにしまってあるが今日は放哉を読み直した。

何となく気に入った句をピックアップして紹介がてら載せてみる。「ふふっ」や「おや」と思う句があったら句集をちらっと読んでみるといいかもしれない。矢印の先は個人的な感想である。

「沈黙の池に亀一つ浮き上がる」

→静かな池にプカッと亀が浮かんでくる絵面が面白い

「夕べひょいと出た一本足の雀よ」

→厳しい自然界では片足の鳥も結構いるようだ。ぴょこぴょこした歩みはよりひょこひょこしていよう。でも懸命に飄々と生きている様が浮かぶ。

「ただ風ばかり吹く日の雑念」

→風が強い日に一人でいると、変えられない過去・今更どうしようもない失敗・たられば・ありもしない勝ち筋つかんだ時のふるまいなど浮かぶものだ。

「こんなよい月を一人で見て寝る」

→もったいない、淋しい。ともに月見酒をする友人か、その美しさを分かち合う妻が居てくれたらと思う。

「雀のあたたかさを握るはなしてやる」

→命のあたたかさは尊いものだ。手のひらからじんわり感じてはなしてやる優しさよ。一瞬握った生殺与奪を悪事なくはなすことには人生大事なことが多く含まれている。

他にもおおくの句があって読み返すと楽しい。自由律俳句をたまに摂ると文章を消化する器官を休めてくれる気がする。

終わり。

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