北欧旅⑦【フィン・ユール展(スウェーデン国立美術館)】
至極の朝焼けジョギングを終えて朝食を済ますと、1.3キロ先のスウェーデン国立美術館へ徒歩で向かう。
今回の旅は、宿泊先と飛行機以外、日々の訪問先はほとんど計画を立てず当日行き先を決めるスタイル。行きたい場所があったら、Google Mapで経路を調べてその通りに進むだけ。
ストックホルム中央駅構内を抜け、しばらくビルの合間を進みリラ湖に面した明るく開けた大通りに出る。眼前のストックホルム宮殿に通じる橋の下では、多くの人が、水路に流れ込む急流を利用して、スラロームカヌーやフィッシングを楽しんでいる。王立歌劇場と騎兵隊が護衛するグランドホテルの前を抜けると、目指す美術館の館内へ。
入場は無料。昨年秋に内部がリニューアルされたばかりらしく、内庭に開けたレストランもなんともおしゃれな雰囲気。
フィン・ユール。彼の名が、強烈に印象に残ったのは、6年前のGWに香川県高松市のショップ「まちのシューレ963」で展示販売されていた、彼がデザインした椅子の中古品に座ったとき。
そのあまりの座り心地のよさ、立ち上がりやすさに感動。あくまでシンプルなのに、「人間工学」と「技術」が見事に融合されているデザイン。ユーザー目線の異次元の「知性」を偶然、体感する幸運に恵まれました。その後、彼がデンマーク人でコペンハーゲン郊外に死後もそのまま自邸が公開されていることを知り、いつか訪れてみたかった。
あいにく、自邸は、現在改装中のため見学ができなくなっているが、自邸所蔵品が、こちらの美術館にて、ちょうど特別展示されているらしいことを前夜ネットで知って、急遽訪れた。
残念ながら、彼の椅子や家具に手を触れたり、座ることはできず「体感」する贅沢はできなかったが、その展示品に日本の民芸と重なる「和」の空気をかんじました。建築家でもあったフィンユールが、作り出した空間に柳宗理や白州正子が愛したであろう日本風のぬくもりと「間」を感じ、いつの日か、コペンハーゲン郊外の自邸を訪ねてみたいという思いはますます強くなった。