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北欧旅⑧【スカンジナビア・デザインと王侯コレクション(スウェーデン国立美術館)】


フィンユール特別展を見学したあとは、常設展示に移動。展示は、2層に分かれる。


一つは、スカンジナビアデザインのストーリー展示。
古代バイキング時代の遺跡から出土したアクセサリーにはじまり、王侯時代の貴族のアクセサリーデザイン、日本美術の影響を説明するアールデコ、そしてミッドセンチュリーの家具の伝説のデザイナーたちを経て、戦後のインダストリアルデザインに至る流れを、一気に時代を追って、展示するスカンジナビアデザインストーリーの展示。


戦前、日本の女性解放運動にも多大な影響を与えた教育家のエレン・ケイの肖像画をはじめ、単に、美術品を展示するだけでなく、その時代の世界の動き、国内外の国際事情と無関係な「アート」などあり得ないことを、直感的に理解させるように工夫されている。


最上階は、全く違う展示内容で、大航海時代の戦利品や王室コレクションの大量の美術品が展示されている。レンブラントをはじめ教科書でみたことあるような巨匠たちの作品が、ところせましと贅沢に展示されている。


貴族社会のほぼ閉じた社会の「誰かのためのアート」の世界から、大量生産・大量消費の時代の到来の中で、市場経済原理そのものに支えられた生活に根ざした「誰ものためのアート」の時代の二つの文脈のコントラストが見事に分離展示さていた。


 ガラスケースに厳重に守られて、陳列している古いタイプの「美術品」のみがアートではなく、、現在、市場に出回っている市販の実際の道路工事用の機械や最新のベビーカーに宿るデザイン思想も、自国の美術(社会的文脈)の一つの到達点であることを明確に語っている展示。


北欧デザインがこれだけ世界でもてはやされる時代。スウェーデンという国の自信が垣間見える内容だった。