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隠れ家の不良美少女 170 みかりん

配信の前日になった。KKステージには妹の美香がやって来た。
「キナコちゃんお久しぶりい」
「みかりんさんお久しですう」
二人は抱き合って懐かしがっている。

「そういえば美香は東京の大学には来なかったんだな」
「何よ、今頃そんなことを言ってんの?」頬を膨らす。
「えっ?」
「友希さん、美香さんは地元福岡の放送局でレギュラー番組をやってるのよ」
「そうなんだ、ふ〜ん……」
「これだもの、キナコちゃんの事しか頭に無いのね、東京に来なくて正解だったわ」
「友希さん、もっと兄妹のこと大切にしなきゃダメですう」頬を膨らした。
「一応大切に思ってるつもりだけど……」
「だったら今夜ディナーをご馳走して」
「まあ良いけど」
「やった、みんなで美味しいもの食べに行こうよ、サークルのみんなも」
「えっ、全員で?」俺は渋い顔をした。

妹は明日のコスプレ衣装を着て細部を確認している。
「凄い完成度ね、さすが希和ちゃんのお母さんね」鏡をみながら頷いた。

「美香さん、いつも希和を可愛がって頂きありがとうございます」
希美子さんは衣装のチェックをしながら話している。
「こちらこそ、気の利かないお兄ちゃんがいつもお世話になってます」
「あら、とても気が付く優しい人ですよ」
「そうなんですか?」
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
二人は楽しそうに話している。
俺はデザインルームへそっと避難した。

結局和食の美味しい店で一部屋を貸切、皆んなで食事会になってしまう。
妹と希和、そしてコスプレツアーで福岡に遠征した子達は殆ど集まった。
希美子さんや美奈さん、詩織さんも楽しそうに飲んでいる。
話は大いに盛り上がった。

その夜、美香は東京のホテルへ戻る。
「楽しかったなあ…………」希和も嬉しそうだ。

夜、布団の中で希和は聞いてくる。
「友希さん、桜子さんからの手紙は読んだの?」
「いや、まだ読んでいない」
「どうして読まないの?」
「読まなくても書いてある事は想像がつくさ」
「そうなの?」
「恋人を大切にしろって書いてあると思うぞ」
「そっか……希和は恋人なの?」
「ああ、大切な恋人さ」
「友希さん、希和嬉しい………でも桜子さんの事を思うと切ない………」
「桜が俺と希和が出会うように仕組んだのかなあ……」
「そうかもしれないね」
「友希さん………」
希和はいつものように抱きつくと俺の胸に涙を流した。

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