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隠れ家の不良美少女 164 希和が付いてくる

「不良少女だった希和ちゃんも随分変わったわね」綾乃さんが微笑んだ。
「綾乃さんと新さんにはとっても感謝してます、私が輝けたのも新さんのアドバイスがあったからだし、綾乃さんが見守ってくれたから不良少女にならなくてすみました」
「希和ちゃんが頑張ったからだよ」新さんは優しく微笑んだ。

「友希くんと幸せなんだろう?」
「はい……でも……」
「あら、どうしたの」綾乃さんが不思議そうに聞いてくる。
「友希さんは私を女性としてみてくれません…………」
「そうなの?まだなの?」綾乃さんは眉を寄せる。
「それは大切に思ってるからだよ」新さんは頷いた。
「大切に思ってるんだったら……」綾乃さんは口籠る。

「希和ちゃん、もうすぐ桜子さんの命日が来ることを知ってる?」
「いえ、知らなかったです」
「これは確かめたわけじゃないけど……友希くんは桜子さんへの気持ちを引きずったままで希和ちゃんを恋人にするのは悪いような気がしてるんじゃないかなあ、彼は真面目だからね」
「そうなんですか?やっぱり桜子さんを忘れられないのかなあ……」私は少し考えた。

「もう希和ちゃんと生きていく事は決めてると思うんだ」
「はい、希和とお母さんは家族だって言ってくれました」
「そうなんだ……じゃああとは心のケジメだけかもしれないね」

「希和ちゃん、一緒に横浜まで行ってくれば」綾乃さんはにっこりした。
「そうだね、それが良いかもしれないね」新さんもにっこりした。
「桜子さんに友希さんは私が幸せにしますってい言っておいでよ」綾乃さんがウインクする。
「はい、私桜子さんに言ってきます」私は決心して頷いた。
しばらくすると友希さんが帰ってきた。

「どうだった?」
「うん、買い取る事にした」
「そう、価格はどれくらい?」
「うん、100万と諸経費」
「適切な価格だよね」
「多分………」
「新くんの別荘ってどれくらいだったっけ?」
「綾乃が付いて150万」
「あら、私って格安だったのね」綾乃さんは笑った。
「じゃあガレージハウスは希和が付いて100万だから激安だね」希和も笑った。
「なんで希和がついてくるんだよ」
「だって友希さん、私のことを始めは座敷童だって言ってたじゃん、だからもれなく付いてくるの」
「やっぱ買うのやめようかなあ」
「もう、なんでそんな事言うの」希和が膨れた。

「友希くん、今度の桜子さんの命日には希和ちゃんを連れて行きなよ」
「えっ?突然なにを言い出すんだよ」俺は驚いた。
「もう桜子さんに報告しても良いんじゃないか?」
「うん……………」
「友希さん、希和を連れてってくれないの?」希和は首を横に傾げる。
「そうだな…………じゃあ一緒に行くか?」
「うん」希和の表情に明るさが戻った。
新くんと綾乃さんは優しそうに微笑んだ。

その夜俺は桜子の夢を見た。
桜子は微笑んで『幸せになってね』そう言った。
俺は頷く。
すると桜子は『友里香の事もお願い』そう言って微笑んだ。
俺は朝目覚めると不思議な気がした。

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