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隠れ家の不良美少女 138 お帰りなさい

「友希さん、お母さんがもう直ぐ帰ってくるからお土産におつまみ買って行こうよ、今ならスーパーの惣菜が半額かも」
「そう、じゃ帰りに寄ってみよう」

スーパーで惣菜を買って家へ戻った、程なくして希美子さんが帰ってきた。
「おかえりなさいお母さん」
「ただいま、友希さんも来てくれてたのね」
「お邪魔してます」俺は軽く会釈する。

「お母さんにお摘み買ってあるよ、半額の」
「そう、有難う、じゃあ早速頂くわ」
希美子さんはハイボールを二缶出してきた。
「今夜は飲んでも大丈夫なんでしょ?」
「大丈夫だよ」希和が嬉しそうに答えた。
「なんで勝手に決めてるんだ?」
「だって…………」
希美子さんが笑った。

「今度マサキで週一キナコとプリンちゃんの配信番組をやることになりました、毎回違うコスプレで出るので衣装の方よろしくお願いします」
「本当?有難う友希さん」希美子さんは喜んでくれた。
「作るのは大変ですが、しっかり衣装代は請求できるし、KKステージの宣伝にもなります」
「友希さんには感謝してるわ、あの結婚披露宴でも『KKステージ』のテロップを何度も入れてくれたから問い合わせが沢山来てるのよ、美奈さんや詩織さんも忙しく頑張ってるし、スタッフも増えたわ」
「それはよかったですね」
希和はジュースを出して三人で乾杯した。

「友希さんマサキと契約してお給料が年間500万も出るんだって、しかも自由出勤だって、ウイングも合わせると1000万くらいになるらしいよ、だからシマクラで洋服おねだりしちゃった」

「そうなの、やっぱりKKステージからもプロデューサーとしてお金を払わなくちゃあね」
「えっ?友希さんお金持ちだよ、もういらないんじゃ無いの?」
「俺はもう十分ですよ、あまり使う事も無いし」
「そうだよ、もうお金持ちだよ」希和はまるで俺の奥さんのように希美子さんへ手を振った。

「希和に言わなきゃと思ってたけど、今希和の収入はいくらあるか分かる?」
「ううん………多分友希さんの半分くらい?」
「いいえ、友希さんの3倍以上よ」
「ええ?嘘!」
「嘘ついてもしょうがないでしょう」
「そんなにあるの?」
「そうよ、でも全て友希さんがプロデュースしてくれたからよ」
「そうなんだ、お母さんも友希さん以上に収入があるわ」
「そうなの?じゃあお母さんと二人合わせたらどうなるの?」希和は両手の指で数えようとした。
俺と希美子さんはそれを見て笑い転げた。

「でも、税金がたくさん来ますし、会社として健全な経営ができるように今からしっかり管理しないと行けないですね」
「はい、美奈さんや詩織さんとも頑張らないとって話してます」

しばらく放心状態だった希和は我に帰った様につぶやいた。
「いっぱいお金があったらどうしよう?」心配そうだ。
「そうね、こんな事になるなんて思っても見なかったからね」希美子さんも考えている。

「お家を建て替えたらどうですか?」
「「あっそうか」」希和と希美子さんはニッコリした。
「そうだね、お家古いし、建てられたらいいね」
「そうね、建て替えたら友希さんのお部屋も作れるわね」
「それはダメ!」希和は慌てて手を横に振った。
「どうして?」希美子さんは不思議そうに希和を見た。
「だって……一緒に寝てくれなくなるもん」唇を尖らせた。
俺と希美子さんは笑いを堪えられなくて吹き出した。

「何で二人で笑うの」希和はさらに頬を膨らした。
「友希さん苦労するわね」希美子さんは口を手で塞ぎながらも笑っている。

「俺の実家に頼むと安くていい家が建てられますよ」
「それは素敵ね」希美子さんは頷く。
「いいなあ」希和も喜んだ。

「じゃあこれからも頑張らなくちゃあ」
希美子さんの言葉に希和も頷いた。

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