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隠れ家の不良美少女 125 病院の新くん

綾乃さんと希和を車に乗せ今度は新くんのいる病院へ向かった。
到着して病室へ入ると新くんはベッドの上でノートパソコンを開きキーボードを叩いている。
「新さん、まだ仕事しちゃあダメでしょう!」綾乃さんが嗜めた。
「色々と調べたい事があってねえ」新くんは頭をかいている。
「新さん、無理しちゃあダメだよ」希和も心配そうに言った。
新くんはパソコンを閉じて俺を見た。

「やあ友希くん、無理言ってゴメンね」
「大丈夫、着々と進めてるから」
「ありがとう」口角を上げた。

「新さん、これがウエディングドレスのデザインなの」4枚のデザイン画を見せている。
「おお〜どれも素晴らしいね」新くんは真剣に見入った。

「第一部は会社の人達向けにこのシンプルな感じでどうだろう、そして第二部はこの煌びやかなこのドレスで良いんじゃない?」
「新さんがそう思うなら私はそれで問題ないわ、どれも素敵だから」微笑んだ。
「綾乃さんならどれを着ても素敵だよね〜」希和がポツリと漏らす。
「そうだな、その通りだ」俺も頷いた。

「じゃあ希和ちゃん、この二着をお母さんにお願いしてくれる?」
「はい」希和は嬉しそうにデザイン画を受け取る。
「希和、間違えないようにしろよ」
「分かってる、この2枚はスマホで撮っとく」そう言って並べて記録した。

希和と綾乃さんは近くのショッピングセンターまでマスクをして買い物に出かけた。
「いてて………………」新くんはゆっくりと足を伸ばしている。
「まだ痛むんだ?」
「ああ、あちこちね」座り直すと苦笑いした。
「なのに結婚式の準備は大変だね」
「それより会社の方が大変さ」
「そう」
「何処の誰か分からない奴に社長の一人娘を取られるって思われてるからね」
「確かに……風当たりは強そうだね」
「しかも綾乃は社長の血を分けた娘じゃ無いんだ」
「えっ!そうなんだ」
「結婚相手の連れ子なんだ」
「そうか…………」
「色んな人たちの思惑があってね、こんな厄介な結婚式になっちゃったのさ」
「逆玉で良いように思うけど、実際は大変だね」
「俺は普通の相手が良かったよ、もっとも綾乃以外は考えられないけどね」少し笑った。
「運命の出合いは変えられないね、俺も希和を放って置けなくなっちゃったし」
「そうだね、運命は受け入れるしか無いのかも……」
「でも、幸せになればそれで良いんじゃないか?」
「意義なし!」
「俺は新くんを応援するよ」
「ありがとう、俺もできる限り友希くんを応援するよ、こんな体だけど」笑っている。
その後二人で結婚式の細かい打ち合わせをした。

希和と綾乃さんが帰ってくる。
「新さん、これ新しいパジャマ、カッコいいの無いんだ」綾乃さんは不満そうに広げて見せた。
「いいよ、もうすぐ退院だから」
「新さんが早く治ってまた天空カフェでのんびりしたいなあ」希和は窓の外を見る。
「そうだねえ、カフェの方がやっぱり落ち着くなあ」新くんも窓の外を見ながら笑った。

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