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2024年度 EXPERT試験問題解説 問題1

問題1

本邦にある大学Xは、輸出令別表第1の9の項(1)に該当する新型の無線 機2台をアルゼンチンにある大学Yへ輸出する契約を結んだ。当該無線機は告示貨物で、1台55万円である。この場合における輸出令第4条第1項第四号 の説明として、AからEまでのうち、正しい説明はいくつあるか、後記1から 5までの中から1つ選びなさい。

A この輸出契約が、無償の贈与契約の場合、総価額は0円になるので、少額特例を適用できる。
B この輸出契約の総価額が100万円以下であれば少額特例を適用できる。 しかし、総価額は110万円であるので、少額特例は適用できない。
C この輸出契約の総価額が5万円以下であれば少額特例を適用できる。しか し、総価額は110万円なので、少額特例を適用できない。
D 仕向地がアルゼンチンであるので、この輸出契約の総価額がいくらであっ ても、輸出令第4条第1項第三号のいずれの場合にも該当しないときでな ければ、少額特例を適用できない。
E この場合、輸出申告を1台毎に、2回に分ければ、総価額が100万円以下 になるので、少額特例は適用できる。

1.1個
2.2個
3.3個
4.4個
5.5個

解説

本邦にある大学Xは、輸出令別表第1の9の項(1)に該当する新型の無線 機2台アルゼンチンにある大学Yへ輸出する契約を結んだ。当該無線機は告示貨物で、1台55万円である。この場合における輸出令第4条第1項第四号 の説明として、AからEまでのうち、正しい説明はいくつあるか、後記1から 5までの中から1つ選びなさい。

輸出令第4条第1項第4号(少額特例)

別表第一の五から一三まで又は一五の項の中欄に掲げる貨物であつて、総価額が百万円(別表第三の三に掲げる貨物にあつては、五万円)以下のもの(外国向け仮陸揚げ貨物を除く。)を別表第四に掲げる地域以外の地域を仕向地として輸出しようとするとき(別表第三に掲げる地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする場合にあつては、前号のイ、ロ及びニのいずれの場合にも(別表第三の二に掲げる地域(イラク及び北朝鮮を除く。)を仕向地として輸出しようとする場合にあつては、同号のイからニまでのいずれの場合にも)該当しないときに限る。)。

輸出令

問題文から、貨物は告示貨物であり、少額特例が適用されるのは総価額5万円以下となる。
仕向地はアルゼンチンで、輸出令別表第3の地域であり、前号イ、ロ、ハ、ニなどの確認は不要。

選択子A
この輸出契約が、無償の贈与契約の場合、総価額は0円になるので、少額特例を適用できる。

無償の場合、税関の鑑定価格で決めることになり、同種のものの流通価格または製造原価から算出された価格を用いることになり、総価額0円にはならないことから、これは間違い。

価額の全部につき支払手段による決済を要しない貨物の場合は、税関の鑑定価格をいう。

運用通達

選択子B
この輸出契約の総価額が100万円以下であれば少額特例を適用できる。 しかし、総価額は110万円であるので、少額特例は適用できない。
告示貨物なので総価額が5万円以下でないと、少額特例は適用できないことから、これは間違い。

選択子C
この輸出契約の総価額が5万円以下であれば少額特例を適用できる。しか し、総価額は110万円なので、少額特例を適用できない。
正解。間違いはない。

選択子D
仕向地がアルゼンチンであるので、この輸出契約の総価額がいくらであっ ても、輸出令第4条第1項第三号のいずれの場合にも該当しないときでな ければ、少額特例を適用できない。
アルゼンチンは輸出令別表第3の地域なので、輸出令第4条第1項第3号の条件は不要なので、これは間違い。

選択子E
この場合、輸出申告を1台毎に、2回に分ければ、総価額が100万円以下 になるので、少額特例は適用できる。
「新型の無線機2台をアルゼンチンにある大学Yへ輸出する契約」とあり、一つの契約で2台を送るものである。下記のQ&Aにある通り、少額特例の総価額は輸出申告時の価格ではなく、契約での価格であり、少額特例は適用できない。これは間違い。

少額特例が適用されるか否かを判断する金額は、税関への申告額ではなく、契約額(無償の場合は税関の鑑定価格)です。一つの輸出契約を複数回に分けて船積み・輸出する場合などで、個々の申告額が規定の額を下回っていても、契約額全体では規定の額を超えている場合は輸出許可が必要になります。

Q&A 少額特例 Q5から

以上から正解はCの1個
こうした解説、CISTECジャーナルに掲載されている・されるはず。
難易度:初級

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