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Photo by
takeshi_m
卓球
高校2年生。
文化部室棟では、ダイニングテーブルくらいの高さに板が乗せられた台が通路を塞いでいた。
放課後になると男たちの部活が始まる。
文化部室棟にも次々と人が集う。
カン、コン、と板の鈍い音が響く。
文化部の男たちは絶賛、卓球にハマっていた。
自作の、ネットの代わりに黒マジックで線が引いてあるだけの台の上で。
春、桜の風景に卓球の音が響く。
夏、体育祭の準備の裏で、卓球少年たちも闘志を燃やす。
秋。
「文化部室棟で卓球をするのをやめてください」
生徒会がキレた。
卓球台が空き教室に格納され、部屋には鍵がかけられた。
「避難器具」を「避妊器具」と修正されたその教室の前で、先輩たちが嘆いていた。
それから少し経って、再び教室の前を通ると、球の跳ねる鈍い音が聞こえた。
カン、コン、、
見ると、教室の扉の上の、何に使うのかわからない小窓が開いていた。
先輩たちはその穴から侵入していた。
なんか、ネズミみたいだと思った。
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