将棋に夢中になる
小学校高学年の時に、将棋にハマったことがあった。
きっかけはNHKの朝ドラ「ふたりっ子」だ。
ダブルヒロインのこの作品、ヒロインの一人が将棋に出会い、将棋のプロ棋士になっていく。
たまたま母が「このドラマ面白い」と言って、「録画したもの」だったか「一週間分を一気に再放送したもの」を見たのかは定かではないが、そのドラマがきっかけで将棋に興味をもつようになった。
同じクラスで、同じように「ふたりっ子」をみて将棋に興味を持っていたカナちゃんという子と出会った。
幼い頃というのは、生きている空間や、見えている視野が狭いと思う。
同じクラスで半年間一緒に過ごしていたはずなのに、関わるのはほぼ初めて。むしろそんな子がいることすら忘れていたくらいだ。
そんなカナちゃんと、「ふたりっ子」「将棋」この2つのワードで急激に距離が近づき、休み時間の度にしゃべるようになった。
同じくらいのタイミングで、母が異常に早く反応して、近所のディスカウントストアで1000円くらいの安い将棋セットを買ってきてくれた。
それからというもの、将棋盤を持っていた私は、毎日のようにカナちゃんと遊び、二人で将棋をやった。
カナちゃんは将棋盤を持っていなかったので、将棋をやろうと思ったら、私とやるしかなかったし、クラスの中で同じように将棋にハマっている者はいなかった。
だから、毎日二人で遊ぶ日が続いた。
「毎日女の子と二人っきりで遊ぶ」
外から見れば恋愛感情でも生まれていそうなものである。
しかも思春期が始まるくらいの年頃、余計にそんな感情が生まれそうなものであるが、全くそんな気持ちはなかった。
カナちゃんもそうだったと思う。
ただ二人で「将棋をやっている」それが楽しくて仕方がなかった。
二人で毎日、将棋を指し続ける。
そんなブームが3~4か月くらい続いたと思った。