マイルCS

エリザベス女王杯は本当に惜しかった。シンリョクカ本命も展開や馬自身の力を加味するとスタニングローズの印を上げたけど、結局ラヴェルは枠的に厳しいとみて切ってしまったのがすべての敗因。ただ素直にスタニングローズからワイド・単勝を買っておけば…という気持ちが強く残ってしまった。結果的に単勝9.5倍だったのを考えるとなんておいしい単勝だったのかと思うしかないレベル。
まあそれを考えてもやむなしではあるが、結果的に言えば、ちゃんと自分の選んだ馬は割と好走していたし、それなりに能力を出してくれたのを考えると方向性としては間違えていなかったように思える。
というわけで今週はマイルCS。シックスペンスは回避したということで除外なしの17頭。
正直ブレイディヴェーグは前走の府中牝馬Sで休み明けの中であの競馬されてしまったのでここは逆らえないと思う。シンティレーションがエリザベス女王杯で凡走したように見えるが、これは不利も大きかったことなので力は発揮しきれていない。今週はブレイディヴェーグの相手探しとなるかどうか。

京都マイルは外回りでポケットからのスタートとなり、3コーナーまでは710m以上とかなり長い。そのため、激しい先行争いにはなりにくい一方で直線となるため、序盤のペースは比較的速め。また3コーナーにかけて坂を徐々に上る形になり、4コーナーからは下り坂で直線平坦となれば、なかなかに息は入れにくい。
去年こそナミュールが上がり33.0秒という驚異的な数字を出したが、2着馬、3着馬は上り33.6秒でそれなりに上りは掛かっている。
2023年は半マイル通過時点で一度ラップが緩み、そこからゴールまでは加速ラップだったことも起因している。比較的スローペースの展開だった。半マイル通過も46.5秒。
一方で2019年のインディチャンプが勝利した年は上り最速が33.4秒でインディチャンプは33.9秒、2,3着馬も34.2秒、33.7秒と上り33秒台後半の値が出ている。半マイル通過は47.2秒と時計は掛かっている。
というわけで過去の京都で行われたマイルCSをまとめてみると

2024年 1.32.5, 800m通過46.5秒、上り1位は4コーナー15番手で33.0秒を出して1着のナミュール
2019年 1.33.0, 800m通過47.2秒、上り1位は4コーナー15番手で33.4秒を出して6着のカテドラル
2018年 1.33.3, 800m通過47.1秒、上り1位は4コーナー15番手で33.4秒を出した4着カツジ(クビ差5着のミッキーグローリーも同ポジションから33.4秒を出している)
2017年 1.33.8(稍重), 800m通過46.7秒、上り1位は4コーナー18番手から33.8秒を出した6着ブラックムーン
2016年 1.33.1, 800m通過46.1秒、上り1位は4コーナー14番手から34.6秒を出した7着ガリバルディ
2015年 1.32.8, 800m通過47.1秒、上り1位は4コーナー13番手から33.0秒を出した3着イスラボニータ
2014年 1.31.5, 800m通過45.3秒、上り1位は4コーナー10番手から上り34.1秒を出した1着ダノンシャーク(4着のトーセンラーは4コーナー12番手から同じ上りで4着)

という結果になった。馬場の時計差は考慮していないが、過去のデータから言えば、少なくとも上り33.0秒を出さないと5コーナー11番手以下からは届かないと見るのがよさそう。ダノンシャークのみ10番手からは届いているが、この年は半マイル通過が45.3秒でここで挙げた中では最も前半が速かったため、上りも34.1秒で届くという時計のかかり具合だった。
基本的に前半は46.5秒~47.2秒の間に収まっており、この時に4コーナー最後方から上り1位の脚を使うとぎりぎり馬券に届くかどうかというのが例年のペース。ただ、その場合に最後方から突っ込んでくる馬はもれなく人気薄の馬でそういう展開待ちの馬にもチャンスはあるということを念頭にはおいておきたい。
逆に過去の逃げ切った馬は2016年のミッキーアイルのみでこの時は前半が46.1秒とペースとしては速い中で逃げ切ったミッキーアイルが素直に強かったと評価できる。それ以外だと前半が比較的遅かった2019年、2018年、2015年のすべてで逃げ馬は馬券外に飛んでいる。ただし、2019年の逃げ馬のマイスタイルは4着で、2015年のレッツゴードンキも6着とさすがにペースに恵まれた分、前で残ってはいる。2018年のアエロリットは2番人気ながら12着と大敗。
また上り1位の馬が大外からぶん回してくるというのは実はあまり好走パターンではなく、この競馬は届かないパターンの方が多い。
逆に馬場の真ん中や内を突いた馬は
2024年ナミュール
2019年カテドラル
2018年カツジ(ミッキーグローリーは大外ぶん回し5着)
2015年イスラボニータ
2014年ダノンシャーク
とインを上り最速で突いてくる馬の方が穴を開ける。枠順にも左右されるし、道中のポジションもかなり重要にはなってくるのでこれを予想するのは難しいが、長い向正面からポジションを取れずに大外を突っ込んでくるタイプの馬にはノーチャンスと見てもよい。
基本的に勝ち馬は内や真ん中、また先週のスタニングローズのように4コーナー先行3~5番手の外あたりがベスト。外回り故に横に広がりやすいが、広げすぎてもよくはないということでそれなりのコーナリング性能も求められる。

という感じで前置きがかなり長くなったが、予想を始めていく。

アルナシーム
前走は富士Sで6着。4コーナー6番手から前有利の流れで流れ込んでの6着。富士Sは前半34.2秒だったが中盤が緩みすぎてスローからの瞬発力勝負となっており、差を詰められなかったのはやむなし。もともと左回りは得意ではないし、休み明けだったのもあり、上積みには期待できる。2走前は中京記念で待望の重賞初制覇となった。

以下は中京記念のメモ。
””エプソムカップは4番人気も5着。

以下はエプソムカップのメモ。
”折り合いの悪い馬で、重賞でも人気を裏切りがち。ただ最近はだんだんと折り合いも改善していており、平坦の1800mでワンターンという条件はベストに近い条件でここは舞台としては合う。東京競馬場でのレースは秋色S以来となるが、当時は6着で展開が厳しかった。牡馬の割には馬格の小さい馬であまり揉まれるのは良くない。そのため、前走のように小頭数の方が好走しやすく、他頭数の場合は外差しの方がいい。枠には注意が必要。2走前のダービー卿はスローペースで上位2頭は前残りしたため、最後方から大外を回して差してきたアルナシームには展開が不利。3走前の小倉大賞典はうまく競馬をしたが、自分から動いて勝ちに行く競馬をした分、最後は脚を使い切っての4着。力は出し切ったという形ではあるが、2ターンの1800mだったのでポテンシャルとしては今回の方が発揮できそう。ただ鞍上が横山典となると無理に出してはいかなさそうで一発を狙って後ろから行く可能性もある。枠次第といったところか。安易には狙えないが、ポテンシャルは秘めているので現時点では抑え。外枠に入ったら評価は上げる。”

前走は折り合い面はよかったものの左回りで手前替えがスムーズではなかったところをみると左回りは苦手。今回は右回りになるし、平坦の1800mもベスト。ある程度人気はしそうだが、最近の折り合い面の良さを見ると軽視したくない。継続騎乗しているのもよいし、斤量も手ごろ。後は揉まれない競馬をしたいので外枠には入れれば。””

マイルへの適応というのがキーポイントになりそうだが、直線が平坦なコースは歓迎できる。時計のかかる馬場もおそらくよかったが、ペース的にもスローからの瞬発力勝負というよりはペースが速いほうが合うようで、そういう点では上りのかかりやすい京都競馬場は合っている。
マイルG1だとペースが速い可能性があるが、右回りと上積みという点においては買い要素はある。

ウインマーベル
初のマイル戦となる分、マイルへの適応がこの馬もキーポイント。ただ京都コースでの経験でいえば、スワンSの5着のみで強調材料は少ない。前走はスプリンターズSで5着だったが、5番手以下はスローペースの展開でこの馬は4コーナーで6番手の追走から0.2秒差の5着。着差は小さく、鞍上の松山も1400mがベストとコメントしているだけあって、1200mでこれだけ高いパフォーマンスを出せたのはむしろ好材料か。距離が伸びて切れ負けを補うことができればよさそうだし、マイルへの対応は印象としては然程問題にはならなさそう。京王杯スプリングカップでは1着だし、去年の阪神カップはハイレベル戦で1着。スローペースになりにくいマイルCSだとむしろ適性は割とあるんじゃないかと思う一頭。魅力的に映る。

エルトンバローズ
昨年の毎日王冠以降なかなか勝ててはいないが、前走の毎日王冠は3着。ただし、毎日王冠はミドルペースで馬場の割に走破時計は平凡と言える結果。外枠で不利かと思われたが先行して2番手でうまく運んだ中での3着。距離短縮は問題ないだろうが、昨年のマイルCSは正直レベルが微妙であり、マイルCS組の次走成績が全くダメであった。2走前の中京記念は59㎏を背負った分はあるが、自ら動き出して4コーナーは2番手から最後は抜け出されての3着。4走前の安田記念は調整過程や馬場などに主な敗因があるため、参考外。ただやはりまだマイルCSで通用するというほどの実績には欠けているというのが現状で前走もあまり強調すべき内容ではない。

オオバンブルマイ
マイルは豪州と香港で走っているが、ともに惨敗。アーリントンカップで1着、NHKマイルカップで3着という実績はあるものの重馬場、稍重の馬場で高速馬場への適性はかなり疑問。キーンランドカップもレベルとしては微妙で次走1番人気に推されたサトノレーヴも凡走。ただスプリンターズSで武豊はペースが速くて厳しかった、距離はもう少しあった方がいいとコメントしているし、ゴールデンイーグルも1500mであることを考慮すると1600mへの延長というのは特に問題はなさそう。ペースの速かったスプリンターズSでも上りは33.3秒で2位の脚を使えているし、スタートの遅い馬でもあるので後方で脚を溜めて最後に突き抜ける方がよさそう。冒頭で述べたような末脚を持っているタイプにも思えるのでここ最近の臨戦過程や海外でのレース結果から軽視されるようならば一発はある。

ジュンブロッサム
富士Sはスローペースの前有利な展開の中で10番手から上り33.1秒の脚を使って1着。前有利の展開であることを考慮すれば優秀な内容。関屋記念も前残り決着の中で3着に着ており、上りも32.5秒と昨年のナミュールにも匹敵する末脚を持っている。ただスタートはあまりうまくない馬のようで関屋記念は出遅れ、前走は五分に出るも戸崎がゲートが課題と思ってはいたとコメント。京都マイルは水無月Sでの勝利があり、鞍上の川田はまだこの馬本来の走りをするには時間がかかりそうとコメントしている。毎度上りは1,2位を出すようにポジションは割と後ろの方で前有利の展開となれば厳しい。ただ過去を考えるとマイルCSはそこまで前有利の流れとはならないパターンも多く、前走のレベルは疑問とはいえ、前有利の展開で差し切ったのは素直に評価したい。

セリフォス
正直この馬としてのピークは過ぎているように思える。前走の富士Sでは折り合いを欠いており、脚を溜められなく4着。そもそも前有利の展開ではあったものの、それでもスローペースで上り33.4秒はこの馬としては物足りない。ただそれでも現役のマイラーとしてはトップレベルであることは間違いないので軽視はできないが、年齢とともに力みが出てきているのは気になる点。揉まれやすい枠はあまり歓迎できないので外枠に入りたいところ。

ソウルラッシュ
富士Sを評価。前有利な流れで8番手追走からの上り33.3秒の2着。瞬発力を要求される流れは苦手とする馬で、前走のようにスローペースからの瞬発戦で結果を出したのはプラス。安田記念のペースがベストに近く、その前のマイラーズカップも強い内容。ここは軽視することはできないし、ブレイディヴェーグが1番人気ならばこちらを上に取りたい。

タイムトゥヘヴン
前走の富士Sは後方から差を詰められずだが、展開的にはやむなし。一方で京成杯オータムHDは斤量56㎏だったが、大外から鋭く伸びて中山マイルで上り32.4秒の脚を繰り出しての2着は素直に評価できる。タイムとしても加速ラップの中で時計の速い決着だったし、アスコリピチェーノ相手に0.2秒差なら問題ない。基本的には展開待ちの馬となり、関谷記念も前残りで12着。冒頭に述べたようにこのような切れ味の、4コーナーで15番手とかその辺にいそうな馬は最後の最後で思いがけない脚を使って突っ込んでくる可能性があるので要注意。展開としてもマイルCSは比較的向きやすい。頭までとは思わないが、展開ハマって3~5着くらいはありえそうな馬。

ナミュール
昨年のマイルCSの覇者ではあるが、例年ではとても届かないようなポジションからの差し切り。上り33.0秒を使える脚があれば届いたということになる。安田記念は2着でこれも上り32.9秒と堂々の1位。逆に言えば、去年と同じ競馬をする可能性は高いし、よく出遅れのある馬でもあるので、差し損ねる可能性は非常に高い。また去年のマイルCSは馬場の割に1秒遅い決着となっており、レベルとしては高いとは言えない。休み明けでも問題なく走る馬ではあるが、ここは軽視したい。

ニホンピロキーフ
マイラーズカップは間違いなく強い内容での3着。ただし、その後のレースでは思うように成績が伸びず、ここ3戦は3回連続5着。前走はカシオペアSで直線は切れ負けて5着。ただし、このレースはハイペースで時計も非常に速く、カシオペアS組を素直に評価したい。2023年のカシオペアSはタイムが1.44.7でこれも速い決着ではあるが、当時の馬場は標準より1秒速い馬場の中で2秒速い決着。補正すると例年よりも1秒速い決着になる。一方で今年のカシオペアSは1.44.8の勝ち時計だったが、馬場は標準で単純計算で例年よりも2秒速い決着になっている。馬場補正で考えるとアルナシームが勝った2023年のカシオペアSよりもアルジーヌが勝った2024年のカシオペアSの方がレベルが高く、その中で0.4秒差で5着という内容は悲観すべきではない。高速決着には対応できるし、ワンパンチ足りていないのは確かではあるが、時計面としては劣っているとは思わない。ソウルラッシュに勝てるとは思わないし、マイラーズカップでは0.4秒差をつけられているのは確かなので、3着くらいならの気持ち。鳴尾記念は外枠で力んでしまったことや距離が伸びた分の12着。中京記念は3戦3勝の小倉だったが、3コーナーから仕掛けていき、4コーナーで9番手まで押し上げるも脚が足りずの5着。ただやはりワンパンチ足りないという印象はぬぐえない。

バルサムノート
富士Sは逃げ粘っての5着。超人気薄ではあったが、そもそも前有利の流れで評価はできない。現状、G1では足りていないと見る。

フィアスプライド
前走は府中牝馬Sで4着。好位の内を伸びての4着で、理想的な運び方ができた。ただ最後は切れ負けているし、ブレイディヴェーグには完敗の内容。2走前の安田記念は道中は良いポジションで運べたが7着まで。牡馬相手だと力負けする印象でここはハードルが高い。

ブレイディヴェーグ
府中牝馬Sは斤量57㎏を背負って堂々の加速ラップで1着。しかもまだ完調には程遠いという中でのパフォーマンスでレベルが違った。脚部不安明けでも全く問題のない内容で正直言って割り引く要素が少ない。ただしいて言えば、この馬がマイルを走るのは初めて。ロードカナロア産駒なので短距離適性は高いだろうが、前走よりも速いペースとなるのは必至でポジションを取れるかどうかは疑問。しかも前走後も疲れは出たとコメントが出ており、中4週で走るのは初めてとなる。もともと使い詰められない馬だし、疲れも出たというコメントからももしかしたら休み明けが常にピークの馬という可能性はある。また前半からうまくポジションを取れればというのもマイルへの短縮で少々難易度が高い。昨年のナミュールのような差し方を狙うのならば、上り33秒台を切る必要はある。幸いにして前走はそれができていたが、京都でもできるかは疑問。というあたりの懸念材料はまあまああるが前走のパフォーマンスから言えばここは軽視できない。

マテンロウスカイ
天皇賞秋は5着でドウデュースとも0.3秒差というのは非常に評価ができる。折り合い難のため、距離短縮はプラスだし、毎日王冠は我慢を覚えさせて結果的に前が詰まっての8着というだけで力負けではない。中山記念は内前残りではあるが、勝ち切っているし、メイS組は出世している。天皇賞は内枠を引いてインを突く競馬をしたが、最後までしっかりと脚を使ったし、評価は高い。ただこの秋3戦目というのは少しだけ気にはなるというだけ。穴を開ける余地は十分にある。

レイベリング
前走は信越Sで1着だが、現時点では力不足に映る。朝日杯こそ3着ではあるもののその後は自己条件でコツコツやってきた馬であり、オープンに入って前走が初めての勝利。とはいえ、気性面が少し難しい馬で一線級相手だとさすがに厳しいように見える。距離延長もこの馬としてはマイナス。

というわけで現時点での印は
◎ソウルラッシュ
〇ジュンブロッサム
▲ウインマーベル
☆マテンロウスカイ
△アルナシーム、オオバンブルマイ、タイムトゥヘヴン、ニホンピロキーフ、ブレイディヴェーグ、セリフォス
以上の10頭。

人気どころだとやはりソウルラッシュが最も信頼のおける軸となりそう。ただ今年は逃げ馬が不在でバルサムノートあたりがスローペースでの逃げに走りそうと見ている。
最初の直線が長い分、スロー逃げをされても団子状態になり、途中で我慢できなくなる馬も出てくるとは思うし、エルトンバローズあたりはそのペースでも歓迎かもしれないが、そんな楽はさせてもらえないと見る。
特に瞬発力勝負では分が悪い馬も多いので結果的にはいつも通り3コーナーからのロングスパートになるように思える。チャリンについては正直未知数なのでわからないし、斤量60kg背負ってG1勝っているからかなり強いのだろうと思う。
というわけで上りのかかる競馬が得意なソウルラッシュを素直に本命。ジュンブロッサムはポジションがカギとなる。ウインマーベルはこれまでよりもペースに乗りやすく、意外な穴になってくれそう。マテンロウスカイは前走の競馬ができれば十分馬券内。
一方でブレイディヴェーグは懸念材料がある分、軽視にはしたが、さすがに強いとは思う。セリフォスは人気どころでは一番消しに近い。△から2頭来ても当たりとは言えないので、◎~☆で2頭来てほしいのが本音。

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