函館SS

夏の北海道シリーズが始まりますね。
函館芝1200mはほぼ平坦とはいえ、高低差は2mちょっとある。ただ坂の部分が長いので緩やかな勾配となっており、ほぼ平坦。向正面のポケットからスタートし、3コーナーまでは489m。そこからコーナー角の小さい3~4コーナーを迎えて正面直線は262mでJRAの競馬場では最短。直線はほぼ1Fしかない。福島(292m)、小倉(293m)と比べても30mくらい短くなっている。一方でコーナー角は函館>福島>小倉>新潟の順でローカルでは大きいほう。とはいえ、小回りであることは変わらないのでコース形態と開幕週から考えても圧倒的に前が有利なレースとなる。際に過去10年で見ても3コーナーで10番手以下だった馬は
2023 キミワクイーン1着
2022 タイセイアベニール3着
2015 ティーハーフ1着、アースソニック2着、レンイングランド3着
2014 ロープティサージュ2着、クリスマス3着
といった感じ。意外といる。
2015年、2014年はかなり差し馬が台頭する馬場だったらしく、2016年~2020年までは息をひそめていた。2020年はミッキーブリランテが3着に着ているが、この時は札幌開催だったので除外。

意外と差し馬が台頭する理由の一つとしてはみんながインを意識しすぎてインをスムーズに捌けず、有力馬が直線のいいところから差してくるといったところだろうか。実際タイセイアベニールは12番人気と人気薄で最内を突いて3着だったし、2015年は差しのきく馬場で超持久戦。2014年も差しのきく馬場で2,3着はともにインを突いた人気薄。

ここから考えられることは人気薄の差し馬はインを突く必要があり、もまれ弱かったり、不器用で外から差すことしかできない馬はあまり買いたくはない。先行馬は当然買い。今年でいえば、抽選だがサウザンサニー、シュバルツカイザー、マテンロウオリオン、レイベリングあたりが3~4コーナーで後方にいると思われる馬。この辺は基本的に軽視していきたい。
また去年の覇者であるキミワクイーンは洋芝巧者というか、時計面に限界があるので北海道シリーズを待望していたと思う。今年も有力だろう。むしろ近走で見栄えしない成績なので人気を落とすようなら絶好のチャンスとなる。

アサカラキング
残念ながらこの馬は強いし、前で競馬できるし、さすがに今回軽視する要素があまりない。阪急杯もウインマーベル相手にハナ差の惜しい2着でほぼ勝ちに等しい。ただし、強いて言えば、阪急杯はやや低レベル戦でイン前有利な展開だったし、前走のモルガナイトSは1秒速い馬場の中で標準時計での決着だったので時計が優秀というわけでもない。また、前走は最内枠だったために同型よりも早くハナに立ってそのまま逃げ切ることができた。テンが速く、阪急杯でも大外枠からハナに立てる脚を持っているのでどの枠でも対応はできるとは思う。洋芝なので速い時計は求められないが、1200mのスピードで枠が外になればちょっと不利。ただ冒頭に書いたように軽視する要素はあまりない。

ウイングレイテスト
斤量59㎏で初の1200mは厳しい。

以下はスワンSのメモ。
”前走は京成杯AHで初ブリンカー着用で離れた番手で追走するも2着。勝てる流れではあったものの、ソウルラッシュがさすがに強すぎてクビ差の2着。離れた2番手でのんびり追走できたし、インが良い馬場でインを突いての2着と考えると比較的恵まれた展開だったか。ただし、ブリンカーが効いていたようで最後まで甘くならなかった。2走前は中京記念で4着も松岡が勝てるかなと思ったが最後の一押しが足りなかったとコメント。前走の内容からもブリンカーは着用してきそうで、積極的にここも運んでくるだろう。ただし、道悪はあまり得意ではなく、馬場が荒れると微妙かも。また距離短縮していい結果が出るかどうかはわからない。1600mがベストだと思う。”

という理由であまり評価はしていなかったが、結果的には1着。ブリンカーが良いほうに出ているらしく、前進気勢が強くなったとのこと。阪神カップはハイレベル戦でスワンSよりもタイムが速く、ウイングレイテスト自身もスワンSより0.3秒速い時計で走破している。また阪神カップは超ハイペースとなり、前がつぶれてしまう展開だった。展開面ではやむなしという感じだが、距離短縮してこれくらいのハイペースが今回も予想されるし、斤量は59㎏。同じ逃げ馬にアサカラキングもいるし、さすがに一筋縄ではいかない。ただスクリーンヒーロー産駒は洋芝が得意だと勝手に思っている。グラスワンダー産駒、モーリス産駒が洋芝得意なように。

オタルエバー
シルクロードS、オーシャンSとここ2戦は重賞に挑戦しているが、それぞれ16着、12着と奮わず。2走前のシルクロードSはスタートが良く、手ごたえもよく追走していたが、追われてから全く伸びず。前走は稍重の馬場で脚を取られて12着。粘り強く残してはいたものの、最後の100mで力尽きた。一方でラピスラズリSは手ごたえ良く追走して直線はしっかりと伸びて1着。ここ2走の手ごたえの悪さを考えると一度休養を入れた今回は回復しているかもしれないし、ラピスラズリSは過去最速の決着。名前の割に北海道は初めてで当然洋芝も初めてだが、重賞でどのくらいやれるか。ポテンシャルはありそう。

カイザーメランジェ
函館SSを制覇したことはあるが、その年は禁止薬物が検出され、大量に除外馬が出た年。運が良かったとは思う。9歳で時計の速い決着は苦手だし、時計のかかる馬場でこその馬。開幕週のここは軽視。時計のかかる千直あたりで見たい。

カルネアサーダ
前走は春雷Sで4着。春雷Sは高速馬場だった割には遅いタイムでの決着で着差も小さい。そんな中で番手追走で4着はあまり評価できない。2走前の淀単距離Sは4着とはいえ、勝ち馬からは0.7秒差。逃げて内前決着となったが大外から逃げるのはちょっと厳しかったかも。スタートが速い馬なのでアサカラキングと競り合う形になる可能性があり、そうなるとさすがに力負けしそう。ちなみに去年の函館SSは大外枠に入ってしまい、直線で離脱。枠が良くなかった。次走の青函Sは2着と好走。もともと洋芝は得意な馬で札幌でデビューして3歳時は洋芝で3連勝。昨年の北海道では4戦してすべて2桁馬番。特にしらかばSも開幕週で大外枠に入ってしまい、枠がきつい上にレコード決着。次走のUHB賞ではきっちり巻き返して2着だし、そもそもここも大外枠。あまりついていなかった。前走は福永厩舎に転厩緒戦。今回は慣れも見込めるし、期待値が高い。

キミワクイーン
去年の函館SSでは上位は内を通った馬が占める中でこの馬だけ外を回して上り1位で1着。しかも4コーナーは10番手だったので短い直線で開幕週の馬場を差して1着というのはさすがに評価せざるを得ない。時計面に限界があるので洋芝専用という感じ。

以下は去年のキーンランドカップのメモ。
”洋芝適性は高いし、前走は函館SSで1着。去年のスポニチ賞でもキーンランドCと僅差の時計で2勝クラス勝ちをしている。時計のかかる馬場の方が良く、洋芝は合っている。常に自分の時計で走ることはできるので、あとは馬場との相性次第。あまり軽視する要素はないか。”

あまり軽視する要素はないと考えていたが、重馬場が堪えたのか、7着まで。馬場の悪い内を回ってしまったのも悪く、厳しい展開となってしまった。前走はダービー卿でさすがに距離が長かったので参考外。2走前のオーシャンSは5着で緩い馬場だったことと馬場が遅かったことが好走の要因。今年の函館SSではぜひとも買いたい馬。多少の人気はやむを得ないが、近走からも人気は多少落としそうな馬。

サトノレーヴ
2走前は阪急杯4着だが、低レベル戦。前走は春雷Sで1着。高速馬場の中で1.5秒遅い決着となっており、ペースも中山1200mの割にスローで着差は5着までほとんどなし。その割に加速ラップでもないし、評価は高くない。ただし、勝浦Sの勝ち時計は翌日のスプリンターズSよりも速く、能力は決して低くない。前走が余計だが、総合評価は高い。

シナモンスティック
前走は春雷Sで8着。逃げて一杯になったがペースも遅く評価はできない。冬場はダメなの馬なのかここ3走は微妙で、去年の夏のような良さがない。札幌で好成績を残しているようにおそらく時計のかかる馬場の方がいいタイプ。ただピークアウトしている可能性も否めない。洋芝条件は合いそうだし、高速馬場すぎなければ。

ジャスティンスカイ
前走は鞍馬Sで初の1200m1着。1200mの割に瞬発力を要求されたレースで速い上がりの馬が上位を独占。足を溜められる展開が向いた。今回は前回よりもペースは速いだろうし、小回りにもなる。ペースの差で置いていかれる可能性も高い。

ジュビリーヘッド
前走は春雷Sで9着。良馬場で持久力を問われる流れがいい馬で前走の春雷Sは割と真逆に近い。2走前は稍重。昨年の函館SS2着のようにこの舞台は得意なはず。

シュバルツカイザー
前走は高松宮記念で13着だが、流石にレベルが高かった。2走前のオーシャンSは高松宮記念を目標にしたつくりでもさっとしており、状態は微妙。3走前はカーバンクルSでスタートを決めて好位につけて外を回されるも上がりを要す流れが向いた。3勝クラス、オープン戦をともに洋芝1200mで連勝しており、特にしらかばSはレコード勝ち。洋芝の高速決着には向いており、開幕週の函館SSは最適な舞台に思える。重賞レベルではないという可能性もあるが、ここは期待したい一頭。

セッション
レベルの低い世代だが、中山金杯では2着に着ている。ただシルバーステート産駒は早熟の馬が多い上に、初めての1200mとなるとペースも心配。またここ2走はあまりいい結果を残せていないのも気になる。2走前は前々で競馬するも大逃げを打つ馬の後ろとなってしまい、2番手以下はスローだったとはいえ直線ではもう足が残っていなかった。前走も出していったが、途中から来られてしまい、息が入らない展開で終わる。巻き返しの余地は十分にある一方で1200mはどうか。ただ持久戦は向いているだろうし、二の足も速い馬なので前にはつけられるとは思う。

ゾンニッヒ
もともとマイルで走っていたが、去年の青函Sでスプリント初参戦で1着。後続にも2馬身の差をつける勝利で先行馬が残る展開の中でも一瞬の脚で大外から鋭く差し切ったのはプラス評価。キーンランドカップは馬場が悪すぎたのでやむなし。淀短距離S、北九州短距離Sはともに2,3着で勝ってはいないが決め手をうまく発揮できなかった。前走はモルガナイトSで外枠に入ってしまい、早めに追い上げた分脚を使ってしまい、展開負け。今回も開幕週なので外枠に入ると難しそう。使える脚が短いので外からまくっていくと厳しい。

ビッグシーザー
4歳世代を代表するスプリンターだったが、まだ重賞タイトルは取れていない。前走の高松宮記念はさすがにレベルが高かった。2走前のオーシャンSは行きっぷりが悪い中でもうまく運べたが、かろうじての2着。促しつつの追走でペースが速かったかもしれない。また淀短距離Sは1着だが、内前決着で恵まれていた。速いペースには対応できなさそうだし、開幕週の馬場もあまりよくはなさそうで、人気なら疑う。抜けて強いほどではないし、4歳世代らしくやはりレベルは高くない。ただいつも人気になる。

マテンロウオリオン
近走はぱっとしない。スプリントに転向して3戦目となるが、2走前はオーシャンSで初の1200mを8着。前走は高松宮記念で16着。基本的に最後方になる馬なので切れ味勝負となるが、最近のレースを見ている限りだとあまり食指は動かない。開幕週だし。

サウザンサニー
抽選を突破し、この舞台へ。地味に芝のレースだと馬券を外したことはなく、目下3連勝中。すべて1200mだが、高いスプリント適性を誇る。比較的後方でのレースとなるため、展開だよりではあるが、それにしても良い脚を持っているので期待したい。開幕週で前で決まるかもしれないが、内枠にでも入ってインから鋭く突き抜けてくれれば。前走は外差しの決着で展開が向いていた面は否めないが、能力は高い。2走前は道悪の中でさらに道の悪い内を通って1着なので評価は高い。


もう枠も出ているが、印は
◎キミワクイーン
〇アサカラキング
▲カルネアサーダ
☆シュバルツカイザー
△サウザンサニー、サトノレーヴ、オタルエバー、シナモンスティック、ジュビリーヘッド

この9頭で。
ゾンニッヒは大外枠に入ってしまったので消し。サウザンサニーが最内枠に入ったのでここからインを突く競馬をしてほしいとは願っている。アサカラキングはこの枠に入ってしまうとさすがにもう軽視はできない。サトノレーヴは妙味があまりない分、△。ビッグシーザーは人気するだろうが、あまり買いたいとは思えないので消した。アサカラキングが強そうで正直あまり荒れないとは思っているが、キミワクイーン、カルネアサーダ、シュバルツカイザーあたりが良い穴になってくれれば。

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