中山牝馬S

中山1800mで行われる荒れやすい重賞。例年この時期は雨が降りやすく、馬場も重馬場で行われやすい。また今週金曜日及び土曜日は雪予報もあり、フェアリーポルカが勝った2020年に近い馬場かもしれない。
とにかく馬場が読みにくく、逃げが残ることもあれば差し決着になることもある。中山1800mはスタートが急坂で2コーナーを迎える頃に下り坂に入り、そこから残り1ハロンまでは平坦で息の入りにくいコース。最後には急坂が待っているため、馬場次第では差しが決まる。ただし、不良馬場ともなれば力のない牝馬は後ろから差しにくく、前が残りやすくなる。実際不良馬場だった2021年はロザムールがハナ差の2着で2020年はリュヌルージュが14番人気で2着で前残りしている。2012年の重馬場で施行された時はレディアルバローザが8番人気1着と逃げ切っている。重馬場以上での逃げ残りは要注意。
近5走で逃げた馬はグランスラムアスク、ハギノメーテル、ファンタジア、フィールシンパシーの4頭だがいずれも毎レース逃げているわけではなく、積極的に逃げるという馬でもない。なお、ハギノメーテルはアレグロモデラートと1/2での抽選待ち。
これらの中で今回逃げたいと考えるのはグランスラムアスクかフィールシンパシー。
グランスラムアスクは逃げて2,3勝クラスを連勝したし、未勝利戦、1勝クラスも逃げ切り勝ち。馬場も悪くなれば是非逃げて前残りを狙いたい。フィールシンパシーはターコイズSで逃げて2着という結果を残している。
この2頭には逃げ残りに警戒したい。

アレグロモデラート
ハギノメーテルと抽選1枠を争うことになるが考察はしておく。斤量50kgでまだ3勝クラスの見ながら前走は愛知杯で4着。前走は斤量51㎏だったので1㎏減るし、3番手からリズムよく運んでミッキーゴージャスと並んで直線に立って競り負けたという結果。ペースが上がったところで置いて行かれずに4コーナーで先頭に立ったし、牝馬限定重賞でハンデ50㎏なら十分通用しそう。2走前の修学院Sはハンデ53㎏だったが外枠が災いして先行争いから引いて控える形になり、3コーナーで追い上げるも伸び切れずの6着。そもそもレースでも掛かっていた部分があるので余力はなかった。切れる脚はなく、基本的に前々で先行して進めたいタイプなので外枠に入ると割引。枠順の並びも重要で外枠でもうちの馬が遅ければすんなり先行できるし、逆に内枠でも外からかぶせられると厳しい。理想は真ん中あたりの枠か。重馬場が苦手というわけではなさそうだが、重馬場と稍重馬場では成績を残せていない。

キタウイング
斤量は53㎏だが、近走は2桁着順が続いている。前走は中山金杯で14着も2000mは長かったし、1コーナーでごちゃついて向正面も力みがちでうまく走れず。時計のかかる馬場がよいし、ターコイズSも中山金杯も展開や不利があったのでやむなしという結果。1800mは守備範囲内だろうし、どこかで一発はあってもよい。使い詰めるのも問題ない馬。

ククナ
乗り難しいと言われていたが、割とテン乗りでもうまく乗られてしまう。前走は中山金杯で2着。スムーズな競馬ができて、外から鋭く伸びての2着。中山金杯は比較的前で決まっただけあって4コーナー10番手から2着に届いたのは上出来。継続騎乗になるし、ここはもうあまり軽視する要素はないか。評価を改める必要がある。ただ1800mは少し忙しい可能性があるし、馬場が悪いのは割引。できれば良馬場でやりたいと思う。

グランスラムアスク
能力的には厳しいが、展開の恩恵は得られそう。前走のダイヤモンドSはさすがに距離が長かった。勝っているレースはすべて左回りで右回りは少し微妙。能力的にも疑問符が付くし、正直ここは展開の恩恵が得られること以外はあまり買い要素がない。また古川奈穂はグランスラムアスクで逃げて2勝クラスを勝った経験があるのでここも思い切った逃げをしてくる可能性が高い。重馬場適性は不明。

クリノプレミアム
前走も前々走も時計が速く、対応できず。鞍上は松岡に戻るし、2ターンの1800mは歓迎できる条件。掛かる可能性もあるが、時計のかかる道悪は良い条件。もうそろそろラストランだと思われるが、ここは期待したい。十分に勝てるだけの器ではある。

コスタボニータ
阪神牝馬Sは内枠で恵まれた結果だと思い、その後はことごとく軽視したが、意外と走ってくる。3走前の府中牝馬Sは得意の東京コースだったが、8着。時計が速かったり、直線のキレ負けを考えると少し足りない内容。次走のディセンバーSはコーナー4つの中山で今回と同じ舞台で2着。小回りコースの方が結局得意そうで直線もスムーズで前が開き、反応良く抜け出すも最後にさされた。前走は愛知杯で3着。小倉開催でトップハンデの中でインを攻めて最後200mで脚色が衰えた。おそらく2000mは少し長い。またこれまでのオープンクラスのレースはほとんど内枠に入って内を突いて好走しており、大外枠だったメイSは好位でいっぱいになった。基本は内枠から好位で競馬するのが理想で外枠に入った場合は要注意。割と馬場と展開に恵まれている印象。

コンクシェル
前走で3勝クラスを勝ち、ここが昇級戦。とは言え、3歳の時は重賞戦線で戦っていたし、条件戦は2走前の節分Sで凡走しただけで1,2勝クラスは連勝で前走が昇級2戦目であっさり勝利。2走前は案外だったが、前走は番手から進めて3馬身差の圧勝。本来前走は逃げるつもりだったらしいが、もっと速い馬がいたので譲っての2番手。ハナが理想な馬だけに今回は逃げるかも。折り合いの悪い馬だが、キズナ産駒で母父がGalileoなら道悪はかなり得意そう。注目すべきは鞍ケ池特別で当時の中京開催で一番速い好時計を出した。秋華賞、ローズSはそもそも折り合いが悪かったり、落鉄があったのでやむなし。道悪経験はないが、血統背景的には力のいる馬場は得意だろう。今回も楽にハナを取れると展開の恩恵も得られそうで怖い。

シンリョクカ
秋華賞ではなく3歳時は古馬戦に挑んで府中牝馬S10着、エリ女9着、前走は古馬になって日経新春杯で10着と奮わず。ズブさが出てきているようで府中牝馬Sは外枠が災いしたものの、エリ女は大外から伸びがひと息。前走はいいスタートを切れたが、流れてしまったため、ハイペースで先行させられてキツい競馬になった。切れ味勝負だと分が悪く、時計が速いのもあまり良くはなさそう。重馬場は却って良いかもしれない。斤量は54kgだが、この舞台は比較的期待しても良さそう。

タガノパッション
まだ3勝クラスの身だが、前走は愛知杯で2着に好走。ただこの馬は小倉が得意で中山経験はない。小回りという点では得意だろうが、基本的に後ろから追い込んで来る競馬をするため、展開が向かないと難しい。また追い込みのきく馬場でないと厳しい。毎回確実に脚を使うが、3勝クラスを抜けられない理由は基本的に届かないため。今回も同様の展開が考えられるので来ても3着まで。乗り替わりで大野になるのもちと不安。

ハギノメーテル
3勝クラスで馬券にも入らない現状を考えると50kgでも厳しい。たとえ逃げても能力は足りていない。

ヒップホップソウル
前走のターコイズSが初の古馬戦だったが案外な内容。左にもたれる面があるので基本的に右回りが良い馬で中山は得意。ただし前走はスタートひと息でバランスを崩してしまい、ペースもスローで後ろの馬には展開が不向き。秋華賞は返し馬から力んでおり、ペースも遅くて4コーナー17番手から追い込むも9着まで。フラワーカップでは不良馬場の中、2着だったし、道悪への適性は悪くない。ただ口向きの難しいところがあったり、力みやすかったり、スタートがあまり上手くなかったりと色々と割引材料もあるので要注意。古馬になり、斤量も55kgと実績の割には重いので人気なら軽視しても良い。乗り難しい馬なのでテン乗りも割引か。

ファンタジア
前走は3勝クラス緒戦で10着。斤量は50kgとかなり恵まれている。気が入りすぎる馬で切れる脚がないので基本的に前々で運びたい。2度ダートを使って6走前の1勝クラスで芝に戻したが、ここから前走の10着までは全て馬券内。新潟で走った時のように稍重の馬場は比較的得意なようで時計面もかかる方が良い。今日も2500mは長く、1800mだと少し短いかも。2200〜2400mくらいがちょうど良さそう。距離短縮でペースが速くなり、ポジションが取れないと厳しい。

フィアスプライド
前走でターコイズSを勝利し、斤量は2kg増えて56kg。末脚が強烈で展開が噛み合わないとうまくいかないが、さすがはルメールという感じの前走。前走はポジションを取って先行して折り合って1着。それにしても2走前の府中牝馬Sで11番人気で4着だった馬が前走はルメールに乗り替わって1番人気は流石にやりすぎだと思う。前走から考えるとルメールはここもポジションを狙ってくるように思えるが善行が完璧すぎただけあって過剰人気になりそうな予感。また馬場が悪いとあまり良くない。斤量も増えるし、きても3着くらいのイメージ。

フィールシンパシー
ターコイズSは53kg背負って2着。今回も53kgとなり、フィアスプライドとは1kg差の斤量から3kg差になった。1.5馬身差しかなかったのが斤量2kg増えると単純に考えて差は小さくなる。ターコイズSではハナを着るとそのまま逃げ切ろうとしたが、最後にフィアスプライドに捕まった。切れる脚がないので基本は前で運びたい。前走はニューイヤーSで外を回るロスもあったが、逃げられずに9着と敗北。ただ距離が1800mだとギリギリで少し長い。内枠で好位につけられれば。

ラヴェル
アルテミスSでリバティアイランドに勝ったというのが実績だが、体は減りやすいし、ゲートも苦手。どちらかと言えば東京コースの方が得意で内回りの2ターンはあまり良い材料とは言えない。前走は京都記念で5着だったが、行きたがるのを宥めながら追走して4コーナーから仕掛けて最後までバテずの5着。キタサンブラック産駒故にあまり内回りも得意ではないだろうし、ここは軽視案件か。

ルージュエクレール
前走は昇級戦でスタートで待たされてしまい、あおってスタートして万事休す。展開的にも前が有利なレースだったし、度外視でOK。2走前は秋風Sでハンデ53kgを背負って後ろから進めてかなり理想的な展開に恵まれて1着。末脚は強烈だが、道悪かどうか。稍重は問題なかったし、あまり気にしなくても良さそう。継続騎乗で今回も後ろから進めるし、展開がはまれば。思った以上に逃げ先行馬が多い構成になっているので意外と前は早く展開に恵まれるかもしれない。

ルージュリナージュ
基本的に先行する脚がないので後ろからになるが後ろからでもちとキツい印象。ターコイズSは展開不向きのスタート不良だったので度外視。1800〜2000mでも良いとコメントしているのでこの距離に戻すのはプラスか。切れる脚は持っているので展開がハマれば。道悪は大丈夫。

枠にもかなり左右されるとは思うが、現時点での印は
◎クリノプレミアム
〇コンクシェル
▲シンリョクカ
☆キタウイング
△アレグロモデラート、コスタボニータ(外枠なら消し)、フィアスプライド(3着まで)、フィールシンパシー(内枠希望)、ルージュエクレール、ルージュリナージュ

人気馬はみんな注文がつくので今回は思い切って人気薄から狙う。
今回逃げ先行したい馬は
アレグロモデラート
グランスラムアスク
コスタボニータ
コンクシェル
シンリョクカ
ハギノメーテル
ファンタジア
あたりか。
フィアスプライド、ラヴェルあたりは微妙。真ん中あたりを取ってくるかもしれない。ラヴェルは出遅れも警戒。

この中で逃げたいという馬はコンクシェル、グランスラムアスク、ハギノメーテルあたりだろう。テンの速さでいえばコンクシェルが一番逃げやすいか。ただハンデ戦ということもあるし、3勝クラスの格上馬が逃げるということでワンチャン前残りを狙うなら何が何でも逃げたいという競馬をしてくる可能性はある。もちろんスローペース前残りを狙う可能性は十分にあるが、それだとスローペースを嫌う馬に前を取られる可能性もある(シンリョクカやコスタボニータのような切れ味勝負になると分が悪い馬に)。というわけでスローペースで逃げるというのは考えにくい。どちらかといえば早仕掛けの持久力っぽいレースになりそうで、そうなるとクリノプレミアムは能力を発揮できる。コンクシェルは楽に先行できると逃げ残る可能性が高い。シンリョクカは古馬になってからはパッとしていないが、展開面の不利もあったので馬場が重くなって時計がかかれば。キタウイングは正直微妙だと思うが、中山は得意部隊で距離短縮があればチャンスはある。あとは前が潰れるかどうか。

枠次第なところもあるので枠が決まったらもう一回考える。

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