安田記念

NHKマイルカップともVMともちょっと毛色の異なるG1。
よくVMとは対比されるが、VMはスローからの瞬発力勝負になりやすいのに対して安田記念は上がりのかかる持久力を問われやすいレース。ただし、ソングラインが安田記念を勝利した一昨年も去年も瞬発力を問われる展開となった。33ラップとしては±0くらいが理想で近年はややスローペース傾向。2021ダノンキングリーや2020グランアレグリアの時が安田記念らしいラップ構成である。
しかしやはりそういう傾向になるには程々の逃げ馬が必要で、今年逃げ馬として該当するのはウインカーネリアン、ドーブネの2頭。
ウインカーネリアンは去年も出走しており、去年はスローペース逃げを演出した。今年はドーブネもいて楽なスローペースは演出しにくい。ドーブネはスローでもハイでもレースができるし、相手が一級マイラーなら末脚比べでは持たないだろう。自爆覚悟での逃げをして欲しい。
というわけで今年も持久力を問われる展開としてあがりのかかる競馬が得意な馬を狙いたい。

ウインカーネリアン
前走は重馬場の高松宮記念で4着。地力を示した一戦だった。前走から距離が伸びるが元々はマイルで戦ってきた馬。東京新聞杯は2着だし、去年の東京新聞杯も1着。ただ東京新聞杯は比較的内前が有利なレースで安田記念とは少々異なる。前走の高松宮記念は重馬場の中でも速い決着での4着だが、0.7秒先とやや離されている。2走前は内前有利な馬場で粘って2着。4走前の毎日王冠は距離が長く、敗北。昨年の安田記念はゲートで出遅れそうになるもスタートはいいタイミングだったが、スローペース故に速めに後ろに来られる展開となり、8着。末脚比べのレースをすると基本的には分が悪い馬なのでスローペースで前残りを狙っても決め手のある馬に結局やられてしまう。ゲートもよくないし、ここではよほどハマらないと厳しい。またドーブネもいるので前を取ろうとすると比較的速めのペースになる可能性が高い。

ヴォイッジバブル
海外馬は評価できないので馬券に入れるとだけ。

エアロロノア
週末は雨予報で重馬場になる可能性が高い。前走も稍重馬場ではあったものの、4着にまで粘っているのはさすがの地力の高さ。去勢明けで馬体重も減らしたし、去勢明け2戦目でどうかといったところ。ただ基本的には道悪がダメな馬なのでここは軽視。もし仮に良馬場だと再度考える。

エルトンバローズ
レベルの低い4歳世代でラジオNIKKEI賞から毎日王冠と連勝したが、マイルCSから崩れた。毎日王冠ではシュネルマイスター、ソングライン相手に勝ち切っているので古馬でも十分に通用する馬。マイルCSはスタートから良い競馬をして直線もいい反応ではあったものの、やや力が足りず4着。最後は右手前のままで上がっていた。2走前の中山記念は稍重の馬場が悪く、終始のめって走っていた。前走も稍重で直線で伸びず。前走はチャンピオンズマイルで4月末に海外でレースをしてからの安田記念に参戦となるとさすがに間隔が短い。競馬場での調製にもなっているし、正直この中間があまりよくない。4歳馬云々とかではなく、単純に状態が不安。

ガイアフォース
フェブラリーS2着からの参戦。フェブラリーSからの参戦といえばカフェファラオがいたが、ガイアフォースは芝を主戦場としていたのでむしろ安田記念寄り。ただガイアフォースはフェブラリーS出走に当たって長岡が走り方を矯正し、ダートっぽい馬に仕上げた。それによって芝の適性が落ちたのならここは少々危険。2走前のチャレンジカップは凡走しているが、そもそもこれは天皇賞秋の反動が強すぎた結果疲労を残したままレースに出走したという過程がある。安田記念だとペースが比較的速いので前につけることもできず、一歩足りないというレースになりそうでここは軽視。

カテドラル
力量的にはG3までという感じでG1だと足りない。ただそれでも上りは速い脚を使えており、展開がよほどハマれば掲示板くらいには来ても良さそう。ここ3走とも時計の速い馬場だったし、その前はダート戦。最後に馬券に入ったのは去年の小倉大賞典で重馬場だった。小倉が得意な馬ではあるが、重馬場も得意で時計のかかる馬場が良い。そういう観点から言えばここは悪くない条件ではあるが、さすがに相手が強すぎるか。

コレペティトール
京都金杯は内馬場を利用して鋭く差して1着。マイラーズカップも内馬場が良いという条件が揃っていたので買ったが、結果的には伸びが一息で8着。相手が強くて力の差が出た一戦だった。4歳馬でこれからもっと成長していくと思われる馬ではあるが、ここは力不足。

ジオグリフ
2走前の中山記念で久々に芝に戻して3着。父がドレフォンなのでダート馬と思われがちだったが、実際はダートが合わないという結果が得られて芝に戻したら3着。稍重の馬場もよかったし、4コーナー手前から進出して最後まで脚色衰えずの3着。前走は大阪杯で-10kgと絞ってきて0.3秒差の5着。大阪杯は高速馬場で時計も速かった分、脚色は衰えなかったが、決め手がなく、敗北。ジオグリフはキレる脚がなく、じりじりと伸びていくタイプなのでどちらかといえば持久戦寄りの馬。皐月賞を勝利したときも標準時計でも1秒遅い時計で時計の要した決着だった。今年の安田記念は雨予報で仮に時計のかかる重馬場や稍重馬場なら本領を発揮できそうな条件になると思うのでここで巻き返しはあってもよいとは思う。ただ調整の難しい馬ではあるので、そのあたりをうまく持っていけるか。

ステラヴェローチェ
長期休養から復活して大阪城S1着、大阪杯4着と好走。重馬場が得意な馬でもあるし、週末の天気も歓迎。6歳とは言え、まだまだ上積みもあるし、じわじわと伸びる脚も安田記念には合っていそう。持久力を問われる方がよさそうな感じもするし、雨ならやはり推すべき馬。マイルはサウジアラビアRC以来なのでやってみないとわからない。

セリフォス
マイルCS、香港マイルと着順を落としてもうピークが過ぎたかなと思ったところでマイラーズカップは2着に好走。

以下はマイラーズカップのメモ。
”マイルCS勝ち、安田記念2着という結果を踏まえてもここは軽視できない。ただ、去年のマイルCSは8着と敗北しており、力みの強い競馬になっていたらしい。その後、香港マイルに出走するも7着と敗北。体調が整わなく、その分調整が遅れたことが原因か。今回は海外明けに4ヶ月半の休み明けで太め残りらしいし、本番は安田記念と考えると叩きか。ダイワメジャー産駒故に早熟の気もありそうで、1400mくらいの方が良いのでは?とは思う。能力は疑っていないが、気性にムラがある。”

という感じだったので今回が本番。上積みもあるし、正直軽視はあまりできない。川田もこの状態で良くここまで走れたと思うと言っていたくらいには状態は100%に程遠かった。ここは素直に軸ならこの馬か。

ソウルラッシュ
週末は待望の雨。前走のマイラーズカップも強い内容での勝利。1秒遅い馬場で標準時計の決着だし、タイムも優秀。

前走のメモ。
”G1勝ちこそはないが、去年のマイルCSでは2着。ナミュールともクビ差の競馬をしており、能力は折り紙つき。59kg背負った京成杯でも勝利しているし、去年のマイラーズカップは惜しい3着ではあったが大外枠から厳しい競馬を強いられた中での結果と考えると最も軸に向いているのはこの馬。セリフォスは不安要素があるのに対してソウルラッシュは不安要素が少ない。”

まあこの馬も正直レベルが高いので雨で歓迎のこの馬場では軽視しにくい。しかも鞍上もモレイラ。今年の安田記念は荒れなさそう。

ダノンスコーピオン
前走が転厩緒戦で福永厩舎に転厩。そこでかなり工夫したようでこれまで凡走続きだった馬がここで4着に好走。フィジカル面がかなり改善しているようで、収穫のあるレースだった。環境にも慣れてきているし、前走時からももう一つ上げたいと福永がコメントしているのを考えると、ここは割と勝負かもしれない。やはり福永としてもこの馬を立て直してここでG1を取らせようものならそれは福永の調教師としての実績に大きく貢献もするだろうし、ダノンからの預託もかなり増える可能性がある。前走は出負けして少しきつい展開の中だったし、直線を向いて進路を探す形になったが、それでも4着。かつてはNHKマイルカップやアーリントンカップで勝った馬だけあり、能力は高い。前走の感じからは期待しても良さそう。しかも前走は持久力を問われる流れになって9番手から上り2位の脚を使っての4着。標準より少し遅い時計だが、加速ラップだったし、素直にレベルは高いと思う。ただレッドモンレーヴにはちょっと劣る。前走からの上積みがどのくらいあるか。

ドーブネ
鞍上は菱田君に乗り替わり。前走は中山記念で2着。スタートはエエヤンに一瞬ハナを奪われかけたり、内の馬が速くて思ったよりもテンのスピードが速くなってしまったが、絡まれることなく逃げて残り1ハロンまでは先頭で最後にマテンロウスカイに差されて2馬身差の2着となった。稍重でも開幕週で内が良い状態だったので逃げには絶好の馬場だったが、それでもハイペースの逃げを演出して2着に残っているのは評価。残念ながら安田記念では逃げ馬を買う予定はないので軽視ではあるが、このペースで逃げてもらえることを願う。内枠希望。

ナミュール
前走はヴィクトリアマイルで8着。いつものことながら出遅れて直線勝負になったが、じりじりと差を詰めるだけで鋭い切れ味のある脚は使えなかった。ドバイから間隔があまり開いていなかったのもよくなかった様子。いろいろと反省する点も多かったようで、今回はしっかりと調整してこの舞台に臨む。昨年のマイルCS覇者だけに春秋マイル王者を目指してはいるが、ソウルラッシュやセリフォス、海外馬と強敵もそろっており、一筋縄ではいかないというのが実情だろう。ペースが速くなっても後ろでじっくり脚を溜めるタイプだけに、瞬発力を活かすことができれば。

パラレルヴィジョン
鞍上はルメールで、安田記念は持久力ラップが問われるレースだけあって、折り合い重視のルメールがあまり得意とするレースではない。事実グランアレグリアやアーモンドアイ、シュネルマイスターをもってしても1着を取れたことはない。惜しい競馬はできるのだが、最大限のポテンシャルを引き出すことができないとみていい。今年はパラレルヴィジョンに乗るが、目下2連勝中。一瞬ダートで3勝クラスを勝ちあがったが、本質的には芝の馬。前走のダービー卿CTは稍重の馬場で上りのかかる展開で前目につけて快勝。-16 kgとかなり減らしていたが、3勝クラスのJRAアニバーサリーSを勝利したときと比べると-6㎏でそこまで減らしていたわけではない。ただ、さすがに減りすぎの感じはあった。さすがにこの中間は戻してくるとは思う。ただ前走は大逃げする馬の後ろでスローペースで進めた結果、前残りしたという形で見た目はハイペースでも実質スローだった。つまり、スローペースで前残りしているというのが正しい見解だと思う。長らく2000m前後を走っていたが、マイルに短縮してから適性が出てきているのかもしれない。ただし、中山マイルのみでの好走で東京に移ってどうかというところはある。

フィアスプライド
前走はヴィクトリアマイルで2着。今年のヴィクトリアマイルは例年と異なり、スローペースの切れ味勝負とはならず、むしろほぼ加速ラップの持久力勝負となった。逆に府中牝馬Sや関屋記念のように瞬発力を求められるようなレース展開では負けており、まさに安田記念向けといっても良さそうな馬。中山牝馬Sは持久力を問われる流れになってはいたが、まくる競馬をして疲れてしまった。1ハロン延長もあまりよくなかった様子。ただ牡馬相手に通用するかどうかというのが1つの鍵。マイル戦の成績は結構良いので穴で狙いたい。

レッドモンレーヴ
地味に一番買いたい馬で前走のスプリングSは加速ラップで上り32.2秒とほぼ限界の脚。最後方からだったが、かなり良い脚を使えているし、東京向けの馬。出負けして後方からだったが、持久力ラップの中で後方待機でこの脚を使えるのはまさに安田記念に向いていると思う。2走前の中山記念は適性外で度外視。3走前のマイルCSはナミュールに弾かれて脚色がそがれてジリジリで9着。また流れも速かった様子。昨年の安田記念は6着と敗北しているが、この年はスローペースで例年の安田記念とは異なるラップ。ただし、馬場が悪くなると少し心配ではある。

ロマンチックウォリアー
強いのはわかっているが適性も何もわからないのでとりあえず馬券には入れる。

以上で印は
◎ジオグリフ
〇セリフォス
▲ソウルラッシュ
☆フィアスプライド
△ダノンスコーピオン、レッドモンレーヴ、ナミュール、ステラヴェローチェ、ロマンチックウォリアー、ヴォイッジバブル


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