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郡民兵と州兵

郡民兵とは何ですか?

「郡民兵」とは、基本的には地域や郡(カウンティ)を基盤とした民兵組織を指します。この用語は、特にアメリカの歴史において重要な意味を持っていますが、他の国々でも似たような概念が存在することがあります。

アメリカの歴史において、郡民兵は地域の防衛や治安維持に貢献する非常勤の軍事組織として機能していました。これらの組織は、国家が直面する危機や戦争時においては、国家の正規軍を支援する役割を果たすこともありました。郡民兵は、一般的に地域社会のメンバーによって構成され、地域社会の安全と利益を守ることを主目的としていました。

郡民兵の概念は、自衛や共同体の保護という点で、現代の州兵や国民警備隊に似ていますが、歴史的な文脈や組織の性質においては異なる側面があります。また、郡民兵は地域コミュニティに根差した組織であるため、その活動や組織構成は地域によって異なることが一般的です。

誰が指揮権を有するのでしょう?

郡民兵の指揮権は、その組織が存在する国や地域、そしてその組織の性質によって異なります。しかし、一般的な原則としていくつかの点を挙げることができます。

  1. 地域的指導者: 歴史的に、郡民兵はしばしば地域の著名な指導者や有力者によって指揮されていました。これらの指導者は、しばしば社会的、経済的、あるいは軍事的な背景を持つ人物でした。

  2. 民選または任命された指揮官: 現代の民兵組織や国民警備隊の場合、指揮官は選出されるか、あるいは高位の政治的指導者(例えば州知事)によって任命されることが一般的です。

  3. 正規軍との関係: 郡民兵が国家の正規軍の一部である場合、その指揮系統は正規軍の階層に組み込まれることがあります。これにより、国家の軍事的指導者が民兵の運営に影響を及ぼすことがあります。

  4. 地方政府との関係: 地方政府が民兵を支援または資金提供している場合、地方政府の公職者や当局が指揮権を持つことがあります。

  5. 独立した組織: 一部の民兵組織は、独立して運営されており、内部の選挙や規則によって自らの指導者を選出しています。

これらは一般的なガイドラインであり、特定の郡民兵の指揮構造はその組織の具体的な歴史、目的、および法的枠組みによって大きく異なる可能性があります。

米国では今でもあるのでしょうか?

米国において、伝統的な「郡民兵」の形態は、歴史的な文脈において用いられていたもので、現代ではその形態や組織は大きく変化しています。現代の米国では、以下のような形態がその役割を引き継いでいます:

  1. 州兵(National Guard): 現代の米国では、州兵(National Guard)が郡民兵の役割に最も近い組織です。州兵は各州の知事の指揮下にあり、国内の緊急事態や災害対応に活動します。また、連邦政府の要請により海外での軍事作戦に参加することもあります。

  2. 予備軍(Reserve Forces): アメリカ軍の予備軍も、国内の緊急事態に対応し、必要に応じて活動する組織です。これらは州兵とは別に存在し、直接連邦政府の指揮下にあります。

  3. 自主的な民兵組織: 一部の個人やグループは、自主的に民兵組織を形成していることがあります。これらの組織は公式の軍事組織ではなく、その活動や組織は州や連邦の法律によって異なる制限を受けています。

  4. その他の地域防衛組織: 一部の地域では、地域固有のニーズに応じて独自の防衛組織が存在する場合があります。これらは公式な軍事組織ではなく、地域コミュニティの安全を目的としています。

これらの現代の組織は、郡民兵が持っていた地域防衛や非常時対応という基本的な役割を継承していますが、その組織構造、指揮系統、法的地位は大きく異なります。また、いくつかの州では、州の法律に基づいて独自の州防衛軍を設立している場合もあります。これらは通常、州兵や予備軍とは別個に運営されています。

米軍と州兵の関係はどのようなものでしょうか?

米軍と州兵(National Guard)の関係はユニークで、二重の指揮構造を持っています。この関係は以下のように特徴づけられます:

  1. 二重の指揮系統: 州兵は通常、各州の知事の指揮下にありますが、連邦政府の要請により、アメリカ合衆国大統領の指揮下に置かれることもあります。これにより、州兵は州レベルでの任務と連邦レベルでの任務の両方に対応することができます。

  2. 国内任務と国際任務: 州兵は主に国内での災害対応、緊急事態管理、およびその他の州レベルの任務に従事します。しかし、必要に応じて、彼らは国外の軍事作戦にも参加します。これは、彼らが連邦政府によって「連邦化」された場合に発生します。

  3. 訓練と装備: 州兵は、その訓練と装備において連邦軍と密接に協力しています。彼らは米軍の基準に従って訓練され、しばしば連邦政府から装備や資金を受け取ります。

  4. 予備軍との違い: 州兵は予備軍(Reserve Forces)とは異なる組織です。予備軍は常に連邦政府の指揮下にあり、主に連邦レベルの任務に焦点を当てています。一方、州兵は州と連邦の両方の任務に対応します。

  5. 法的地位: 州兵の法的地位は、連邦法と州法の両方によって規定されています。彼らは国内および国際的な任務のために、特定の法的枠組みの下で動員されます。

この二重の指揮系統は、州兵が柔軟に国内および国際的なニーズに対応できるようにするためのもので、災害対応、緊急事態管理、および軍事作戦において重要な役割を果たしています。

州兵の装備は、米軍とは異なり独自の選択ができますか?

州兵の装備に関しては、主に以下の点が考慮されます:

  1. 標準化と互換性: 州兵は通常、米軍と同様の装備を使用します。これには、標準化された武器、車両、通信機器などが含まれます。この標準化は、州兵が連邦政府の要請により連邦化された場合、または米軍と共同で作戦を行う場合に、互換性と効率的な統合を確保するために重要です。

  2. 連邦政府からの資金提供と装備提供: 州兵の装備は多くの場合、連邦政府から提供されます。これには、国防予算を通じての資金提供や、過剰な軍事装備の移管が含まれることがあります。

  3. 州の予算と要件: 州によっては、独自の予算を使用して特定の装備を購入することもあります。これは、州特有のニーズや任務に応じて行われることがあります。例えば、特定の自然災害に対応するための特殊装備や、特定の地理的・気候的条件に適した装備などです。

  4. 独自の選択の限界: しかし、州兵の装備選択には限界があります。全国的な軍事標準や運用の互換性、予算の制約などの要因が影響します。したがって、州兵が完全に独自の装備を選択することは稀であり、一般的には米軍の装備と類似または同一のものを使用することが多いです。

総じて、州兵の装備は米軍のものと多くが共通していますが、地域固有の要件に合わせて特定の装備が選択される場合もあります。このバランスは、国内外での作戦効率と、地域特有のニーズの両方を満たすことを目的としています。

州兵の階級は、米軍と同等なのでしょうか?

はい、州兵(National Guard)の階級体系は、米軍(アメリカ陸軍および空軍)の階級体系と同等です。この同等性についての主なポイントは以下の通りです:

  1. 階級の同等性: 州兵の階級は、米軍とほぼ同じです。たとえば、陸軍州兵の階級はアメリカ陸軍の階級と同じで、空軍州兵の階級はアメリカ空軍の階級と同じです。

  2. 階級章と肩章: 州兵の階級章や肩章も、米軍のものとほぼ同様です。これにより、州兵が連邦サービスに呼び出されたとき、または連邦軍と共同で任務を遂行するときの統合と調整が容易になります。

  3. 昇進と階級の適用: 州兵の階級昇進は、一般に州の知事の承認を必要としますが、階級の基準と要件は米軍のそれに準じます。また、州兵が連邦政府の指揮下に置かれた場合、彼らの階級は連邦軍内で同等に扱われます。

  4. 訓練と評価: 州兵の階級昇進には、通常、米軍の基準に基づく訓練と評価が含まれます。これは、州兵が連邦レベルでの任務に対応する能力を持っていることを保証するためです。

  5. 二重の任務の性質: 州兵が州の任務に従事するときも、彼らは同じ階級を保持し、その階級は州と連邦の両方で認識されます。

このように、州兵の階級体系は米軍の階級体系との間で高いレベルの統一性を保持しています。これは、国内外での作戦の効率性と統合を促進するための重要な要素です。

州兵の組織に、「将軍」や「将官」はいますか?

はい、アメリカ合衆国の州兵には「将軍」や「将官」が存在します。州兵の将官は、陸軍州兵と空軍州兵の両方に含まれ、様々な階級の将官がいます。

州兵の将官は、以下のような階級を持つことがあります:

  1. 准将(Brigadier General): 一つ星の将官で、通常、旅団級の指揮官や州兵内の高位の職務を担います。

  2. 少将(Major General): 二つ星の将官で、師団級の指揮官やより高位の州兵の職務に就くことがあります。

  3. 中将(Lieutenant General): 三つ星の将官で、非常に高位の州兵の職務に就くことがあります。

  4. 大将(General): 四つ星の将官で、最高位の州兵の職務に就くことがあります。

州兵の将官は、各州の知事によって任命されることが多く、連邦政府からの承認も必要とされることがあります。州兵の将官は、州内での任務だけでなく、必要に応じて国家レベルでの任務にも従事します。また、州兵の将官は、州兵が連邦化された際には、連邦軍の指揮構造に組み込まれることもあります。

州兵の将官は、州や国の安全保障に関わる重要な決定を行い、州兵の組織と運営において中心的な役割を果たします。彼らは、専門的な軍事訓練と経験を持ち、多様な軍事作戦や災害対応において重要なリーダーシップを提供します。

州兵に海軍はないのですね?

正確には、アメリカ合衆国の州兵には「海軍州兵」という組織は存在しません。アメリカの州兵システムは主に陸軍州兵(Army National Guard)と空軍州兵(Air National Guard)によって構成されています。これらの組織は、それぞれアメリカ陸軍およびアメリカ空軍と密接に連携しています。

一方で、海軍と海兵隊の役割に相当する予備部隊は、それぞれ「海軍予備役(United States Navy Reserve)」と「海兵隊予備役(United States Marine Corps Reserve)」として存在します。これらの予備役部隊は、本来の海軍や海兵隊と同じく、連邦政府の直接的な指揮下にあります。

州兵と海軍予備役の主な違いは、その指揮構造と活動の焦点にあります。州兵は州レベルの任務(自然災害への対応や地域社会の支援など)に重点を置き、必要に応じて連邦政府の指揮下に入ります。一方で、海軍予備役は主に連邦レベルの任務に従事し、海軍の能力を補完する役割を果たします。

米国の州兵が、海外派遣された例はありますか?

はい、アメリカ合衆国の州兵(特に陸軍州兵と空軍州兵)は、過去に海外での軍事作戦に派遣された例があります。これらの派遣は、通常、国家の安全保障や国際的な義務に基づくもので、特に大規模な軍事作戦や国際的な紛争に関連しています。

主な例は以下の通りです:

  1. 世界大戦: 第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、多くの州兵部隊がアメリカ軍と共に海外に派遣され、戦闘に参加しました。

  2. コリア戦争とベトナム戦争: これらの戦争では、州兵部隊が限定的ながらも海外での戦闘任務に従事することがありました。

  3. 湾岸戦争: 1990年から1991年にかけての湾岸戦争では、多くの州兵部隊が海外に派遣され、戦闘に直接参加しました。

  4. アフガニスタンおよびイラクの紛争: 2001年のアフガニスタン侵攻と2003年のイラク戦争では、多数の州兵部隊が長期間にわたって海外に展開し、重要な役割を果たしました。これらの部隊は、戦闘任務だけでなく、訓練、建設、治安維持など多岐にわたる任務に従事しました。

  5. 平和維持活動と人道的任務: 状況に応じて、州兵部隊は国際的な平和維持活動や人道的任務にも参加しています。

これらの派遣は、州兵部隊が連邦政府の要請に応じて「連邦化」されたときに発生します。この場合、彼らはアメリカ合衆国大統領の指揮下に置かれ、通常の軍隊と同様に機能します。州兵が海外に派遣される際は、その任務、規模、期間は多岐にわたり、特定の政治的、軍事的な状況によって異なります。

一番大きな規模の州兵を持つ州はどこでしょう?

最新のデータによると、アメリカ合衆国で最も大きな州兵を持つ州はテキサス州です。テキサス州兵はその規模と能力で特に目立っており、約21,000人の兵士を擁しています。これには、陸軍州兵と空軍州兵の両方が含まれます。さらに、テキサス州には第19特殊部隊群の2つの会社と、空軍州兵の戦闘機及び攻撃部隊があり、ストライク能力とドローン能力を提供しています。

テキサス州に続いて、大規模な州兵を持つ州にはカリフォルニア州、ペンシルベニア州、オハイオ州、ニューヨーク州、ジョージア州があります。各州の州兵はそれぞれ独自の能力と規模を持っています。カリフォルニア州の州兵はテキサス州とほぼ同等で、第19特殊部隊群に強力なグリーンベレー部隊を持ち、約18,000人の兵士がいます。ペンシルベニア州兵は約18,500人の兵士を擁しています。オハイオ州は地理的には小さいですが、グリーンベレー部隊や歩兵旅団戦闘チームを含む16,500人の兵士を有する能力の高い州兵を持っています。ニューヨーク州の州兵は約15,500人で、2つの航空攻撃部隊と歩兵旅団戦闘チームを持っています。ジョージア州の州兵は特殊部隊は持っていませんが、約14,000人の兵士を擁し、歩兵旅団戦闘チームを含んでいます。

これらの数字は、国内外での災害対応から国際的な紛争への関与まで、州兵が果たす多様で重要な役割を反映しています​​​​​​。

911のときに、多くの州兵が空港の警備をするのを見ました。

911のテロ攻撃後、アメリカ国内の空港での州兵の警備活動は大きく変化し、その役割は以前とは大きく異なるものとなりました。この攻撃は、アメリカ国民の安全に対する認識と、国防体制の見直しを促しました。

9/11以降、州兵は国内での安全保障の重要な役割を担うようになりました。州兵は、主に空港での警備や監視活動に従事し、空港のセキュリティ体制の強化に貢献しました。このような変化は、州兵が単なる「週末の戦士」から、常に活動的でプロフェッショナルな軍事組織へと進化したことを示しています。

特に、ニューヨーク州兵は9/11の攻撃時に、空港だけでなくワールドトレードセンターの現場(グラウンドゼロ)でも活動しました。彼らは、現場の安全確保、瓦礫の撤去、物資の管理など、様々な支援活動を行いました。また、ペンタゴン攻撃の際には、北ダコタの第119戦闘航空団が、ワシントンD.C.上空での戦闘空中哨戒を実施しました。これらの出来事は、州兵が国内での緊急対応において重要な役割を果たすことを浮き彫りにしました。

9/11の影響は、州兵の構造や組織にも反映され、彼らは戦闘準備のレベルを高め、訓練や装備の面でも活動的な軍事組織としての性質を強化しました。この変化は、州兵が国内の安全保障におけるより積極的な役割を果たすようになったことを示しています。

このように、911のテロ攻撃は、アメリカ合衆国の州兵の役割と活動に大きな変化をもたらしました。彼らは、単なる予備軍から、国家の安全と安定を守るための主要な軍事組織へと変貌を遂げたのです​​​​。

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