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逮捕から起訴までのしくみ

書類送検ってよく聞きますが、どういうものでしょう?

書類送検とは、警察が犯罪の捜査を行った結果、犯罪があったと判断した際に、その犯罪に関する証拠や関連書類一式を検察官に送る手続きのことを指します。このプロセスを通じて、検察官は警察が提供した証拠や情報を基に、犯罪容疑者を起訴するかどうかを判断します。
具体的には、警察が犯罪の捜査を終えると、その犯罪に関する全ての証拠、取り調べの記録、被疑者の供述調書、被害者や目撃者の証言などを含む捜査書類をまとめます。これらの書類は検察庁に送られ、検察官がこれを基にして事件を再評価し、正式な起訴に足る十分な証拠があるかを検討します。
書類送検は、特に刑事事件において重要な手続きであり、起訴に至るかどうかの重要な分岐点となります。検察官は送検された書類を検討した上で、起訴(公訴を提起する)、不起訴(起訴しないことを決定する)、または追加捜査を警察に要請するなどの決定を行います。不起訴の場合でも、その理由には「嫌疑なし」、「証拠不十分」、「公訴時効成立」など様々あります。

書類送検は、逮捕でなくとも行われるのでしょうか?

はい、書類送検は逮捕されなくても行われることがあります。逮捕は犯罪容疑者を身柄拘束する行為であり、犯罪の重大性や逃亡の恐れ、証拠隠滅の危険性などに基づいて行われます。一方で、書類送検は警察が捜査を終えた後、事件に関する証拠や情報を検察官に送る手続きです。
逮捕せずに書類送検するケースは、犯罪が比較的軽微である場合や、容疑者が逃亡の恐れがなく、証拠を隠滅するおそれもない場合などに見られます。例えば、交通違反や軽微な窃盗などの犯罪で、容疑者が犯行を認めている場合や、社会的な立場や家族状況などを考慮して逮捕が不必要と判断される場合などです。
このような場合、警察は容疑者を現場で事情聴取した後、必要な書類や証拠を収集して検察官に送ります。その後、検察官は提出された書類を基にして、起訴するかどうかを判断します。逮捕されなくても、書類送検された事実は犯罪歴として記録される可能性があります。

書類送検されたかどうかは、本人はどうやって知るのでしょう?

書類送検されたかどうかを本人が知る方法は、直接的なものと間接的なものがあります。

  1. 直接的な通知:

    • 検察官からの通知: 検察官が書類送検を受けて起訴を決定した場合、被疑者または被告人に対して正式な通知が行われます。この通知には、起訴内容や法廷での審理に関する情報が含まれることが一般的です。

    • 警察からの説明: 書類送検のプロセス中、またはその後で警察が被疑者に対して情報を提供することもあります。ただし、この通知は法的に義務付けられているわけではなく、ケースバイケースで行われることが一般的です。

  2. 間接的な手段:

    • 弁護士を通じて: 被疑者が弁護士を雇っている場合、弁護士が検察官や警察と連絡を取り、事件の進行状況について情報を得ることができます。弁護士はその情報をクライアントに伝える責任があります。

    • 書類の請求: 一部の司法管轄区では、本人またはその代理人が特定の手続きを経て、自身の捜査書類や事件に関する情報を請求できる場合があります。ただし、これには制限や条件がある場合が多いです。

ただし、書類送検が行われた事実そのものについて被疑者や一般公開に明示的に通知されるわけではないことが多いです。そのため、自分の事件が書類送検されたかどうかを確実に知る方法は限られており、状況や地域の法律によって異なることがあります。もし自身の書類送検の状況を知りたい場合は、弁護士に相談するのが最も確実な方法と言えるでしょう。

書類送検だけでは、前科がつくわけではないのですね。

そうです、書類送検だけでは前科がつくわけではありません。前科が記録されるのは、裁判で有罪判決を受けた場合に限られます。書類送検はあくまで捜査機関が検察官に対して捜査結果を報告し、その後の法的手続きを進めるためのプロセスの一部です。
具体的には、警察が犯罪の疑いがあると判断した場合に、その証拠や関連書類を検察官に送付しますが、これは起訴のための提案であり、実際に起訴され、裁判で有罪と判断されるまでは、法的には「無罪」と見なされます(無罪推定の原則)。
検察官は送検された書類を基にして、その事件を起訴するかどうかを決定します。もし検察官が起訴を決定した場合、その後の裁判手続きで被告人が有罪と認定されれば、その時点で初めて前科がつくことになります。起訴されなかったり、裁判で無罪判決を受けたりした場合には、前科はつきません。
したがって、書類送検されたからといって必ずしも前科がつくわけではなく、法的な手続きを経て裁判で有罪と認められた場合にのみ、前科が記録されます。

操作が行われたら、必ず書類送検は行われるのでしょうか?

逮捕が行われた場合でも、必ずしも書類送検が行われるわけではありません。書類送検は捜査機関が犯罪の疑いがあると判断した場合に、その証拠や関連書類を検察官に送る手続きですが、逮捕された全てのケースがこのプロセスを経るわけではありません。
逮捕後のプロセスは以下のように進むことが一般的です:

  1. 逮捕: 犯罪の疑いがある人物が警察によって逮捕されます。

  2. 勾留: 逮捕された人物は、通常、警察によって一定期間勾留され、捜査が行われます。この期間中に警察は証拠を集め、事情を聴取します。

  3. 書類送検の検討: 捜査の結果、警察が犯罪の疑いが十分にあると判断した場合に、関連書類を検察官に送ることを検討します。しかし、証拠が不十分であるとか、犯罪の疑いが晴れたと判断された場合には、書類送検せずに釈放されることもあります。

したがって、逮捕されたからといって必ず書類送検が行われるわけではなく、その後の捜査の結果や証拠の有無、犯罪の性質などによって、検察官に送るかどうかが決定されます。また、犯罪の疑いが薄い場合や、社会的影響が小さいと判断された場合には、書類送検せずに事案を終了することもあります。

在宅起訴は、逮捕はされないが起訴はされると言うことでしょうか?

在宅起訴とは、被疑者が逮捕されずに自宅などにいる状態で、検察官によって正式に起訴されることを指します。逮捕とは異なり、在宅起訴では被疑者が身柄を拘束されることなく、起訴された事実に基づいて裁判所での審理が行われます。この場合、被疑者は自由な状態で裁判に臨むことになります。
在宅起訴が選択される理由にはいくつかありますが、主なものとしては以下のようなケースがあります:

  • 身柄拘束の必要性が低い場合:逃亡の恐れがない、犯罪の重大性が比較的低い、社会的影響が限定的であるなどの理由から、被疑者を逮捕して拘束する必要がないと判断される場合。

  • 健康状態や年齢:被疑者が高齢である、重い病気を患っているなど、身体的な理由から逮捕・拘留が適切でないと判断される場合。

  • 犯罪の性質:暴力を伴わない犯罪、初犯であること、反省の意志が見られるなど、犯罪の性質や被疑者の態度によっては、在宅のまま起訴されることがあります。

在宅起訴されると、その後の裁判で有罪判決を受けた場合には前科がつくことになります。ただし、在宅起訴そのものが前科になるわけではなく、裁判の結果として有罪と認定された場合にのみ、前科が記録されます。

不起訴と起訴猶予の違いを教えて下さい。

不起訴と起訴猶予は、いずれも検察官が犯罪の疑いがある人物に対して公判を求めない(裁判にかけない)決定を下す場合に用いられる用語ですが、その背景や意味合いには重要な違いがあります。

不起訴

不起訴は、検察官が犯罪の容疑者に対して裁判を行わないと決定したことを意味します。不起訴には主に二つの理由があります:

  1. 嫌疑不十分(証拠不足):犯罪の証拠が不足している、または犯罪が行われたと確信できる十分な証拠がないため、起訴に至らないケースです。この場合、容疑者は無罪とは言えず、ただ単に起訴されないだけです。

  2. 嫌疑なし:捜査の結果、容疑者が犯罪を犯していないことが明らかになった場合です。この判断が下されれば、容疑者はその疑いから完全に解放されます。

起訴猶予

起訴猶予は、検察官が犯罪の事実を認めながらも、被疑者の年齢、前歴、犯行の動機、行為の軽重、被害の状況、その後の行動などの事情を考慮して、起訴を見送る決定を下した場合に用いられます。起訴猶予には、以下のような理由が考えられます:

  • 犯罪の軽微さ

  • 犯行後の被疑者の態度(反省している、被害者との間で和解が成立している等)

  • 社会的な影響や被害者との関係

  • 初犯であることや若年であることなど、被疑者の背景

起訴猶予は、ある種の「条件付きの免除」と見なすことができ、将来同様の犯罪を犯した場合には、この起訴猶予の事実が考慮される可能性があります。
要するに、不起訴は「犯罪の証拠が不十分であるか、犯罪がなかったと判断された場合」に適用され、起訴猶予は「犯罪があったと認められるものの、特定の事情を考慮して裁判を行わないことを決定した場合」に適用されます。

いずれも検察官が独断で決めるのでしょうか?

検察官が不起訴や起訴猶予の決定を下す際には、一定の裁量権を持っていますが、これらの決定は完全に独断で行われるわけではありません。検察官は法律、証拠、そして様々な事情を慎重に検討した上で、これらの決定を下します。また、重要なケースや複雑な事件では、決定を下す前に上司や検察官の間で相談が行われることも一般的です。以下は、そのプロセスにおけるいくつかの重要な側面です:

  1. 法律と証拠の検討

    • 検察官は、利用可能な証拠、被疑者の供述、目撃者の証言などを基に、犯罪が行われたかどうか、そして法律に基づいて起訴が正当化されるかどうかを検討します。

  2. 方針とガイドライン

    • 多くの検察庁では、不起訴や起訴猶予を含む様々な決定に対してガイドラインや方針を定めています。これらは検察官が一貫性を持って決定を下すのを助けるために設けられています。

  3. 内部の審査と相談

    • 複雑または重大なケースでは、検察官は同僚や上司と協議を行い、決定に至る前に意見を交換することがあります。特に重要な事件では、複数の検察官や部門間での協議が行われることもあります。

  4. 被害者との協議

    • 事件によっては、被害者や被害者の家族と協議し、彼らの意見や希望を決定プロセスに取り入れることがあります。

  5. 裁量の行使

    • 最終的には、検察官は利用可能な情報と法律に基づいて裁量を行使し、起訴するかどうかを決定します。この裁量は一定の範囲内で行使されるもので、恣意的や不公平な決定を避けるために様々なチェックとバランスが設けられています。

検察官の決定は、一般にその専門知識、経験、および利用可能な証拠に基づいて行われますが、重大なケースや公共の関心が高い事件においては、その決定プロセスがより厳密に検討されることがあります。また、不起訴や起訴猶予の決定に不服がある場合には、一定の手続きによって再検討を求めることが可能な場合もあります。

不起訴や起訴猶予の際に、理由が伏せられることが多いのは何故でしょう?

不起訴や起訴猶予の際に理由が伏せられることが多い理由はいくつかあり、それらは主にプライバシーの保護、捜査の完全性、および公平な裁判を受ける権利に関連しています。以下に、その理由の詳細を説明します。

  1. プライバシーの保護:

    • 特に犯罪容疑が晴れた場合や、証拠不足などで起訴に至らなかった場合、被疑者の名誉やプライバシーを保護するために詳細な理由が公開されないことがあります。公に理由を明らかにすることで、当事者が社会的な偏見や不利益を被る可能性があるためです。

  2. 捜査の完全性:

    • 未解決の疑問が残る案件や、将来的に新たな証拠が見つかる可能性がある案件では、捜査の機密性を保持するために不起訴や起訴猶予の理由が伏せられることがあります。公にすることで捜査戦略が明らかになり、事件解決の妨げになる可能性があるからです。

  3. 公平な裁判を受ける権利の保護:

    • ケースによっては将来的に起訴に至る可能性があります。その場合、公に詳細な理由が明かされると、潜在的な陪審員の間に偏見を生じさせる可能性があり、被疑者が公平な裁判を受ける権利が侵害される恐れがあります。

  4. 法的配慮:

    • 法的な複雑さや、特定の情報が他の法的手続きに影響を及ぼす可能性がある場合、慎重な配慮の下で情報の公開が控えられることがあります。

  5. 公共の利益とのバランス:

    • 不起訴や起訴猶予の理由を公開することと、公共の利益やセキュリティーを守ることの間でバランスを取る必要があります。場合によっては、詳細を公にすることが公共の利益に反すると判断されることがあります。

これらの理由により、検察官や司法機関は不起訴や起訴猶予の際に理由を詳細に公開しないことがあります。ただし、透明性を高め、公共の信頼を維持するために、決定の基本的な理由を示すことが適切と判断される場合もあります。そのような場合でも、公開される情報は慎重に選ばれ、関係者の権利と公共の利益のバランスを考慮して決定されます。

政治的な外部圧力もあったりしそうです。

不起訴や起訴猶予の理由が伏せられることがある理由は複数ありますが、主に以下のような理由が考えられます:

  1. プライバシー保護:被疑者や被害者、関係者のプライバシーを保護するためです。特に犯罪が起こらなかったと判断された場合や、個人の名誉を守る必要がある場合には、具体的な理由を公表しないことがあります。

  2. 捜査の保護:特定の理由を明かすことが、今後の捜査に悪影響を与える可能性がある場合、その詳細は伏せられることがあります。例えば、情報源を守る必要がある場合や、公表することで他の犯罪に関する手がかりが損なわれる恐れがある場合です。

  3. 法的な配慮:法律上、特定の情報を公開することが制限されている場合があります。例えば、未成年者が関与する事件などでは、法的な規定により情報公開が制限されることがあります。

  4. 裁量の行使:検察官は、公益や関係者の利益を考慮して、情報公開の程度を決定する裁量を持っています。全ての詳細を公開することが常に適切であるとは限らず、ケースバイケースで判断されます。

政治的な外部圧力については、理論的には検察の決定が完全に中立で公正であるべきですが、実際には複雑な社会的、政治的要因が関与することがあります。特に高いプロファイルを持つ事件や公共の関心が高い事件では、メディアの注目、公衆の意見、政治的な圧力が検察官の決定に影響を与える可能性があります。ただし、法的なプロセスにおいては、こうした外部からの圧力に対して抵抗するための機構やガイドラインが設けられている場合が多く、検察官の独立性と中立性を保つための努力がなされています。
それにもかかわらず、特定のケースで政治的な要因や外部からの圧力がどのように作用するかについては、その背景や状況によって大きく異なるため、一概に言うことは難しいです。

特捜部という組織は、都度都度、ケース毎に召集されるのでしょうか?

特捜部(特別捜査部)は、主に日本の検察庁内に設置されている部署で、主に経済犯罪、公職者の犯罪、複雑で高度な犯罪など、特に重要とされる事件の捜査を専門に扱います。特捜部は、その性質上、高度な専門知識や特殊な捜査技術を要する事件を担当するため、経験豊富で専門性の高い検察官や捜査官が所属しています。
特捜部は、都度都度、ケース毎に召集される一時的なチームというよりは、通常、大きな検察庁(例えば東京地検や大阪地検など)に恒常的に設置されている専門部署として機能しています。これらの部署は、日常的に存在し、必要に応じて特定の重要な事件の捜査を行うために活動を開始します。
ただし、非常に大規模で複雑、または特別な注意が必要な特定の事件に対処するために、特定のケースに特化した特別な捜査チームが組織されることもあります。これらのチームは、特捜部の一部として、または特捜部とは別に設立されることがあり、その場合には特定の事件が解決するまでの一定期間のみ活動することもあります。
したがって、特捜部は基本的には恒久的な組織として機能しているものの、特定の大規模な事件や特殊な事件に対応するために特別なチームが結成されることもあるというわけです。

では、特捜部に任命されるのは、実力があると認められたエリートですね。

はい、その通りです。特捜部に任命される検察官や捜査官は、一般的にその分野における高度な専門知識、豊富な経験、優れた捜査能力を持つエリートと見なされます。特に重要かつ複雑な事件を扱うことから、特捜部のメンバーは厳しい選考プロセスを経て選ばれ、その職務を遂行するための特別な訓練を受けることもあります。
特捜部は、経済犯罪、公職者の不正、大規模な詐欺事件など、社会に大きな影響を与える事件の捜査にあたるため、高い倫理観、正確な判断力、そして緻密な法的知識が求められます。また、特捜部の捜査はしばしば公の注目を集め、政治的または社会的な影響を及ぼす可能性があるため、捜査官には強いプレッシャーと責任が伴います。
特捜部のメンバーは、そのような環境で効果的に機能するために、チームワークやコミュニケーション能力も重要とされ、多方面にわたる高い能力が要求されるエリート集団と言えます。

それでも立件出来なかったりすると、大きなダメージですね。

はい、確かにその通りです。特捜部による捜査であっても、立件できなかったり、起訴後に裁判で無罪判決が出されたりすると、検察側にとっては大きなダメージとなります。これはいくつかの理由によります:

  1. 公の信頼の損失:特捜部は高度な事件を扱う専門的な部署としての地位があり、その活動はしばしば公衆の注目を集めます。捜査が失敗に終わると、検察全体、特に特捜部の能力や信頼性に対する公衆の信頼が損なわれる可能性があります。

  2. 資源の無駄:大規模で複雑な捜査は多大な時間とリソースを要します。立件に至らない場合、これらの投資した資源が無駄になったと見なされることがあります。

  3. 被疑者への影響:無実の人物が誤って捜査対象となった場合、その人物の名誉やキャリアに深刻な影響を与える可能性があります。立件できなかった場合、検察はその人物に対して誤った疑いをかけたと批判されることがあります。

  4. 内部のモチベーションへの影響:捜査の失敗は、特捜部を含む検察内部のモチベーションや士気にも影響を与える可能性があります。成功体験はチームの士気を高める一方で、失敗は反対の効果をもたらすことがあります。

  5. 政治的・社会的な影響:特に公職者や著名な企業が関与する事件の場合、捜査の成果は政治的または社会的な影響を及ぼすことがあります。捜査が失敗に終わると、これらの関係が損なわれる可能性があります。

したがって、特捜部の捜査には高いリスクが伴いますが、それにもかかわらず、社会における重要な役割を果たしています。重大な犯罪に対処し、正義を実現するためには、慎重かつ精密な捜査が必要であり、その過程での失敗もまた、改善と学習の機会として捉えられることが重要です。

逮捕

政治家相手の捜査ともなると、駆け引きが大変そうです。

政治家を対象とした捜査は、確かに多くの駆け引きや複雑な課題を含んでいます。政治家は公の立場にあるため、捜査は一般に高い公衆の関心を集め、多大なメディアの注目を浴びることがあります。こうした状況は、捜査において次のような特別な考慮を必要とします:

  1. 公衆の監視:政治家に関わる事件はしばしば公衆の注目を集めるため、捜査の全過程が厳しく監視されます。このような注目は、捜査に対する圧力を高めるとともに、その透明性と公正性に対する期待をも高めます。

  2. 政治的中立性:検察官は政治的中立性を保持しなければなりませんが、政治家を対象とする捜査では、その中立性が特に試されます。捜査が政治的動機に基づいているとの疑念を避けるために、検察は極めて慎重に行動する必要があります。

  3. 法的な複雑さ:政治家は法律や政府運営に深く関わっているため、彼らに関する事件は法的にも複雑であることが多く、高度な専門知識と緻密な法的分析が求められます。

  4. 報道との関係:メディアは政治家のスキャンダルに大きな関心を持つため、捜査の進展はしばしば詳細に報道されます。これにより、捜査の方向性や戦略に影響を及ぼすことがあります。

  5. 政治的圧力:政治家やその支持者からの潜在的な圧力も捜査に影響を与える可能性があります。捜査官はこのような外部からの圧力に抵抗し、独立性を保持する必要があります。

  6. 証拠収集の困難さ:政治家に関する事件では、関係者が沈黙を守ることが多く、証拠収集が特に困難な場合があります。また、公的資料の扱いや機密情報へのアクセスも課題となることがあります。

これらの要因により、政治家を対象とした捜査は非常に複雑で、慎重かつ緻密なアプローチが求められます。捜査は公正かつ透明性を持って行われ、すべての行動が法律に基づいていることを保証する必要があります。これにより、捜査が信頼性を持ち、最終的には公正な結果につながることが期待されます。

「巨悪は眠らせない」というフレーズは、どこから出たのでしょう?

「巨悪は眠らせない」というフレーズは、日本のテレビドラマ「半沢直樹」から広まった言葉です。このドラマは池井戸潤の小説が原作で、主人公の半沢直樹が銀行内の権力争いや不正に立ち向かっていくストーリーです。特にこのフレーズは、主人公が巨大な権力や不正と戦う姿勢を象徴するものとして、多くの視聴者に強い印象を与えました。
「巨悪」とは、社会的に大きな影響力を持ち、様々な不正や悪事を働く大企業や権力者などのことを指します。このフレーズは、どんなに強大な悪であっても、それを放置せずに正義のために戦い続けるべきだという強い意志を示しています。
このドラマは非常に人気があり、このフレーズは日本で広く知られるようになり、ビジネスシーンや日常会話でも使われることがあります。ただし、このフレーズが直接的に特定の実際の事件や捜査を指すわけではなく、むしろドラマチックな表現としての色合いが強いです。それにもかかわらず、この言葉は社会正義や公平を求める強い意志を象徴する表現として、多くの人々に受け入れられています。

ロッキード事件の頃と思ってました。

ロッキード事件は1970年代に発覚した、アメリカの航空機メーカー、ロッキード社が日本の政治家や官僚に巨額の賄賂を支払っていた事件です。この事件は日本の政治史上、最も有名な汚職事件の一つであり、多くの政治家のキャリアに影響を与えました。
「巨悪は眠らせない」というフレーズがロッキード事件と関連していると考えるのは理解できます。なぜなら、この事件は「巨悪」、すなわち強大な権力や大企業による不正を象徴するものであり、公正と正義を追求する社会的な動きに大きな影響を与えたからです。この事件の捜査や裁判は、社会における正義の追求や権力の監視に対する人々の意識を高めることに寄与しました。
しかし、「巨悪は眠らせない」という具体的なフレーズ自体は、前述の通り「半沢直樹」というドラマから広まった言葉であり、ロッキード事件と直接的な関連はありません。ただし、このフレーズが持つ意味合いや象徴する精神は、ロッキード事件のような大規模な汚職事件を通じて社会に訴えかけるメッセージと通じるものがあります。そのため、ロッキード事件の文脈でこのフレーズを連想するのは自然なことかもしれません。

ロッキード事件では、指揮権が発動されるかとハラハラしていました。

ロッキード事件は1970年代に日本で発生した大規模な政治スキャンダルで、アメリカの航空機メーカー、ロッキード社が日本の政治家や官僚に賄賂を支払っていたことが発覚しました。この事件は、当時の田中角栄首相をはじめとする多くの政治家や企業幹部が関与していたことで、日本の政治と経済界に大きな衝撃を与えました。
「指揮権発動」とは、検察の捜査や公判に対して、法務大臣が特定の方針を指示することができる権限を指します。この権限は、検察官の独立性を保障しつつも、最終的には法務省の管轄下にあることを示しています。ロッキード事件のような大規模で社会的な影響が大きい事件では、この指揮権発動が行われるかどうかが注目されることがあります。
ロッキード事件の捜査においては、政治家や高官が関与していることから、政治的な圧力や干渉が捜査に影響を与えるのではないかという懸念がありました。そのため、法務大臣が検察の捜査方針に介入し、指揮権を発動する可能性があるかどうかについて、多くの人々がハラハラしていたと言われています。
最終的に、ロッキード事件は検察の徹底した捜査により多くの事実が明らかになり、田中角栄首相を含む複数の政治家や実業家が逮捕、起訴されました。この事件は、日本の政治と司法における大きな転換点となり、政治資金の透明性や政治家の倫理観に関する議論を促進することになりました。指揮権発動の具体的な使用例としては、この事件において特に注目された記録はないものの、事件の背景には政治と検察の関係性が大きく影響していたと考えられます。

いわゆる伝家の宝刀に近いものでしょうね。

はい、指揮権発動は、法務大臣が検察の捜査や公訴の取り扱いに関して具体的な指示を出すことができる非常に強力な権限です。このため、「伝家の宝刀」と形容されることがあります。この比喩は、非常に重要かつ効果的ながら、極めて慎重に使用されるべきもの、あるいは最後の手段としての意味合いを持ちます。
指揮権発動は原則として極めて稀なケースでのみ使用されるべきであり、その使用は検察官の独立性や検察の公正性に影響を与える可能性があるため、大きな議論の対象となります。過去には、この権限の使用が政治的な影響や圧力によるものではないかと疑問視されることもありました。
実際に指揮権が発動されると、その判断や背後にある意図について多くの注目が集まります。そのため、法務大臣がこの「伝家の宝刀」を抜くかどうか、そしていかなる状況で使用されるのかは、常に慎重な判断が求められる重要な問題となっています。指揮権の発動は、検察の独立性と公正性を保つため、そして法治国家としての信頼を維持するために、非常に慎重に行われるべきです。


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