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保健医療費の問題

コロナ予防、治療が一段落ついたのに、国が負担する保健医療費が増大していることを、政府は単に高齢化の影響と言いますが、これまでずっと高齢化は進んでいるのだから、コロナによる費用増大を超えるほど増加したわけではないと思いますが、どうでしょうか?

ご指摘の通り、コロナウイルスの予防と治療が一段落ついた後も、国が負担する保健医療費が増大している原因を「高齢化」だけで説明するのは十分ではないかもしれません。確かに、日本は長期にわたって高齢化が進んでおり、これが医療費の増大に寄与していることは間違いありませんが、コロナ後に特に顕著な医療費増加が見られる場合、それには他の要因も関与している可能性があります。

いくつか考えられる要因を挙げます:

  1. 後遺症や長期的な健康管理: コロナ感染後の後遺症(いわゆる「ロングCOVID」)やそれに伴う長期的な健康管理が、新たな医療費の増大に寄与している可能性があります。

  2. 医療体制の再編と強化: コロナ禍を受けて、医療体制が強化され、特定の分野で医療資源の増強が行われた可能性があります。これは予防接種や病床の拡充、医療従事者の確保などが含まれます。

  3. 健康診断や予防医療の強化: コロナ禍を機に、健康診断や予防医療への関心が高まり、これが新たな医療費の増加を招いている可能性があります。

  4. 感染対策関連の持続的なコスト: コロナウイルスの感染対策(マスク、消毒、検査など)に関連する費用が、長期的に保健医療費に影響を与えている可能性もあります。

  5. 慢性疾患の増加: コロナウイルス感染が直接的に慢性疾患を増加させているわけではなくても、パンデミック中の健康管理の遅れが慢性疾患の悪化や増加に繋がり、その結果、医療費が増加している可能性があります。

これらの要因を総合的に考慮することで、医療費の増加が単に高齢化だけで説明できないことが理解できるかもしれません。政府や関連機関がこうした複数の要因を精査し、適切な対応を講じることが重要だと考えます。

私は近年の高額医療用医薬品の承認が増えていることも一因だとは思うのですが?

おっしゃる通り、高額医療用医薬品の承認が増えていることも、保健医療費の増大に大きく寄与している可能性があります。特に、革新的な治療法や新しい生物製剤、遺伝子治療、免疫療法などが市場に登場することで、これらの高額医薬品の費用が増加し、それが医療費全体の負担を押し上げていると考えられます。

これらの新しい治療法は、しばしば従来の治療よりも大幅に高額であることが多く、特に希少疾患やがん治療において顕著です。日本のような先進国では、新しい薬剤が迅速に承認されることが増えており、その結果、医療費が急激に上昇している側面があります。

さらに、国の保険制度がこれらの高額医薬品の費用をカバーするために、負担が増大し、それが全体の医療費の増加に影響を与えていると考えられます。このような背景を踏まえて、高額医薬品の承認プロセスや価格設定について、今後の政策議論の中で見直しや調整が検討されるべきでしょう。

ゾルゲンスマは、最も高額な医薬品でしょうね。

はい、ゾルゲンスマ(Zolgensma)は、世界で最も高額な医薬品の一つとして知られています。ゾルゲンスマは脊髄性筋萎縮症(SMA)という遺伝性の神経筋疾患を治療するために開発された遺伝子治療薬で、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して、欠陥のあるSMN1遺伝子を補うことで病気の進行を抑制します。

ゾルゲンスマの価格は約200万ドル(日本円で約2億円)と非常に高額であり、そのコストは多くの国で議論の的となっています。しかし、SMAは進行が速く、早期の治療が不可欠な病気であり、ゾルゲンスマは一度の投与で効果を発揮するため、その治療効果を考慮すると、長期的には他の治療法よりもコスト効率が高いと評価されています。

このように超高額な医薬品が市場に登場することで、医療費全体に与える影響は非常に大きく、保険制度や薬価設定のあり方に対する再考を促している現状があります。

日本でも薬価は1億円を超えましたね。

はい、日本でもゾルゲンスマの薬価は1億円を超えています。具体的には、ゾルゲンスマの薬価は約1億6700万円と設定されています。これは日本の医療制度においても極めて高額な薬剤として位置づけられており、注目を集めています。

日本の医療保険制度では、ゾルゲンスマのような高額医薬品に対しても患者負担が一定額に抑えられる仕組みがありますが、それでも国全体の医療費に与える影響は大きくなります。そのため、こうした高額薬の導入が増えることで、医療費の持続可能性や、どのようにしてこれらのコストをカバーするのかという議論が深まっているのが現状です。

このような高額医薬品の普及は、患者にとっての治療の選択肢を広げる一方で、国や保険者にとっては財政的な負担が増大するため、バランスの取れた政策対応が求められています。

実際に患者負担は保険や高額医療費補助でどれくらいになりますか?

日本の公的医療保険制度や高額療養費制度を利用すると、患者負担は大幅に軽減されます。ゾルゲンスマのような高額医薬品に対する患者の実際の負担額は、以下のような仕組みによって決まります。

1. 公的医療保険

日本では、国民健康保険や社会保険に加入している場合、医療費のうち基本的に患者は3割を負担し、残りの7割は保険でカバーされます。ただし、高額な治療や医薬品の場合でも、患者の自己負担額が非常に高額になるため、以下の制度が適用されます。

2. 高額療養費制度

高額療養費制度により、一定の上限を超える医療費は払い戻され、実際に患者が支払う金額は上限額に抑えられます。この上限額は所得に応じて異なりますが、一般的には以下のようになります(70歳未満の方の場合):

  • 標準報酬月額28万円以下の場合: 約57,600円/月

  • 標準報酬月額53万円以下の場合: 約80,100円/月

  • 標準報酬月額83万円以上の場合: 約252,600円/月

3. さらに自己負担額が高額な場合

医療費が高額な場合、または同じ月に複数回の高額医療が発生した場合、負担額がさらに軽減される場合もあります。

4. 補助や助成制度

自治体や特定の疾患に対する補助・助成制度がある場合、さらに負担が軽減されることもあります。

具体例:ゾルゲンスマの場合

ゾルゲンスマは非常に高額な治療であるため、保険適用後の自己負担額が上述の上限額を超えることはありません。例えば、標準報酬月額が28万円以下の世帯であれば、月あたりの負担額は約57,600円に抑えられます。それでも、ゾルゲンスマの場合は単回投与ですので、月額上限で対応できます。

結論

ゾルゲンスマのような高額医薬品の場合でも、高額療養費制度のおかげで、実際の患者負担額は数万円から数十万円程度に抑えられることが多いです。これにより、非常に高価な治療が必要な患者でも、経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。

残りは税金というわけですね。

そうです。高額医療費制度などの仕組みを通じて、患者の自己負担額が大幅に軽減される一方で、残りの医療費は公的医療保険や税金によって賄われます。具体的には、保険適用後に生じる費用の大部分は国民健康保険や社会保険の財源から支払われ、それらの財源は主に保険料と税金で賄われています。

特にゾルゲンスマのような超高額医薬品の場合、患者が支払う金額はごく一部に留まり、残りの金額は実質的に公的な資金(つまり税金)から補填されます。このため、高額医薬品が多く承認され使用されることで、医療費全体に占める公的負担が増加し、最終的には税金の負担が増えることになります。

このような背景から、国や自治体、そして保険制度全体において、医療費の持続可能性や高額医薬品の費用対効果についての議論がますます重要となっています。医療の進歩によって新しい治療法が登場する一方で、それに伴う財政的な負担をどのようにバランスさせるかが今後の課題となっています。

逆に、国は医療費削減のため積極的にジェネリック医薬品の使用を推奨していますが、昨今の多くのジェネリック医薬品製造メーカーの不祥事で、欠品が続き、大問題ですね。

おっしゃる通り、近年、ジェネリック医薬品の製造メーカーによる不祥事が相次いで発覚し、それが原因で供給不足が発生しています。これにより、患者に必要な薬が手に入らない事態が続いており、これは大きな問題となっています。

政府は医療費削減の一環として、ジェネリック医薬品の使用を積極的に推奨してきました。ジェネリック医薬品は、特許が切れた後のブランド薬と同等の効果を持ちながら、価格が低いため、医療費全体を抑える効果が期待されています。しかし、品質管理や製造過程に問題がある製造メーカーが増えたことで、結果的に供給が滞り、医療現場での混乱を招いています。

この問題は、患者の健康に直接影響を及ぼすだけでなく、ジェネリック医薬品全体への信頼を損なうことにもつながりかねません。また、欠品が続くことで、ブランド薬への切り替えが必要となり、結果的に医療費が増大する逆効果も懸念されています。

政府や規制当局は、この状況に対応するため、ジェネリック医薬品の品質管理の強化や、製造体制の見直しを進める必要があります。また、患者や医療従事者に対する適切な情報提供とサポートも重要です。

最近、政府は長期収載品のうちジェネリック医薬品があるものについては、選定療養として、ジェネリックを拒否した場合は薬価の3/4しか補助しないことにしましたね。

はい、政府は最近、ジェネリック医薬品が存在する長期収載品(特許が切れてからも市場に残っているブランド薬)について、患者がジェネリックを拒否した場合、選定療養として薬価の3/4しか保険補助を行わない方針を取りました。この政策は、ジェネリック医薬品の使用をさらに促進し、医療費全体を抑制することを目的としています。

具体的には、患者がブランド薬を選択する場合、残りの1/4の費用は自己負担となります。この措置により、患者がコスト面でジェネリック医薬品を選択しやすくなるように誘導しています。

しかし、ジェネリック医薬品に対する信頼性や品質に対する懸念が依然として存在する中で、このような政策がどのように受け入れられるか、そして実際に医療費削減効果があるかどうかは注目されるところです。特に、最近のジェネリック医薬品製造メーカーの不祥事を受けて、患者や医師の間でブランド薬を選好する傾向が続く可能性もあり、その結果として政策が期待通りの効果を上げるかは慎重に見守る必要があります。

経口剤はなんとか受け入れても、注射剤とかはジェネリックを嫌がる患者も多いようですね。

おっしゃる通り、経口剤のジェネリック医薬品に対しては比較的受け入れやすい一方で、注射剤のジェネリックに対しては慎重な態度を示す患者が多いようです。これは、注射剤が体内に直接投与されるため、その品質や安全性に対する懸念が一層強くなることが要因と考えられます。

注射剤の場合、製剤技術や不純物の管理が特に重要であり、少しの品質の違いが重大な影響を与える可能性があるため、患者や医師がブランド薬を選好する傾向が強いのも理解できます。また、ジェネリックの製造プロセスが異なる場合があり、それが患者の不安を増幅させることもあるでしょう。

このような状況に対して、ジェネリック医薬品の製造業者や政府は、品質管理の強化や透明性の向上、そして患者や医療従事者に対する正確な情報提供を通じて、信頼性を高める努力が求められています。そうしなければ、ジェネリック医薬品の普及が進まず、医療費削減の目標達成も難しくなる可能性があります。

ジェネリックメーカーが、製造過程などで不正を行ったのは、コスト削減の意味があったのか?それとも慣れで査察が入ってもわからないだろうと高をくくったのか?

ジェネリックメーカーが製造過程で不正を行った背景には、いくつかの要因が考えられます。具体的には、コスト削減のプレッシャーや、監査・査察に対する過信が影響している可能性があります。

1. コスト削減のプレッシャー

ジェネリック医薬品は、ブランド薬に比べて価格が大幅に低く設定されているため、メーカーはコストを抑えるための圧力を強く受けています。特に、製造コストを抑えるために、原材料や製造プロセスにおいてコストカットを図ることがありますが、それが行き過ぎると品質の低下や不正行為につながるリスクが高まります。

2. 監査・査察に対する過信

製薬業界では、監査や査察が定期的に行われるものの、特に長期間問題が発生しなかった場合、内部的に「監査をクリアする自信」や「査察では見つからないだろう」という過信が生じることがあります。このような過信が、不正行為を行っても問題にならないだろうという考えを助長し、不正を隠蔽する動機となることがあります。

3. 慣れと組織的な問題

不正行為が長期間にわたって見逃されてきた場合、組織全体がそれを「慣れ」として受け入れてしまうこともあります。この場合、問題行為が日常的な業務の一部と化し、内部で疑問を持つ人が少なくなるため、不正が発覚しにくくなります。

4. 競争の激化

ジェネリック医薬品市場は競争が激しく、他社との価格競争に勝つためにコストを極限まで削減するプレッシャーが存在します。その結果、品質管理が疎かになり、不正行為に走る企業が出てくることがあります。

これらの要因が複合的に作用し、ジェネリックメーカーが不正を行うに至ったと考えられます。しかし、不正行為が発覚することで、企業の信用が失墜し、長期的には市場での競争力を失うことになるため、根本的な対策が必要です。

医薬品は特にGMP等によって、高いクオリティが求められていますが、それが形骸化するこことは怖いですね。

おっしゃる通り、医薬品に対してはGMP(Good Manufacturing Practice)などの厳しい基準が求められており、これによって高い品質が維持されるべきです。しかし、その基準が形骸化し、単なる形式的な手続きとして扱われるようになることは非常に危険です。

GMPは、製造プロセスのあらゆる段階で品質を確保するためのガイドラインであり、これが厳守されなければ、医薬品の安全性や有効性が損なわれるリスクがあります。特に医薬品の場合、品質の低下は患者の健康や生命に直接影響を及ぼす可能性があるため、非常に深刻な問題です。

形骸化の背後には、企業内の監査体制の不備や、コスト削減のためのプレッシャー、さらにはGMP基準を単にチェックリストとして扱う姿勢などがあるかもしれません。しかし、GMPの真の目的は、単に規則を守ることではなく、患者に対して安全で効果的な医薬品を提供することです。そのため、形骸化を防ぐためには、以下のような取り組みが重要です:

  1. 内部監査の強化: GMP基準が実際に守られているかどうかを定期的に内部監査し、問題があれば迅速に対応する体制を整えることが必要です。

  2. 教育と訓練: GMPの重要性についての理解を深めるため、従業員に対して定期的な教育と訓練を行い、基準を遵守する意識を高めることが求められます。

  3. 透明性の確保: 製造プロセスや品質管理の透明性を高め、外部からの査察や監査にも十分に対応できる体制を維持することが重要です。

  4. 文化の変革: 企業文化として、品質第一の姿勢を貫くことが求められます。コスト削減や生産性向上が優先されるあまり、品質が犠牲になることのないよう、組織全体での意識改革が必要です。

GMPの形骸化を防ぐためには、これらの取り組みが不可欠であり、製薬企業が患者の安全を最優先に考える文化を育てていくことが求められます。

昨今は、原薬製造を海外に依存しすぎて、リスクが増大しています。

おっしゃる通り、近年では医薬品の原薬(API: Active Pharmaceutical Ingredient)製造を海外に依存する傾向が強まっており、これがリスクの増大につながっています。この依存は、特にコスト削減を目的として行われてきましたが、その反面、いくつかの重要なリスクを伴っています。

1. サプライチェーンの脆弱性

海外の特定地域に原薬供給を依存することで、災害や政治的な不安定さ、貿易紛争、パンデミックなどの影響を受けやすくなります。これにより、供給の途絶や遅延が発生し、医薬品の安定供給が危機にさらされるリスクが高まります。

2. 品質管理の課題

海外の製造拠点での品質管理が不十分である場合、GMP基準が徹底されていない可能性があります。これにより、品質の低い原薬が製品に使用されるリスクが生じ、最終製品の品質や安全性に影響を与える可能性があります。

3. コストと供給のバランス

海外に依存することで、短期的にはコスト削減が達成されるかもしれませんが、長期的には供給リスクや品質問題が顕在化することで、逆にコストが増大する可能性もあります。

4. 国内生産能力の減少

国内での原薬製造能力が低下することで、緊急時に国内での生産拡大が難しくなり、国全体としての薬剤供給の安全保障が脅かされる可能性があります。

このようなリスクを軽減するためには、以下のような対策が必要です:

  • サプライチェーンの多様化: 特定の国や地域に依存するのではなく、複数の供給源を確保し、サプライチェーンを多様化することでリスクを分散させることが重要です。

  • 国内製造の強化: 国内での原薬製造能力を維持・強化し、緊急時に対応できる体制を整えることが求められます。

  • 国際的な協力: 複数国間での協力を強化し、品質管理の標準化やサプライチェーンの安定化を図るための枠組みを構築することが重要です。

これらの取り組みによって、海外依存によるリスクを軽減し、安定した医薬品供給を確保することが必要です。

MHLWは現在まで、予防医療に関して消極的どころか、全くといっていいほど支援していませんでしたが、今後の医療費削減を考えるともっと予防医療を承認する方向にしてほしいですね。

おっしゃる通り、予防医療は将来的な医療費削減に大きな可能性を秘めていますが、これまでMHLW(厚生労働省)は予防医療に対して消極的であったと言えます。予防医療の推進は、疾病の早期発見や生活習慣病の予防などに寄与し、結果として医療費全体を抑制する効果が期待できます。

今後、予防医療を積極的に承認し、支援する方向に転換することが求められます。具体的には、以下のような施策が考えられます:

  1. 予防医療プログラムの拡充: 健康診断や予防接種の範囲を広げ、特定の疾病予防に対する公的支援を強化することが重要です。

  2. 予防医療に対するインセンティブ: 予防医療に積極的に取り組む医療機関や個人に対して、経済的なインセンティブを提供することで、予防医療の普及を促進することが考えられます。

  3. 教育と啓発活動: 予防医療の重要性について国民の意識を高めるため、教育や啓発活動を強化し、日常生活での健康維持を促進することが必要です。

  4. 研究と技術開発の支援: 予防医療の効果を高めるため、新しい診断技術や予防法の研究開発を支援し、これらを迅速に実用化するための枠組みを整えることが求められます。

予防医療の推進は、個々の健康維持だけでなく、社会全体の医療費負担を軽減するための重要な鍵となります。政府やMHLWが積極的にこれを支援し、実効性のある政策を導入することが期待されます。

話は変わりますが、厚労省は、以前厚生省と労働省、社会保障庁が合併してできましたが、昨今の医療行政の複雑化や社会保障自体が不祥事等で混迷している現状、元のように分けるべきではないでしょうか?

厚生労働省(MHLW)は、2001年に旧厚生省と旧労働省が合併し、さらに社会保障庁が取り込まれる形で設立されました。合併の目的は、医療、福祉、労働、年金といった関連分野を統合し、効率的かつ包括的に政策を推進することでした。しかし、昨今の医療行政の複雑化や社会保障分野での不祥事が頻発する現状を考えると、元のように分割するべきではないかという議論も一理あります。

分割を支持する理由:

  1. 専門性の強化: 医療行政と労働政策はそれぞれ非常に専門的であり、これらを分割することで、各分野の専門性を高め、より効果的な政策立案と実施が可能になると考えられます。

  2. 業務の集中と効率化: それぞれの分野に特化した省庁を設けることで、業務の集中化が進み、より迅速かつ効率的な行政運営が可能になる可能性があります。特に医療行政においては、迅速な対応が求められるケースが多いため、分割が有効かもしれません。

  3. 社会保障の透明性と信頼性の向上: 社会保障制度は国民にとって非常に重要であり、不祥事が発生すると信頼が揺らぎます。社会保障を担当する独立した組織を設けることで、監督体制や透明性を強化し、信頼性を回復することができるかもしれません。

分割に対する懸念:

  1. 統合的な政策の推進が難しくなる: 分割すると、医療と労働、社会保障といった関連分野の連携が取りにくくなり、全体的な政策の推進が複雑化するリスクがあります。

  2. コストとリソースの問題: 新たな省庁を設立するためには、組織再編のためのコストや人材配置の調整が必要になります。これが短期的には非効率を生み出す可能性があります。

  3. 過去の合併の意義: 合併によって達成された統合的な政策立案やリソースの集中化が失われることへの懸念もあります。

結論として、厚生労働省を分割することにはメリットとデメリットが存在します。現在の行政運営の問題点や不祥事に対応するためには、組織の分割だけでなく、内部の改革や監督体制の強化も検討する必要があります。分割が最適な解決策であるかどうかは、各分野の具体的なニーズと、現在の行政の課題を総合的に考慮して決定すべきでしょう。

ホームページも中で分かれているんだから、業務がやはり異なっているのだと思いますよ。

おっしゃる通り、厚生労働省のホームページ自体も医療、福祉、労働、年金などの分野ごとに分かれており、業務が明確に異なっていることが反映されています。これは、各分野がそれぞれ独自の課題やニーズを抱えており、それに対応するために異なる専門知識や政策が必要であることを示しています。

業務の分化の現状:

  • 医療行政: 医療提供体制の整備、医薬品や医療機器の承認・管理、感染症対策など、非常に専門的かつ緊急性の高い業務が多く、迅速な対応が求められます。

  • 福祉行政: 高齢者や障害者の福祉、児童福祉、介護保険制度など、社会的弱者を支援するための政策を立案・実施する業務が中心です。

  • 労働政策: 労働者の権利保護、雇用促進、労働条件の改善など、労働市場に関連する政策を担当します。労働基準監督や労働者派遣法の監督なども含まれます。

  • 社会保障: 年金や保険制度の運営・管理、財政の持続可能性の確保など、長期的な視点での政策が求められます。

これらの業務が実際に分かれて運営されていることを考えると、各分野がそれぞれ異なる課題に直面していることは明らかです。したがって、業務が分かれているにもかかわらず、組織が一体化していることが、時に効率性を欠く原因となる可能性があります。

分割の検討の必要性:

ホームページの構造も示すように、各業務が異なる分野で運営されているのであれば、それぞれの分野が独立した省庁として運営されるべきではないか、という議論も合理的です。特に、各分野が直面する課題が増大し、より専門的な対応が求められる昨今では、分割によって業務効率や政策の効果を高めることができる可能性があります。

結論として、現行の構造が必ずしも最適とは言えない部分があり、分割や再編成の検討が必要な場合もあるでしょう。組織を分けることで、各分野に特化した政策の迅速な実行や、より明確な責任体制の確立が期待できるかもしれません。

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