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【旧約聖書:9】ヤコブの夢②

そうするうちに、ラバンとヤコブの間に亀裂が生まれ始めていた。
ラバンの富をヤコブが奪い取っていると、ラバンの息子たちから聞かされたのである。
そこで、ヤコブは妻たちを呼び寄せ、父イサクの下・カナンの地へ向かったのである。

ヤコブは、兄エサウの下へ使いを送った。
「あなた様のしもべヤコブがこう申しています。
 わたしは母の兄ラバンのところに滞在していました、
 そして、今はたくさんの財産を手にしています。」
使いはヤコブにこう伝えてきた。
「エサウ様もあなたを迎えにやってこられます。
 今は400人もの者があの方と一緒にいます。」

しかしそれを聞いて、ヤコブは不安になった。
そして、自分の宿営を2つにわけて、仮に兄エサウたちに襲われたとしても
生き残れるように図った。
そうして、奴隷や家畜の群れとヤコブの妻・子供たちは、エサウのもとへ向かった。
しかし、ヤコブ自身は兄エサウを恐れて宿営を離れなかった。
すると、そこに神が現れた。
ヤコブは神が彼を祝福するまで神を放そうとしなかった。
神は言った。
「おまえは、もう”ヤコブ”ではない。
 ”イスラエル”だ。
 おまえは、神と戦い、勝ったからだ…」

太陽が昇ったころ、ヤコブはだんだんと兄エサウの下に近づいてきた。
エサウは大勢の人の群れとともにいた。
ヤコブは自らの群れを従え、兄に歩み寄っていった。
すると、兄エサウはヤコブを抱きしめ、口づけをした。
二人は泣いた。
そして、ヤコブは「わたしが従えている全てのものは、全てあなたエサウのものです」
と兄に伝えた。
しかし、そこでエサウはこう返した。
「私はもう十分に持っている。
 あなたのもつものは、あなたのもののままにしておくがいい。」
こうして、ヤコブはエサウと共に帰途に着く際、
途中、ある野原の一画を買い取り、そこに祭壇を築いた。
その地を、エル・エロヘ・イスラエルと呼んだ。

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