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昭和時代のカセット録音と自作ラジオ番組の思い出 50歳を迎えたロスジェネ氷河期世代のノスタルジー



1. 昭和時代のカセット録音文化  家庭で作るラジオの時代

ロスジェネ氷河期世代、特に1970年代から1980年代初頭に生まれた私たちにとって、昭和時代はカセットテープとともに育った時代でした。今の若い世代には想像しがたいことですが、当時は自宅でカセットレコーダーを使い、テレビやラジオの音を録音することが大流行していました。リモコンのないテレビの前に座り、好きな番組や音楽をカセットに録音する作業は、まるで自分だけの世界を作り上げる特別な時間でした。

私たちは、ただテレビやラジオを受動的に楽しむだけでなく、自分で音を記録し、保存し、時には友達とシェアするという、クリエイティブな体験をしていたのです。こうして「自作のラジオ番組」を録音することで、自分の声や好きな曲を混ぜて、まるで本物のDJになったかのように遊んでいたのを覚えています。


2. カセットレコーダーがもたらした「音の魔法」

カセットテープは、限られた時間でしか録音できないものでしたが、その制限が逆に私たちの創造力を刺激しました。番組の始まる直前に録音ボタンを押し、終わり際に止めるタイミングを見計らうあの緊張感。失敗して録音をやり直すこともしばしばありました。それでも、そんな試行錯誤がかえって楽しかったのです。時には家族の声や電話の音が入ったりとうまくいかないことなど日常茶飯事でした。

また、私たちは家にあるカセットレコーダーで、自分の声を録音したり、好きな曲をミックスして友達に配る「自作ラジオ番組」を作って遊んでいました。当時、ラジオのパーソナリティーに憧れ、「こんにちは!○○ラジオです!」と自分の名前をつけて、ニュースを読んだり、架空のゲストと対談したりして楽しむ時間は、今でも鮮やかに思い出されます。

当時の私たちは、限られた技術の中で、いかに自分の世界を創り上げるかということに夢中になっていたのです。この「音の魔法」を扱う感覚こそが、昭和時代の子供たちにとって特別なものでした。


3. テクノロジーと創造力の関係  DIYメディアの原点

カセットテープやレコーダーを使った遊びは、現代の子供たちがYouTubeやTikTokで自分の動画を作ることと通じる部分がありますが、私たちの時代にはその作業がすべてアナログでした。テクノロジーは今ほど発達していなかったものの、カセットテープの存在が、私たちの創造性を刺激し、自分たちでメディアを作る楽しみを与えてくれたのです。

実際、当時の子供たちが自分で録音したラジオ番組は、限られた機材で工夫を凝らして作り上げた「DIYメディア」の原点とも言えるでしょう。友達同士で番組を交換したり、録音した内容を聞き直したりすることは、インターネットがない時代において、情報や娯楽を共有する方法でもありました。

この体験は、単なる遊び以上のものを私たちに提供してくれました。それは、自分の声がテープに残るという感覚、限られた時間で自分の世界を表現する楽しさ、そして何よりも、物理的な媒体を通じて何かを「作り出す」という達成感です。


4. ロスジェネ世代にとってのノスタルジア   アナログからデジタルへ

昭和時代の子供たちが、アナログな方法で創造力を発揮していたことは、現代のデジタルネイティブ世代には理解しがたいかもしれません。しかし、私たちロスジェネ氷河期世代にとって、カセットテープや自作ラジオ番組の思い出は、ノスタルジックな宝物です。

デジタル時代の幕開けとともに、私たちはカセットテープからCD、そしてインターネットやデジタル音楽へと移り変わっていきましたが、その過程で失われたものも少なくありません。音楽や情報が簡単に手に入る今だからこそ、当時の「手作業感」や「アナログの温かさ」に憧れを抱く人が多いのではないでしょうか。

50歳を迎えた今、子供の頃のこうした体験が、私たちにクリエイティブな視点を与え、困難な時代を乗り越える力を育んできたことに気づかされます。アナログからデジタルへと時代は変わりましたが、私たちの根底にある「何かを作る楽しさ」は、あの頃の体験から生まれたものです。


5. まとめ   昭和のカセット文化が育んだ私たちの未来

昭和時代にカセットでテレビを録音したり、自作のラジオ番組を作ったりして遊んだ経験は、ただのノスタルジーにとどまりません。それは、現代のデジタル社会においても変わらない、クリエイティブな精神の源泉です。私たちロスジェネ氷河期世代が50歳を迎えた今、このアナログ時代の記憶を大切にしながら、デジタル社会の中でも新たな価値を創造していくことができるのです。

カセットの「カシャッ」という音とともに、あの頃の自分たちの声や音楽が蘇る瞬間、私たちは再び「自分で作る楽しさ」を思い出すのではないでしょうか。この秋、カセットテープの思い出を胸に、新たな挑戦を始めてみませんか?


追記

昭和の子供たちがカセットを使って感じた「音の魔法」。そのノスタルジーが、50歳の今、私たちにもう一度、クリエイティブな人生を楽しむヒントを与えてくれるかもしれません。

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