運動と脳機能との出会い~100kmマラソン挑戦編⑥~

100kmへの高揚感

待ちに待った100km。兵庫県赤穂市で開かれた第14回赤穂ウルトラマラソン大会で初100kmマラソンデビューを果たした。開催時期は6月。7月で21歳になる自分は、目標の達成のためこの100kmをどうしても完走する必要があった。

コースは、5kmを20周するというもの。天候は不安定。どうやら、雨のレースになりそうだ。周回コースだろうが、雨だろうが関係なかった。50kmマラソンで得た自信をもとに、余裕で完走する予定だった。ただ、50km以降は未知の世界。大丈夫という根拠のない自信とともにスタートした。

10km、20km、30km、40km、50kmまで順調に来た。おそらく全体の3位の位置につけていた。ただ、50kmから世界が変わった。

味わう絶望感

一生懸命50km走って後に、まだあと半分もあるのかという絶望感に襲われた。加えて、関節がボルトで固められたように脚が動かなくなった。徐々にペースが落ちた。何人ものランナーに抜かれていった。頑張ろうとしてももう言うことの聞かない体は制御不能だった。

70km過ぎたあたりから、走れなくなった。とうとう歩き始めた。雨が降る中でのレースだったため、シューズの中は水につかっている状態だ。水分でふやけた足裏の皮がはがれ、歩くのさえ辛くなった。降りしきる雨に打たれ前に進むことは想像以上に困難だった。

14周(70km)も同じコースを走ると、変わらない景色にも飽き飽きした。何より、この状態で残り30kmもの距離はとてつもなく遠く感じた。青梅マラソン1回分を走る体力と気力はとうに尽くしていた。「もう無理だ。諦めよう。リタイヤだ。」頭のなかで繰り返す。本当にあきらめようと思った。ここまで頑張ったんだからもう十分だろうと自分に言い聞かせた。

そんな時、一人のランナーから声を掛けられた。