父さん、ベーシックインカムで食っていこうと思うんだ
インターネットミームに頼った明らかなるネタタイトルですみません。
でも半分冗談、半分本気みたいな話なんですけどね。
ベーシックインカムって、そもそものその理念からして、多くの人がこれで食べていけるという安心感を持つための仕組みです。だから「ベーシックインカムで食べていこうとする」のはそれなりに理にかなっているとも言えるわけです。
問題は、その肝心要のベーシックインカム自体がまだ存在してないことですね。
だから「ベーシックインカムで食っていこう」と言う時、それは必然的にベーシックインカムの実現に向けて尽力するという宣言でもあります。ベーシックインカムがなければ、ベーシックインカムでは食べていけない。ならば自らベーシックインカムを作る活動に携わるしかない。
これは、ベーシックインカムの重要性の布教や、その実現に向けての具体的なシステムやプロセスの構想など、けっこうソーシャルなビッグプロジェクトをしようと言ってるようなものですから、驚くほど前向きで野心的な宣言であるとさえ言えます。
一見ネタのようでガチな発言、それが「父さん、ベーシックインカムで食っていこうと思うんだ」なわけです。
しかも、もっと面白いことに、本気でベーシックインカムを作ろうと乗り出したとすると、それ自体が本当に稼業になる可能性もあり得ないではないんですよね。
ベーシックインカムって今やじわじわと支持者を増やしているトレンド概念ですから、注目度も高いわけです。それにめちゃくちゃ詳しいとか、それを本気で推進してるとかいう人物は、それはそれで重宝されて、講演を頼まれたり、本が売れたり、活動支援の資金提供が受けられたり、なんてこともあり得ないではないでしょう。
『ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう』の著者であるベーシックインカム論者のスコット・サンテンス氏も、詳細が謎すぎますが、クラウドファンディングを元手にしたベーシックインカムで生活してるということらしく、事実上ベーシックインカム推進業自体が稼業となってると言えるでしょう。
つまり、今やなんでもビジネスになりうる世の中ですから、ベーシックインカムを実現させようという活動自体も社会起業的なビジネスとして成立しうるわけです。
これぞまさに「父さん、ベーシックインカムで食っていこうと思うんだ」の別解的な方向性です。
すると、ベーシックインカム業(?)自体を稼業とするならば、事業が失敗した時にセーフティネットとしてのベーシックインカムが存在しなくて困った場合、それすらも自分の力が及ばなかった自分の責任ということになります。
セーフティネットが存在しないことさえも自分の責任になるというのは、なかなか腹が据わった堂々たる姿と言えましょう。
まあ、確かに江草もベーシックインカム推進派であることは隠してないですけれど、そこまでの覚悟があるのかと言われると、まだニョロニョロしてる度胸なしであります。
しかし、いつかどこかで「父さん、ベーシックインカムで食っていこうと思うんだ」と言えたら実はかっこいいのではないか、とふと思った今日この頃なのでした。
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