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手作りのミトン

 母親が徹夜をして手袋を編む童謡を初めて聞いたときは、そんなことをしてくれる親もいるのだなあと思った。手芸を楽しむようになってからは、一晩で手袋を編み上げるとはなんと手芸能力のある母親だと思った。今は、童謡が生まれた時代は小さな手袋を購入することが大変だったから作るしかなかったのだろうな、昼間はほかの家事や育児があるからできないのだろうな、と思った。小さくてかわいい手袋が手軽に買える時代に子育てができてとてもありがたい話である。

 先日、こどもようのミトンを作った。新生児の時に買っていたミトンが小さくなってしまっていたことと、最近よくこどもが自分の顔に傷をつけるようになってしまったからである。買えばいいといえばそうだけれども、週末まで待つには傷が多かった。爪を切ってはいても傷がつくのであるから仕方ない。

 もともと手芸が好きだったし、2年ほど前にマスクを作っていたから材料はあった。新生児サイズのミトンを型紙替わりにして、ネットで作り方を検索する。今はYouTube動画でもブログでも作り方が乗っているのでありがたい。売り物ではないから、細部まで正確には作らないけれど、こどもが決してケガをしないようにするために丁寧に作る。こどもが起きないようにミシンのスピードを下げてゆっくりと縫っていく。こどもが泣くたびに手を止めながら、何とか二組のミトンができた。上々の出来。在庫にしていたかわいいガーゼがやっと日の目を見ることができた。

 洗濯して乾いたものをさっそくこどもにつける。ゴムが強すぎはしないかと何度か手首に指を入れる。ミトンをつけた両手を顔の左右に置くようにバンザイをしてすやすやと寝るこどもをみて安堵する。これでぐずりだして顔を掻いても傷がつかなくなるかなと願いを込めてこどもをなでる。ミトンで窒息が起きないかも見守る必要があるので、あっちが立てばこっちが立たずということもある。なんにせよ、起こるときは起こるので定期的に確認することは変わらない。

 今日、やっとこどもの顔から傷がなくなった。保湿の成果か、乳児湿疹もほとんど見えなくなった。つるんとした赤ちゃんの肌になったことが本当にうれしい。乳児湿疹がひどかったときは本当に申し訳なくて、ごめんねと言いながらベビークリームを塗っていた。何か起きるたびに後手になりながら対応をする。新米母であることを言い訳にしたくないと思いながらも、気にしすぎて子どもに笑顔を向けられなくなったら意味がない。できることから一つずつである。どんな形でも、こどもを大切にしていきたい。自己満足の自家製ミトンをつけるこどもの寝顔を見ながら今日も一日頑張ろう、それが私の精一杯である。

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