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岐阜大学2008年:空間座標と軌跡

問題

$${0 < \theta < \pi}$$とする。座標空間に3点A$${(1,\ 0, \ 0)}$$,P$${(\cos \theta,\ \sin \theta, \ 0)}$$,Q$${(\cos \theta,\ 0, \ \sin \theta)}$$ をとり,△APQの面積を$${S}$$ とする。
$${\theta}$$ が変化するとき,$${S}$$ の最大値と,そのときのP, Q の座標を求めよ。

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  計算は難しくないでしょう。ベクトル $${\overrightarrow{\rm{AP}}}$$ と$${\overrightarrow{\rm{AQ}}}$$ を用いて,面積の公式を使うか,面積の公式を忘れていたら,内積を使って∠PAQ を求めて,三角比の面積公式を使えばよいのです。それより大切なのは,問題を読んで,P,Qがそれぞれ半径1の円周上にあることがすぐに想起できるかどうかでしょう。平面上で,点$${(\cos \theta,\ \sin \theta)}$$ が単位円周上にあることがすぐには想起できない生徒は以外に多いのです。まして,空間ではどうか。
  そこで,ここでも,空間内の2つの円周上で点P,Qを(実際には角θを)インタラクティブに動かして図形の変化を見ることができるものを作りました。

リンク先を開くと次の画面になります。

画像1

右にあるスライダで$${\theta}$$ の値を変えることができます。

画像2

左のスライダで,図形を座標軸の周りに回転することができます。下のスライダを使ってz軸の周りに回転すると,赤の図形が円であることがわかります。

画像3

上のスライダを使ってx軸の周りに回転すると,青の図形が円であることがわかります。

画像4

はじめの図ではわかりにくいかもしれませんが,ここまでやってみると,右のスライダを動かすと点P,Q がそれぞれ半円上を動くことがわかるでしょう。
では,面積が最大となる$${\theta}$$ を求めて,その図を作りましょう。

 ベクトルを使った面積公式を利用すると
     $${S=\dfrac{1}{2}\sqrt{|\overrightarrow{\rm{AP}}|^2 |\overrightarrow{\rm{AQ}}|^2-(\overrightarrow{\rm{AP}} \cdot \overrightarrow{\rm{AQ}})^2}}$$

から $${S=\dfrac{1}{2} \sqrt{4(1-\cos \theta)^2-(1-\cos \theta)^4}}$$ を得ます。$${x=(1-\cos \theta)^2}$$ とおくと,ルートの中は$${x}$$ の2次関数となって,$${x=2}$$ のとき最大となります。P,Qの座標は$${(1-\sqrt{2},\ \sqrt{2\sqrt{2}-2},\ 0), \ (1-\sqrt{2},\ 0, \ \sqrt{2\sqrt{2}-2})}$$ です。$${\theta}$$ の値は手計算では求めにくいでしょうが,関数電卓や表計算ソフトなどを使えば求められます。Cinderellaなら, CindyScript で print(arccos(1-sqrt(2))); とすれば,114.5° と出ます。


※ Cinderella(CindyJS) で作成しています。