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Cinderellaで数学:包絡線・垂足曲線と円錐曲線

「曲線の事典」(礒田正美他著:共立出版 2009)に掲載の,包絡線による円錐曲線の作図です。作図器の写真もあります。

 平面上に曲線Cと固定点(焦点)Fが与えられており,曲線C上の点Hと点Fを通る直線HFに対して,点Hで直交する直線(法線)t がある。点Hが曲線C上を動くとき,点Fの位置および(垂足)曲線Cに応じて,直線(法線)t による包絡線は円錐曲線になる場合がある。

「曲線の事典」(礒田正美他著:共立出版 2009) p72

 垂足曲線が直線のとき放物線,円のとき楕円または双曲線です。
 では,この「垂足曲線」とは何か,から調べましょう。

垂足曲線

 与えられた曲線上の各点における接線に固定点Pから下ろした垂線の足の軌跡を垂足曲線という。

同上 p273

 放物線の場合についてこれを作図します。
① 点(焦点)と直線(準線)を取り,「焦点と準線で決まる放物線」ツールで放物線を描きます。
② 放物線上に点Dを取り,「点の曲線を加える」ツールで接線を引きます。
③ 適当なところに点Eをとり,Eを通る,接線の垂線を引き,交点をとります。
④ 軌跡ツールで,動かす点をD,軌跡を描く点をFとすると,垂足曲線が描かれます。

放物線の垂足曲線

点Eを焦点Aに重ねると,垂足曲線は直線になります。

では,同様にして楕円,双曲線の場合もやってみましょう。いずれも,焦点と通る点で曲線が描けるので,曲線上の点で接線を引き,任意の点から垂線を引いて交点を求めます。

楕円の垂足曲線

点Eを焦点に重ねると垂足曲線は円になります。焦点は円の内側にあります。

双曲線の垂足曲線です。

双曲線の垂足曲線

点Eを焦点に重ねると垂足曲線は円になります。焦点は円の外側にあります。

 これを逆にして,焦点と直線または円から円錐曲線を描くのが,包絡線による円錐曲線の作図器です。

まず,放物線の作図器の写真と図です。写真と図は上下が逆になっています。

 作図は簡単です。点Fと直線をとり,直線上に点を取って点Fと結び,垂線を引きます。作図順ではA,Dになるでしょう。包絡線は,インスペクタの「特別な表示方法」で「足跡を描く」にチェックを入れれば描けます。

点Dを動かすとDを通る垂線のあとが残ります。こうしてできるのが包絡線です。

垂足曲線による包絡線:放物線

 点Aと円を描き,点Aを円の内側,または外側にして同様にすると楕円,または双曲線が包絡線として描かれます。同じ作図で,焦点Aと円の位置関係を変えれば両方を描くことができます。

垂足曲線による包絡線:楕円
垂足曲線による包絡線:双曲線

少し手を加えて,作図器を模した図にしたのがタイトル画面です。
Web上で動かせるようにしたのが次のページです。

 なお,「足跡」は CidyJS では表示されませんので,Draw スロットに

seg = append(seg, [D.xy, E.xy]);
forall(seg , draw([#_1, #_2], color -> [0,0,0]));

を書いて足跡を表示しています。Drawスロットは,画面上で何か(マウスドラッグなど)が起こるたびに実行されるので,その度に配列seg に両端の座標を追加していき,draw() で表示しています。
「リセット」ボタンをクリックすると,Initialization  に書いた reset() が実行されます。

reset():=(
  C.xy = [3,4];
  seg = [];
);

線分を棒にする方法は,「交叉平行四辺形を利用した円錐曲線作図器」のページで説明しています。

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