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【無料公開】過去形の持つ本当のニュアンス【仮定法】

「やりなおし英語JUKUのコア英文法レッスン&発信トレーニング」では、話し手の「場面」「状況」「気持ち」に焦点を置いた「コア英文法」を「話せる力」に紐づける発信トレーニングを毎朝7:00に投稿しています(月額500円)。今回は、先日投稿した「過去形の持つ本当のニュアンス」を無料公開いたします。

例題にチャレンジ!

早速ですが、例題にチャレンジしてみましょう。

[例題] 次の日本語を参考に、適切な語を選びましょう。
① 時間があったら、一緒に行かない?
If you [ have / had ] time, do you want to go with us?
② タイムマシンがあったら、どこに行く?
If you [ have / had ] a time machine, where would you go?


いかがでしょうか?
正解はコチラ!

[正解]
① have
② had


①のような現実的な仮定をするときは、素直に現在形を使えばOKです。

① 時間があったら、一緒に行かない?
If you have time, do you want to go with us?


一方、②のような現在の事実に反することや、起こりそうにないことを仮定する場合(=非現実的な仮定)は、現在の話であっても過去形を使います。

② タイムマシンがあったら、どこに行く?
If you had a time machine, where would you go?


②のように過去形を使うほうを「仮定法」なんていうタイトルで学習したりもしますが、そもそも、なぜ非現実的な仮定では現在の話なのに過去形を使うのでしょうか?


「過去形」の本当のニュアンス

過去形は「過去の話をするときに使う動詞のカタチ」というイメージですが、実際の使い方はそれだけではありません。

英語の過去形は「遠く離れた感覚(=距離感)」を表し、次の3つの「距離感」を表現することができます。

◆過去形が表す3つの「距離感」
① 現在との時間的な距離感
② 人との心理的な距離感
現実との距離感


① 現在との時間的な距離感 ⇒過去の出来事

I loved her.
(彼女を愛していた)

シンプルに過去を表す過去形です。①~③の中では、これが一番おなじみの使い方で、「時間的な距離感」を表しています。

現在の状況と時間的な隔たりがあるので、I don’t love her any more.(今は彼女をもう愛してはいない)ということも表しています。もし今も愛しているのであれば、I love her.(彼女を愛しています)と表現するはずです。


② 人との心理的な距離感 ⇒丁寧な表現

Could you wake me up at 7 tomorrow?
(明日7時に起こしてくれませんか?) 

could は can の過去形です。Could you~?(~していただけませんか?)は、丁寧な依頼表現と言われますが、それは過去形が相手との「心理的な距離感」を表すからです。

一方、Can you~?(~してくれない?)は過去形ではない(=距離感がない)ため、カジュアルな依頼表現となります。


③ 現実との距離感 ⇒非現実的な仮定

If I were you, I wouldn’t buy this.
(私があなただったら、これは買わないでしょう)

「私があなただったら」ということはあり得ないので、「現実との距離感」を表す過去形を使います。非現実的な話もまた英語では過去形を使って表すので、②と同様、現在の話であるにもかかわらず過去形となっています。

現在形は、I won’t go if it rains tomorrow.(明日雨が降ったら行きません)のような現実的な話をするときに使います。


ここで、もうひとつ例題にチャレンジしましょう。

[例題] 日本語の意味に合うように、次の英文の誤りを指摘しましょう。
この時期どこに行ったらいいかな? -僕だったらハワイに行くよ。
Where should I visit at this time of year? -I will visit Hawaii.


[正解]
(×)I will visit Hawaii.
(○)I would visit Hawaii.

[解説]
「僕だったら」という非現実的な話(実際に自分がハワイに行くわけではないが、もし自分がそういう状況だったらハワイに行くというアドバイスを相手にしている場面)であるため、過去形 would にします。will は過去形でないため、現実的な話(これから実際に自分がすること)になってしまいます。*I will visit Hawaii.(これからハワイに行ってきます)

Where should I visit at this time of year? -I would visit Hawaii.(この時期どこに行ったらいいかな? -僕だったらハワイに行くよ)


日本語を話すときにこのような「過去形=距離感」を意識することは基本的にありません。そのため「日本語→英語」の直訳発想ではなく、英語を使う「場面・状況」を意識することが大切です。


ここから先は通常、マガジンご購読者限定の発信トレーニングですが、ここでは「過去形の持つ本当のニュアンス」の発信トレーニングを全編無料公開です。コア英文法ポイントを会話に紐づけることを意識しながらトレーニングしましょう。

このトレーニングは、1つのテーマを3日間連続の3ステップで完成させます(※今回は3日分を一挙無料公開!)。「しつこく繰り返す」ことがポイントですので、この3日間は同じ英文を角度を変えてトレーニングします。また、学習テーマにはあえて順番をつけず、どのタイミングでも学習を始められるようにしています(学習開始後約3ヶ月でテーマが一巡しますが、トレーニング内の英文は常に新しいものに更新されます)。


【3日間完成 発信トレーニング Day1】~場面・状況を意識する~

1日目は選択問題形式で、場面・状況を意識したトレーニングを行います。

[問題] 次の日本語を参考に、適切な語(句)を選びましょう。

(1) 私は今日DVDを見ました。それはフランス映画でした。
I [ watch / watched ] a DVD today. It was a French movie.


[解答] watched
[解説] 「見ました」とあるので、過去形を使います。「today(今日)や every day(毎日)は現在形と一緒に使う」とおさえている学習者の方がいますが、過去にしたことであれば当然過去形で表します。

I watched a DVD today. It was a French movie.(私は今日DVDを見ました。それはフランス映画でした)



(2) 音楽がやかましすぎるよ。もうすぐ夜中の2時だよ。音量を下げてくれない?
The music is too loud. It’s almost 2 a.m. [ Can / Could ] you turn it down?


[解答] Can
[解説] 「音量を下げてくれない?」とカジュアルに頼んでいる場面ですので、Can you~? が自然です。

The music is too loud. It’s almost 2 a.m. Can you turn it down?(音楽がやかましすぎるよ。もうすぐ夜中の2時だよ。音量を下げてくれない?)



(3) もう一度それを私に説明していただけますでしょうか。
[ Can / Could ] you explain that to me again?


[解答] Could
[解説] 「説明していただけますでしょうか?」と丁寧に依頼している場面ですので、Could you~? が自然です。(2)との違いに注意。

Could you explain that to me again?(もう一度それを私に説明していただけますでしょうか。)



(4) もし宝くじに当選したら、僕は誰にも言いません。
If I [ win / won ] the lottery, I [ won’t / wouldn’t ] tell anyone.


[解答] won, wouldn’t
[解説] 宝くじに当選するということは現実的な話ではないので、過去形を使います。現在形にすると現実的な話(宝くじに当選することはよくあること)として聞こえてしまいます。if節(if のカタマリ)の won だけでなく、wouldn't も過去形であることがポイント。

If I won the lottery, I wouldn’t tell anyone.(もし宝くじに当選したら、僕は誰にも言いません)



(5) [実際には寝ないけど寝ようと思えば] たぶん24時間くらいは寝られるよ。
Maybe I [ can / could ] sleep for about 24 hours.


[解答] could
[解説] 24時間寝るということは現実的には考えにくいので、過去形を使います。このような表現にすることで「それほど疲れている」ということが分かります。これを現在形にしてしまうと、現実的な話(24時間くらいは普通に寝ることができる)として聞こえてしまいます。

Maybe I could sleep for about 24 hours.(たぶん24時間くらいは寝られるよ)



(6) 今夜夕食にいらっしゃいませんか?
[ Will / Would ] you like to come to dinner tonight?


[解答] Would
[解説] 「いらっしゃいませんか?」という丁寧な表現のため、過去形を使います。Would you like to V~?(~されたいですか?)は、Do you want to V~?(~したい?)を丁寧にしたカタチです。Will you like to V~? というカタチはそもそもありません。

Would you like to come to dinner tonight?(今夜夕食にいらっしゃいませんか?)



(7) もっとたくさんの本が読めたらなぁ、でもその時間が全く見つかりません。
I wish I [ can / could ] read more books, but I never [ find / found ] the time.


[解答] could, find
[解説] 前半は非現実的な話であるため、過去形を使います。一方、後半は事実を述べているだけですので、そのまま現在形を使います。

I wish I could read more books, but I never find the time.(もっとたくさんの本が読めたらなぁ、でもその時間が全く見つかりません)



(8) 時間があれば、このMVを確認してもらえませんか?
If you [ have / had ] the time, could you check out this music video?


[解答] have
[解説] 相手が時間があるかどうかは分からないので、現実的な話として現在形を使います。過去形 If you had the time としてしまうと、「実際にはあなたには時間はないけど、もし時間があれば」という非現実的な話になり、「このMVを確認してもらえませんか?」という依頼をするには不自然です。

If you have the time, could you check out this music video?(時間があれば、このMVを確認してもらえませんか?)



(9) 彼女はできないともやらないとも言いませんでした。
She didn’t say she [ can’t / couldn’t ] or wouldn’t.


[解答] couldn’t
[解説] 日本語では「できない」と言っていますが、この文全体が過去の話であるため、couldn’t と過去形にします。これを「時制の一致」と言います。

She didn’t say she couldn’t or wouldn’t.(彼女はできないともやらないとも言いませんでした)



(10) 私だったら、そんなことはしません。
I [ won’t / wouldn’t ] do that.


[解答] wouldn’t
[解説] If I were you(もし私があなただったら)が省略されていると考えます。相手の状況を自分に置き換えて、相手にアドバイスをしている場面です。You shouldn't do that.(そんなことはすべきでないよ)と直接的に言うよりもソフトな表現になります。

I wouldn’t do that.(私だったら、そんなことはしません)



【3日間完成 発信トレーニング Day2】~語順を意識する~

2日目は並べ替え問題形式で、語順を意識したトレーニングを行います。

Day1と同じ英文ですが、別角度からの問題と解説になっていますので、より深い理解が得られ、定着率を高めることができます。

[問題] 次の日本語を参考に、文法的に正しく並べ替えましょう(※1つ不要なものがあります)。

(1) 私は今日DVDを見ました。それはフランス映画でした。
[ DVD / I / a / watch / watched ] today. It was a French movie.


[解答] I watched a DVD today. (×)watch
[解説] 過去の話は過去形を使います。現在形 I watch~. では日常習慣(普段見ている)を表すためNG。

I watched a DVD today. It was a French movie.(私は今日DVDを見ました。それはフランス映画でした)



(2) 音楽がやかましすぎるよ。もうすぐ夜中の2時だよ。音量を下げてくれない?
The music is too loud. It’s almost 2 a.m. [ turn / it / can / could / down / you ]?


[解答] Can you turn it down?  (×)could
[解説] カジュアルに依頼をしている場面ですので、Can you~? が自然です。また、turn down のような「他動詞+副詞」の句動詞は代名詞を間に挟みます。(※他動詞について詳しくはコチラ)
*loud([音量が]大きい、うるさい) turn down([音量を]下げる)

The music is too loud. It’s almost 2 a.m. Can you turn it down?(音楽がやかましすぎるよ。もうすぐ夜中の2時だよ。音量を下げてくれない?)



(3) もう一度それを私に説明していただけますでしょうか。
[ to / that / you / me / can / could / explain ] again?


[解答] Could you explain that to me again?  (×)can
[解説] 丁寧に依頼する場面では Could you~? が自然です。また、explain は explain モノ to 人([人]に[モノ]を説明する)のカタチで使います。

◆同じような意味の表現に Would you~? がありますが、こちらは「~してくださいますか」と丁寧な指示(あくまで指示!)を出しているニュアンスがあります。丁寧な依頼の Could you~? と区別しておさえましょう。

Could you explain that to me again?(もう一度それを私に説明していただけますでしょうか。)



(4) もし宝くじに当選したら、僕は誰にも言いません。
[ I / the / if / lottery / win / won ], I wouldn’t tell anyone.


[解答] If I won the lottery  (×)win
[解説] 非現実的な話には過去形を使います。現在形にすると現実的な話になってしまいます。
*win the lottery(宝くじに当たる)

If I won the lottery, I wouldn’t tell anyone.(もし宝くじに当選したら、僕は誰にも言いません)



(5) [実際には寝ないけど寝ようと思えば] たぶん24時間くらいは寝られるよ。
Maybe [ hours / I / 24 / for / about / can / could / sleep ].


[解答] Maybe I could sleep for about 24 hours.  (×)can
[解説] (4)と同様、非現実的な話であるため、過去形を使います。「それほど眠たい、疲れている」という意味であり、「24時間寝ることができた」という意味ではないことに注意しましょう。似たような表現として以下のようなものがあります。

◆I could eat a horse.(馬が一頭食べられるくらいだ)
「馬を一頭食べられるほどお腹が空いている」という表現です。実際に馬を一頭丸ごと食べるのは現実的ではないため、過去形 could を使っています。

Maybe I could sleep for about 24 hours.(たぶん24時間くらいは寝られるよ)



(6) 今夜夕食にいらっしゃいませんか?
[ come / dinner / you / to / to / will / would / like ] tonight?


[解答] Would you like to come to dinner tonight?  (×)will
[解説] 「いらっしゃいませんか?」という丁寧な表現のため、過去形を使います。Would you like to V~?(~はいかがですか?)をひとつのフレーズとして覚えてしまいましょう。

Would you like to come to dinner tonight?(今夜夕食にいらっしゃいませんか?)



(7) もっとたくさんの本が読めたらなぁ、でもその時間が全く見つかりません。
[ read / wish / I / more / I / can / could / books ], but I never find the time.


[解答] I wish I could read more books  (×)can
[解説] 非現実的な話であるため、過去形を使います。I wish I could V~. は「そうしたいのはヤマヤマですが、できればそうしたいのですが(実際にはできません)」と、やんわりと断りたい場面でも使うことができます。[例] I wish I could go with you.(一緒に行けたらいいんだけど)

I wish I could read more books, but I never find the time.(もっとたくさんの本が読めたらなぁ、でもその時間が全く見つかりません)



(8) 時間があれば、このMVを確認してもらえませんか?
[ if / have / had / time / you / the ], could you check out this music video?


[解答] If you have the time  (×)had
[解説] 現実的な話であるため、現在形を使います。過去形 If you had the time では非現実的な話になり、不自然です。
*have the time(時間がある、手が空いている) check out(~を調べる、確認する)

If you have the time, could you check out this music video?(時間があれば、このMVを確認してもらえませんか?)



(9) 彼女はできないともやらないとも言いませんでした。
[ or wouldn’t / she / she / can’t / couldn’t / say / didn’t ].


[解答] She didn’t say she couldn’t or wouldn’t.  (×)can’t
[解説] 文全体が過去の話であるため、過去形 couldn’t を使います(時制の一致)。また、「AでもBでもない」と言うときは not A or B というカタチになることに注意しましょう。※not A and B は「AとBの両方というわけではない」という意味になります。

She didn’t say she couldn’t or wouldn’t.(彼女はできないともやらないとも言いませんでした)



(10) 私だったら、そんなことはしません。
[ won’t / wouldn’t / do / that / I ].


[解答] I wouldn’t do that.  (×)won’t
[解説] 「私だったら」と、相手にアドバイスをしている場面です。You を主語にして直接的に言うよりもソフトな表現になります。アドバイスの表現の1つのパターンとして覚えておきたいです。

I wouldn’t do that.(私だったら、そんなことはしません)



【3日間完成 発信トレーニング Day3】~発信力を意識する~

3日目は、Day1・Day2で扱った日本語文を瞬間的に英語に変換するトレーニングを行います。日本語を丸々英語になおす作業というのはなかなか難しいものですが、このトレーニングが最も大切なものになります。Day1・Day2のトレーニングは、全てこのDay3をするためにあります。

目標解答時間内に終えることができれば、このテーマはめでたく修了です!発信力が向上していることが実感できるはずです。制限時間をオーバーしてしまった場合は、時間内に終えられるように繰り返し練習しましょう。

また、ディクテーションやシャドウイングの練習用に音声をつけていますので、ご自由にお使いください!

[問題] 次の日本語を口頭で英語に直しましょう。(※目標解答時間は合計で30秒です!)

(1) 私は今日DVDを見ました。それはフランス映画でした。
(2) 音楽がやかましすぎるよ。もうすぐ夜中の2時だよ。音量を下げてくれない?
(3) もう一度それを私に説明していただけますでしょうか。
(4) もし宝くじに当選したら、僕は誰にも言いません。
(5) [実際には寝ないけど寝ようと思えば] たぶん24時間くらいは寝られるよ。
(6) 今夜夕食にいらっしゃいませんか?
(7) もっとたくさんの本が読めたらなぁ、でもその時間が全く見つかりません。
(8) 時間があれば、このMVを確認してもらえませんか?
(9) 彼女はできないともやらないとも言いませんでした。
(10) 私だったら、そんなことはしません。


[解答]
(1) I watched a DVD today. It was a French movie.
(2) The music is too loud. It’s almost 2 a.m. Can you turn it down?
(3) Could you explain that to me again?
(4) If I won the lottery, I wouldn’t tell anyone.
(5) Maybe I could sleep for about 24 hours.
(6) Would you like to come to dinner tonight?
(7) I wish I could read more books, but I never find the time.
(8) If you have the time, could you check out this music video?
(9) She didn’t say she couldn’t or wouldn’t.
(10) I wouldn’t do that.


音読トレーニング

ディクテーションやシャドウイングの練習はコチラ!


まとめ

過去形は「距離感」を表す


いかがでしたしょうか。「やりなおし英語JUKUのコア英文法レッスン&発信トレーニング」では、話し手の「場面」「状況」「気持ち」に焦点を置いた「コア英文法」を「話せる力」に紐づける発信トレーニングを毎朝7:00に投稿しています。「中学英文法を会話につなげる練習を毎日の習慣にしたい!」という方にオススメです。




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