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過去形の持つ本当のニュアンス【3日間完成 Day1】

例題にチャレンジ!

早速ですが、例題にチャレンジしてみましょう。

[例題] 次の日本語を参考に、適切な語を選びましょう。
① 時間があったら、一緒に行かない?
If you [ have / had ] time, do you want to go with us?
② タイムマシンがあったら、どこに行く?
If you [ have / had ] a time machine, where would you go?


いかがでしょうか?
正解はコチラ!

[正解]
① have
② had


①のような現実的な仮定をするときは、素直に現在形を使えばOKです。

① 時間があったら、一緒に行かない?
If you have time, do you want to go with us?


一方、②のような現在の事実に反することや、起こりそうにないことを仮定する場合(=非現実的な仮定)は、現在の話であっても過去形を使います。

② タイムマシンがあったら、どこに行く?
If you had a time machine, where would you go?


②のように過去形を使うほうを「仮定法」なんていうタイトルで学習したりもしますが、そもそも、なぜ非現実的な仮定では現在の話なのに過去形を使うのでしょうか?


「過去形」の本当のニュアンス

過去形は「過去の話をするときに使う動詞のカタチ」というイメージですが、実際の使い方はそれだけではありません。

英語の過去形は「遠く離れた感覚(=距離感)」を表し、次の3つの「距離感」を表現することができます。

◆過去形が表す3つの「距離感」
① 現在との時間的な距離感
② 人との心理的な距離感
現実との距離感


① 現在との時間的な距離感 ⇒過去の出来事

I loved her.
(彼女を愛していた)

シンプルに過去を表す過去形です。①~③の中では、これが一番おなじみの使い方で、「時間的な距離感」を表しています。

現在の状況と時間的な隔たりがあるので、I don’t love her any more.(今は彼女をもう愛してはいない)ということも表しています。もし今も愛しているのであれば、I love her.(彼女を愛しています)と表現するはずです。


② 人との心理的な距離感 ⇒丁寧な表現

Could you wake me up at 7 tomorrow?
(明日7時に起こしてくれませんか?) 

could は can の過去形です。Could you~?(~していただけませんか?)は、丁寧な依頼表現と言われますが、それは過去形が相手との「心理的な距離感」を表すからです。

一方、Can you~?(~してくれない?)は過去形ではない(=距離感がない)ため、カジュアルな依頼表現となります。


③ 現実との距離感 ⇒非現実的な仮定

If I were you, I wouldn’t buy this.
(私があなただったら、これは買わないでしょう)

「私があなただったら」ということはあり得ないので、「現実との距離感」を表す過去形を使います。非現実的な話もまた英語では過去形を使って表すので、②と同様、現在の話であるにもかかわらず過去形となっています。

現在形は、I won’t go if it rains tomorrow.(明日雨が降ったら行きません)のような現実的な話をするときに使います。


ここで、もうひとつ例題にチャレンジしましょう。

[例題] 日本語の意味に合うように、次の英文の誤りを指摘しましょう。
この時期どこに行ったらいいかな? -僕だったらハワイに行くよ。
Where should I visit at this time of year? -I will visit Hawaii.


[正解]
(×)I will visit Hawaii.
(○)I would visit Hawaii.

[解説]
「僕だったら」という非現実的な話(実際に自分がハワイに行くわけではないが、もし自分がそういう状況だったらハワイに行くというアドバイスを相手にしている場面)であるため、過去形 would にします。will は過去形でないため、現実的な話(これから実際に自分がすること)になってしまいます。*I will visit Hawaii.(これからハワイに行ってきます)

Where should I visit at this time of year? -I would visit Hawaii.(この時期どこに行ったらいいかな? -僕だったらハワイに行くよ)


日本語を話すときにこのような「過去形=距離感」を意識することは基本的にありません。そのため「日本語→英語」の直訳発想ではなく、英語を使う「場面・状況」を意識することが大切です。


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