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【感想】駒田蒸留所へようこそ

2023年 日本
監督 吉原正行
出演 早見沙織
   小野賢章
   内田真礼

あらすじ

ニュースサイトの記者である光太郎は、ある日、上司から国産ウィスキー特集の仕事を任される。取材先で出会ったのは、駒田蒸留所の若き女社長、駒田琉生だった。
震災の影響で製造できなくなってしまった幻のウィスキー『KOMA』を復活させるべく、日夜奮闘する琉生の姿を見ながらも、仕事にやる気のない光太郎くん。ぶっちゃけ社会人として致命的な態度で仕事を続けるが、ひょんなことから琉生が働く本当の理由を知り、彼女とともに『KOMA』の復活を目指して動き出す。家族の絆を描くお仕事系アニメーション映画。

感想

唐突ですが、「〇〇へようこそ」タイトル縛り始めます。今週はようこそウィーク

ということで感想ですが、この映画に出てくる『KOMA』って、いろんな原酒を混ぜて作る、いわゆるブレンデッドウィスキーなんですね。有名どころでいうと、「シーバスリーガル」とか「響」とか、お酒好きじゃなくても聞いたことあると思います。美味しいですよね、えへへ。

多種多様な風味を混ぜ合わせて、最高のハーモニーを作る。これって映画作りにも共通するところがあるんじゃないかなって思ったりするんですが。じゃあ今作を一本のウィスキーだと考えた場合、明らかに主人公のキャラクターが異物すぎて調和を崩している気がします。

序盤のやる気のなさは目に余るし、かと思えば急にやる気出すのも突拍子なくて意味不明。すっげえ出しゃばってくるし、発言がいちいち鼻につく。おおよそ、好かれる要素のないキャラクターだと思います。

おそらく、家族の絆というメインテーマに対し、サブとして働く意義みたいな感じで入れたかったんだろうが、完全に切り離した別作品として作成した方が良かったんじゃないでしょうか。

というのも、琉生ちゃんサイドの話は完成度高くてめっちゃ面白いんですよ。駒田蒸溜所を離れたお兄ちゃんの心境とか、そのお兄ちゃんにあえて『KOMA』の作り方を託すお父さんとか。蒸溜所の従業員たちも『KOMA』に対する想いが伝わってきて、人間味溢れてる。最後は家族の絆を取り戻して、すっごい感動できる終わり方なんです。

それを外側の視点から取材する、っていう見せ方をするのは納得できるんですけど、じゃあもっと癖のない主人公にすれば良かったんじゃないのかなって思いました。

映像面だと、蒸溜所の描写がめちゃくちゃ細かくて、まるで工場見学しているみたいに楽しめたんだけど、よくよく考えてみたらコレってアニメでする意味あるのかな、ってなりました。何か創作をするにあたって、どんなツールで表現するかって大事だと思うんですけど、じゃあ本作をわざわざアニメで作った理由というものが私には見えてきませんでした。教えて、偉い人!

はい、ようこそまとめへ。割と文句が多めの感想にはなっていますが、主人公の存在さえ許容できたらクオリティの高いアニメ作品にはなっていると思うので、一度試しに見てみるのもいいかもしれません。お酒の知識も身につくよ。

あと、売れっ子声優である早見さんの演技めっちゃいいし、なんならエンディングも歌っているのでファンは必見だと思います。てか、めっちゃいい曲なんでこれだけでも聴いてください。


以上、思いつきで始めた「ようこそシリーズ」2作目です。お疲れサマンサタバサ。

視聴:映画館

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