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空も飛べるはず

ルックバックの映画を見てきました。
元々好きな漫画で、映画化が決まった時は絶対に行くぞ、、、!という気持ちだったものの、予定が合わず上映開始から1ヵ月ほど経過してようやく劇場に。58分と映画にしては短いと言って差し支えない上映時間に加え、子供割や学割、果ては障害者割も適用されず一律1,700円という中々攻めた金額設定に驚きつつも、「カゲロウデイズの映画は20分だったしな、、、」と謎の納得をした。

 入場特典のネーム版の漫画冊子は予想はしていたものの配布終了しており、しょんぼりしながら座席を探す。なんとなく映画館の座席はいつも中央やや左後ろを選んでしまう。学校で窓際後ろの座席が好きだった名残なのかも。

 予告編が始まると、ルックバックがアニメ映画ということもあってか、アニメ映画やディズニー映画の紹介が多かったような気がする。考えてみれば、すみっこぐらしの映画見に来たら貞子の予告がでてきたりするのは嫌すぎる。ざっと予告を見た感じ、ディズニー映画の「インサイドヘッド2」。1が良かったのもあって気になるぜ。

 今回は本編のネタバレに関しては直接的な表現はやめときます。こういうのは最初に書くべきだなと、⚠腐・グロ描写アリ⚠みたいな棲み分けとゾーニングを思い出した。otakuマナー。

 ネタバレじゃない部分の感想としては、劇中の音楽がとてもよかった。主題歌・挿入歌ともにピアノとヴァイオリンを中心としたクラシック調の音楽にも関わらず、いい意味で壮大さを感じさせいような小規模な幼少期に焦点を当てた音楽、、、かと思いきやその内省的なちっぽけな小中学生の感情をすごく膨らませて一大事のように壮大にしていて気持ちいい。小学生の時は、学校が世界の中心で、最寄り駅と大きな川が世界の端っこのように思っていたような気がする。一貫して「午睡」って言葉がしっくりくるような音楽で、微熱でぼーっとした頭で保健室のベットから校庭ではしゃぐ同級生を眺めている時や、プール終わりのウトウトした5時間目の歴史の授業中や、早退して病院に連れられる親の車の後部座席で横になっているときに流れていたら最高だろうな、と思った。

 本編で特に好きなシーンに、新人漫画大賞の賞金として10万円を手にした少女2人が「おうち買えちゃうよ、、、」「買う?家」という応酬をする場面がある。劇場では小さく笑いが起きていたし、いやいや10万円で家は買えるわけないでしょwと笑う場面だったのかもしれない。かくいう自分も、漫画で読んだときはクスっと笑えるような描写だなくらいの印象だった。だけど映像とセリフ付きで本気で話す彼女たちをみて、その感性が眩しかった。確かに自分の中にもかつてあったはずだったのに「10万円を見て家が買えちゃう」とはこれっぽっちも思えなくなっってしまったのはいつからだろう。子供の感性を失わないようにと常々思いながら、リュックにはシャボン玉をいつも携帯しているけれど、付け焼刃だった。神は細部に宿るし、子供の感性もそういったちょっとした所に宿っているのかもしれない。彼女たちにとってはきっと、10万円で家が買えるし、近所の川にはサメがいるし、風の強い日に傘をさせば、空も飛べるはずなんでしょう。