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浴槽に浸かる、ということ

ふとした瞬間、月に1度から2度くらいのペースで自分には姉がいることを思い出して、おんなじ家に住んでいたけれど目が合えば暴言を吐かれたこと、「死ね」と「消えろ」と「早く出て」と「本棚」と「何が?」以外の語彙がないこと、俺が風呂に入っていると扉を開けて「早く出て」と怒鳴ること、俺と誕生日の日付だけ同じなこと、小6のときに俺の本棚にあったAVを見つけてそこから5年間、ことあるごとに俺のことを「本棚」と呼びつけて支配していたこと、ここまで思い出した上で思い出す必要が無かったこと、に気づく。俺が地元から出るときにマッサージ師になったというのを聞いて、「資格、取ったんだ」なんて聞くと、「何が?」と言われて、未だにモヤモヤしている。きっと、これから先も関係がないんだと思う。

「ゴミの日」っておもしろい。「ゴミを出す日」とかではなく、ゴミの、日。主役はゴミ。ゴミの日、俺らは脇役。汁男優。俺らが、画面外でシコシコする日。俺はゴミみたいな暮らしをしているから、勝手に毎日をゴミの日と名づけている。だからみんなとゴミの日がかぶると、ちょっぴり嬉しい。ああ、俺だけじゃないんですね。燃えるゴミの日は、収集所に確実にカラスが2匹いて、絶対に挨拶すると決めている。俺はだいたい朝6時くらいにゴミ出しをするのだけれど、カラスに「こんにちは」と言って「おはようだろ」だとか「まだ朝やねん」などの指摘を頂けないか試している。カラスは賢くて、人間の子供くらいの知能は持っているらしく、見返りを求めて一生懸命懇意にしている。最初は逃げられていたけど、最近は逃げられなくなった。鳩の方がよく逃げる。それが悲しいから、あまり鳩には近づかないようにしている。この先、俺が税金関係でにっちもさっちも行かなくなったとき、絶対に助けてもらう。電話する。カラスの語源はきっと、call us(電話して)だ。

それはそれとして、梅雨のことをあまり悪くいえいない。to you(あなたへ)だから。この前、新宿(漢a.k.a.GAMIの地元)で友人に散髪してもらった。彼はまだ新人(人間でいう、第二次性徴が始まったぐらい)で、全ての工程が終わるまでに2時間強(およそ、つまらない映画と同じ長さ)を要したのだが、その間に雨(傘が誕生するに至った原因)が滝(瀧廉太郎や、ピエール瀧とはなんら関係のないもの)のように降り注いで(ときに、恵みのように)、友達が「あーこれはもうお前が住んでいる場所は地図から無くなったね」というボケを、まるでツッコミみたいに言ったのが面白かった。最近はエミネムとゆるふわギャングを聴いているらしい。舐逹磨とBAD HOPのビーフの話になって、俺が舐逹磨の「お前の曲はパクリで、俺のはRequiemというリリックに食らった」という話をしたら、そこに食らうやついないよ?と、あたかも正義(みんなの心にあるもの)のように振り翳してきて、超黙った。そうして退店し、急いで地図を確認したところ、まだ俺の住んでいる街があったので、良かった。

イヤホンが壊れて、街に出ることが無くなった。俺はインプットをしないといけないのに、どうしよう、どうしようと焦りながら平気みたいに生活を続けてる。今苦労した経験が、のちの人生に色を持たせるだろうと思いながらわざわざ厳しい環境に身を置いているつもりだったが、半年くらい経ってこれが全く意味のないことだったことに気づいてがっかりした。それよりも大切な“空腹”は、他にあると。明日でバイト先を辞めて半就職のような生活になる。ブラックだの、誰でもできる業種だの色々言われるが、金が貰えたらなんでもいいだろ。俺がここで止まる器ではないことを、君たちは知っているはずだ。俺はこの仕事が楽しみだ、つらければ辞めればいい、それだけ。とにかく今は早いうちにイヤホンを手に入れて、意味不明の音楽を爆音で聴いて鼓膜を傷つける新しい自傷を再開させることを目標に生きている。

最近よくツイートが伸びるけれど、誰にでも当てはまることをさも自分だけに起こる特別なイベントであるかのように言ってしまった、と悲しくなる。引用を読んだらかなり最悪で、全く的外れなことを言っている人、俺の言葉を自分が発したと思い込んでるアホ、完全に芯を食っていてぐぅの寝も出ないようなチクチク言葉が立ち並んでいて、俺の心をすり減らしてゆく。そもそも、FF外から引用してくるカスどもってどういうリテラシーを学んだらこう育つんだろう。うそはうそであると、と若かりし頃のロン毛論破王の言葉を知らないのか?俺はといえば、伸びそうなツイートは即インプレゾンビ断ちして、すかさずnoteを貼り付けるので、文章を読んでもらえることはありがたいが、果たして俺はみなさんの人生のかけらを削っていいほどのいい文章が書けているだろうか?もしくは、みなさんに俺の文章を読んでいるヒマがあるのか?インプレゾンビも俺の文章を読み、自らの行いを省みるといい。

平日昼間、大きい駅の喫煙所に寄ったら、へとへとになりながら魂を回復させるみたいに喫煙しているサラリーマンが沢山いてめちゃくちゃよかった。最寄りに着いて、コンビニに向かって、アイスを買う。そこから遠回りして、自販機で缶のコーラを買う。家に到着、エアコンをつけたまま家を出た自分を称賛し、もう高卒とは言わせませんよ、と思いながらなめ茸しか入っていない冷蔵庫にアイスだけ入れて、冷水でシャワーを浴びる。そのまま、服も着ずに、アイスを爆食いし、タバコをひと吸いして、理性を飛ばして呼吸を思い出すまでコーラを飲み、喉の激痛に足掻く。俺が、夏を感じる瞬間、または生きていることを思い出して絶望するのはこの時だけで、あとは全てどうでもよかった。

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