『きみのお金は誰のため』は経済教養小説。
「お金の謎」と「社会のしくみ」を知ることができる。
今回のテーマは『未来には贈与しかできない』。
あなたが子どもに食事を作ってあげる。
子どもがあなたの家事を手伝ってくれる。
贈与によって支え合って生きていける。
1992年にIBMが世界初のスマートフォンを発表した。
そのおかげであなたはスマートフォンを使える。
今、多くの人が生成AIを使って試行錯誤している。
そのおかげで未来に生産性が向上するかもしれない。
贈与によって経済は発展する。
贈与経済に詳しい文化人類学者はこう語る。
タンザニアではお金を貯めない。
誰かに投資したり贈与したりする。
贈与によって人間関係を貯める。
すぐにお返しをしてもらうことなんて望んでいない。
いつか自分が困った時に誰かがお返ししてくれればいい。
日本でも贈与の文化はある。
お歳暮やお中元がそう。
実家から送ってきた野菜をお隣さんにおすそ分けするのもそう。
そうして家族以外との人間関係を貯める。
そうすればいざという時に助けてもらえる。
今後、日本は家族のいない単身高齢者が急増する。
単身高齢者こそ家族以外の人間関係を貯めておいたほうがいい。
そうしないといざという時に助けてもらえない。
仕事上の人間関係は会社内や会社間の関係に過ぎない。
会社の外に出て肩書が剥がれれば人は見向きもしない。
そんなことに退職してから気づく。
若いうちから人間関係を貯めておけばよかった。
年を取れば新たな人間関係を築くのが億劫になるから。
いや、今からでも遅くはない。