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擁壁がある物件は安物買いの銭失いになるのが落ち

漫画『正直不動産』は不動産屋の裏側を描く。

不動産取引のからくりや不動産業界の悪習を知ることができる。


今回のテーマは『がけ条例』。


永瀬と十影は買主とともに中古戸建ての内見に訪れる。

買主はこの物件を気に入り将来的に増築をしようと期待に胸を膨らませる。

裏庭の壁を見つめる永瀬の表情がさえないのに気付いた十影は…

自治体によって多少異なるけど東京都なら高さ2mを超えるがけのとき、がけの下端からがけの高さの2倍以内の距離に建物を建築する場合、高さ2mを超える擁壁を設けなければならないってやつっすよね。

正直不動産

擁壁の高さは1.7mであり2m以下なので問題ないと十影は言う。

しかし、永瀬はその上に建つブロック塀が気になる。

永瀬が確認するとブロック塀の内側が30cm以上盛り土されている。

この土地と隣地の地盤面の高低差が2mを超えていることになって、「がけ条例」の規制の対象になるってことだ。

正直不動産

買主は困惑する。

「安全上支障のない2mを超える擁壁を作れば問題ありません。」

「だったら、作りますよ。」

「専門家の調査が必要ですが、高さや面積によっては、工事費用が数百万円から数千万円かかりますよ。」

「は…話が違う!」

正直不動産

結局、成約せず…


正直営業の永瀬らしい話だ。

しかし、現実はそうでもない。

マンション敷地に擁壁、造り直しに5千万円…旭化成ホームズ、説明せず販売か

横浜市港南区にある京急上大岡駅から徒歩20分のマンション敷地で古い擁壁が見つかり、この擁壁の扱いをめぐって住民側はマンションを建てた旭化成ホームズを提訴している。(中略)

マンションの管理組合は委託する管理会社を変更するために見積もり依頼したところ、敷地内を調べていた新しい管理会社の担当者から「古い擁壁を撤去してほしい」と言われたという。

指摘された高さ3~5メートル、長さ約30メートルの石積みの擁壁について、大半の住民が存在を知らなかったそうだ。マンションを購入したときの重要事項説明書にも記載がなかった。

調査によって、擁壁内部に空洞があり、ひび割れなどが確認された。補修には1000万円、造り直すには5000万円以上の費用が必要だとわかった。(中略)

旭化成側は当初、この擁壁を含めて宅地造成の許可申請を横浜市に出したが、市は擁壁の安全が確認できないとして、作り替えなければ申請は通らないと説明したという。

そこで旭化成側は擁壁を直さず、擁壁のある区域を宅地造成の敷地から除いて申請したという。

その後、建物の建築確認の段階では、旭化成側は擁壁部分を敷地に含めて申請した。(中略)

ことの経緯を見る限り、マンション住民らは騙し討ちにあったような印象で、住民らは損害賠償などを求める訴えを横浜地裁に起こしている。

Business Journal

大手ハウスメーカーでさえこの有り様。

まさに擁壁はトラブルのもと。


以前、土地を買って平屋を建てようと思ったことがある。

不動産情報サイトを漁っていると数百万円で売り出している土地があった。

掘り出し物かもしれないと期待して詳細情報を読み込む。

最後の特記事項に…

『擁壁等を作り直しが必要な場合があります。』

訳ありと感じたのでスルー。

当時は数百万円以上の追加費用が必要になるとは思いもしなかった。

ちなみに、今でもこの物件は売れ残っている。


既存擁壁がなくても注意すべき土地がある。

傾斜地では建築できないため、建物を建てる地盤は平坦にしなければいけません。

さら平坦にする際は、基本的に切土工事を行いますが、残土処分費がプラスでかかります。

さらに切土にすると、崖が生まれるため擁壁工事なども必要となるケースが多いです。

全ての費用を合算すると数千万円以上することも少なくありません。

サティスホーム

傾斜地は数百万円で買えることが多い。

しかし、数千万円もの追加費用が必要になる。


擁壁、がけ、傾斜地…

素人はこのような土地に手を出さないほうがいい。

安物買いの銭失いになるのが落ちだ。

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