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「想像の象」は大人の遊び

想像の象とは、狩野探幽が描いたと言われる東照宮にある象のこと。実物を見たことなく描いたと言われています。下記は画像検索の結果。

スクリーンショット 2021-04-15 16.54.08

時代的に考えても象を見たことがある日本人など数える程度でしょうから、見ずに描いているというのは事実なのだろうと思うわけです。

ところでこれは、とってもおもしろい遊びになり得ると考えています。知らないものを伝聞だけを頼りに描く。子どもはもちろん大人にとっても楽しめそうです。いわばとても複雑な連想ゲームという感じ。アウトプットが「絵」というのもおもしろいポイントです。

例えば子どもにこんなお題を出してみると、どんな絵を描くのだろうか?

・キリンの仲間です
・熱帯雨林に住んでいます
・お尻にはシマウマのような縞模様
・舌が長くて耳まで届きます
・毛皮に覆われた2本の角がある

きっと色んな摩訶不思議動物が表れそうです。まだ試してないので今度やってみます。ちなみに上記の動物、正解はオカピ

大人も

大人がやってもこれは楽しそうです。ただし大人の場合には「再解釈」という感じの遊びが楽しいかもしれない。例えばタロットカード。最近、僕の中で流行ってます。それぞれのカード(図像)に意味があり、引いた順序や天地の向きなどによって、その意味性を解釈するというのが基本的な使い方。

しかしこの図像がいかにも難解。ならば、自分でカードを作ってしまうのも一興です。なんか描くことを期待してくれる稀有な人もいるようだし。ただし普通に作ったのでは、結局難解なカードになってしまう。

そこで考えたのですが、タロットの知識が全くない僕が、タロットを引いて”出鱈目な解釈”を毎日しているのですが、その解釈を読んでさらに絵を描くという遊びを思いつきました。つまりこういうこと。

カード引く→解釈する→解釈を元に絵を描く

例えば4月2日に引いたカードの解釈はこうでした。

脱力おじさん、皇帝ね。かつて皇帝とは権威であり「光」そのものだった。光とは行く先を示す灯台のようなもの。
現代において皇帝は象徴であり権威ではない。ならば皇帝とは自らのシンボル(象徴)だ。私とは何か?今日は自分の中のおじさんに聞くといい「その杖、どっち指してる?」とね。(出鱈目)

この解釈から想像される絵のポイントはこうなります。どうせなら子どもでもわかるようなものにしたい。

・脱力したおじさんがいる
・どうやら皇帝
・光ってる?
・シンボリックなおじさん
・私の中にいるらしい
・杖持っている

これを踏まえて絵にするとこんな感じだろうか。

無題 - 2021年4月13日 20.00

解釈の無限ループ

こうなると、さらにこの絵を使って、タロットの知識がない誰かに解釈をしてもらい、その解釈をもとにまた絵を描くということをやってみたくなります。もう無限ループね(笑)

アール・ブリュットやアウトサイダーアートは、アートの教育を受けていない者による表現を総称したものです。教育を受けていないからこそ、「生の芸術=アール・ブリュット」たりえるのだと思います。タロットに限らず知識から入らずに、楽しむという姿勢で入ることで想定の外側にあるものを描けるかもしれません。

ただしこれは無知でいることを推奨するものではありません。学び、知見をもとにした行為にこそ、本来的な価値は見出せます。学びの先にある独自の解釈こそが目指すべきものであることはゆるぎありません。

再現することとアップデート

ところでタロットカードの絵柄って、なんとも古風です。僕が知らないだけで現代風なアレンジのものも多々あるのでしょうけど、絵柄のみならず、モチーフもやっぱり古典です。現代を生きる僕たちにとっては「CHARIOT(戦車)」とか「SWORD(剣)」とか言われても、なんのことやら?というのが正直なところ。もはやゲームの中でしか見たことはありません。

タロットが誕生した時代には、おそらく当たり前に存在するものたちであったのでしょう。ならばこそ、そのモチーフには必然性があったのだろうと思います。であるならば、現代にフィットするモチーフにアップデートすることは行われるべき変化なのかもしれません。

これしかし、カードの状況を子どもに伝えて、どんな情景なのか描いてもらうというワークショップも楽しそう。やってみようかな。題してこどもタロット研究所!

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