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ホニャララLIVE #014 成瀬勇輝(連続起業家)

このテーブルで幾度となく発言される単語の一つが「風」だろうと思う。もちろん、Yujiさんがとなえる時代の大きな変革である「風の時代の到来」に関するものは多いのだけど、期せずして多くのゲストの方からも「風」という単語が出てくることに、たまに驚いたりもしている。

14回目のゲスト、成瀬勇輝さんもまさに風のように生きている人でした。そして成瀬さんからも「風」という単語が出てきます。

連続起業家というか、旅人

僕はここで話を伺うまで、成瀬さんにお会いしたことはなくて、連続起業家というふうに聞いていたのですが、実際には起業家というよりも旅人と言った方がしっくりくるような生き方をされている人でした。

もちろん、いくつかの企業を立ち上げ、サービスを提供しているので、起業家であることは間違い無いのですが、起業することも成瀬さんにとっては旅に近いものなのではないだろうか?

ON THE TRIP

成瀬さんは2016年に、on the trip という会社を立ち上げ、現在も代表を努められている。この会社は旅で訪れる各地のミュージアム、寺社仏閣などのオーディオガイドの制作、提供をしている。手持ちのスマートフォンで見知らぬ土地のストーリーを手軽に聴くことができ、観光を体験へとシフトしてくれるサービスだ。

VAN LIFE

この会社の特徴的なのが、働き方。というかオフィス。on the tripはオフィスを持っていないのだ。マイクロバスを改造した車が彼らのオフィスであり、半住居とも言える。全国を移動しながら仕事をしているそうだ。
※旅の最中はバスで寝食をしても、そうでない時の家もあると思う。多分。。

旅の仕事をしている以上、旅をしながら仕事をするというのは、理にかなっているともいえるが、実際はそうでもない。バスだから、トイレも風呂もない。洗濯もできない。窓の多いバス車両ならではの構造は夏は暑く、冬は寒い。つまりとっても不便な生活を自ら選択しているともいえる。

これらを指して、成瀬さんはVAN LIFE(バスでの生活)を送る自分たちを、社会の中では実に弱い存在だと言っている。生活の大部分の機能を旅先の見知らぬ街に委ねなければならない。しかし、それが発見や学びに繋がるとも言っており、それこそが旅の醍醐味なのだろうと感じさせる。街に自分の弱さをみせることで、優しさを享受したり、不足を補えるわけだ。弱さを見せることができることは最大の強さなのだと思う。

そんなわけで旅の達人ともいえる成瀬さん。僕が敬愛してやまない登山家に山野井泰史さんという方がいるのだけど、山野井さんは冒険は何もなければないほど面白いという。つまり冒険へ行くのに家ごと持っていってしまっては冒険にならないように、できる限りのものを現地で調達するのだけど、成瀬さんの街に委ねるという感覚はこれにも似たものだと思える。

sight seeing からdoing、beingへ 

時代の変化もある。この10年というのはあまりにも過激な変化を遂げている時代だともいえる。僕たちはその只中に今なお自らを置いているわけだが、その変化の中で旅、つまり観光のあり方も変わってきている。sight seeingというが、観ることからdoにさらには、beに変化しているという話も興味深い。

2020年はいよいよ旅に行けない時代がきてしまった。ならどうするか、自分の中の光を探す旅に出ればいいというのだ。成瀬さんはこのライブのちょうど4日前にin tripという新しいサービス(アプリ)を提供し始めており、これは自宅で簡単にできる禅のアプリだ。例えば呼吸のような普段無意識なものに意識をやると、日常が異なって見えてくることがある。旅は移動することでダイナミックに変化を受け入れる行為でもあるが、座禅に代表されるような瞑想なこの逆に内へ、小さな世界へ目を向ける行為なのだろう。

他拠点ではなく無拠点

今は他拠点生活が当たり前のものになろうとしているところにいる。ただ、他拠点という生き方は風のようでありつつも、拠点があることを前提にしている。それでいうと成瀬さんは拠点がない。無拠点生活を実践しているわけだから、さらに上を行く存在だ。

これからの生き方のヒントが、あるんじゃないかと思う話の内容。ぜひ観ていただきたい。長いけど。

最後の方はなんか旅に行けてない旅好きが、温泉の話で盛り上がっているだけとも言う。いつかホニャララ温泉もやれそうな気がしてきた。
#男は黙って裸で語る  

2020年7月11日


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