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不安や緊張を吐き出す技術

子どもの様子を見ていて違和感を感じることがあります。どこか普段とは異なる振る舞いをしているような…。

・寝る時間なのにずっと遊ぼうとする
・なんかのんびりご飯を食べている
・イライラしたり怒ったり

もちろん楽しくて仕方のないときには遊びをやめようとしないなんてこともあります。でも逆の感情を抱いている場合にもこれらの行動は見て取れるように思います。例えば、次の日の予定が嫌で仕方のないときには、眠ることを拒否しようとするかもしれません。明日が来ることを拒絶しているんでしょうね。

同じように、例えば学校に行くことが嫌ならば、のんびりと朝食を食べ続けるかもしれません。食べ"終える"ことの拒絶です。イライラや怒りはどうしていいかわからない感情の逃げ道かもしれない。

行動に表れる感情

僕はその専門ではありませんが、子どもたちの行動を観察すれば、そこに隠れた感情や意図はしっかりと表れているのだろうと思います。保育士の皆様は子どもたちの様子を毎日見ているからこそ、ちょっとした変化に違和感を覚えることができるのでしょうね。

大人ですら感情を吐露することを苦手とする人は少なくありません。それを考えれば子どもたちは、自らの感情を言葉という記号で表現するにはあまりにも未熟だと言わざるを得ません。とはいえ感情を溜め込むことはあまり良いことではありません。心身のバランスを崩しかねません。

遊ぶこと

子どもの心理にアプローチする方法はいくつかあるのでしょうけれど、家庭でも簡単にできる方法が2つあると思います。1つは遊ぶことです。特にごっこ遊びが良いと思います。お人形を使った俯瞰遊びでも、自身が役に扮するなりきり遊びでもどちらでも良いと思います。

東日本大震災の後、被災地の子どもたちが「地震ごっこ」や「津波ごっこ」をして遊んでいると言うことが話題になりました。これはごっこ遊びの追体験を通じて子どもたちが抱えてしまった心の傷を解消しようとするものであり、不謹慎だからと辞めさせるべきではないと言うものでした。同様遊びはその後の大型台風の被害を受けた地域などでも見られています。

箱庭療法

箱庭療法とは砂の入った正方形の箱の中に自由にミニチュアフィギュアを配置して遊ぶことを通して行う心理療法です。砂があることにより地形も表現できますし、具象風景から抽象的なものまで広く表現が可能です。砂を用いたセラピー効果もあるのでしょうが、対象者の潜在意識を探るために用いられるのが一般的なようです。セラピストは隣で見守り、時折声をかけながらその箱庭に解釈を与えていくそうです。

箱庭療法で行われていることと、子どもたちのごっこ遊びは等しいものだろうと思います。おままごとによって生活習慣を身につけるように、ネガティブな感情の処理の仕方も遊びを通じて覚えるのかもしれません。箱庭療法は英語ではsandplay therapyと呼ばれます。まさに遊びです。

寄り添うこと

箱庭療法で重要なのは遊ぶことそのものはもちろんですが、セラピストが見守り、クライアントとともに解釈を深めていくという行為です。この見守ること、寄り添うことが過程でもできる2つめのアプローチ。寄り添うこととは自分の意見を言うのではなく子どもの話を聞くこと。言い換えれば子どもが感情を発露させることができるということを信じて待つと言うことでもあります。

ただ一緒に過ごす。一緒に遊ぶ。そのうちに子どもたちは自分から話を始めてくれるのだろうと思います。別に大人は大人で自分の用事をしても良いと思います。子どもを視界に入れて、意識を子どもに向けてさえいれば。

ドラえもんの空き地を、子どもの心に

子どもに関わる仕事をする中で、ドラえもんの空き地は子どもにとって最高の空間なのではないかという話を何度かした記憶があります。土管が積まれた何にでもなれる空間の素晴らしさは言うまでもないのですが、何より重要なのは三方を民家に囲まれていると言うことだと思います。のび太たちは子どもだけで遊んでいるにもかかわらず何か事故や事件が起きれば、周囲には大人の目がしっかりあったわけです。見ていないようで見ている。見ているようで子どもの自治権がしっかりある。こんな空間を一人一人の子どもの心に持てたら良いのかもなぁ、なんて考えたりもします。

誰かを頼る

子どものが感情を発露させるのが苦手なように、大人も子育ての悩みやストレスを抱え込んでしまうケースがあります。特にこの2年は家から出られない、自分の子ども以外の話し相手もいない、と言うこともあったようでさぞ大変だったことだろうと思います。少しでも誰かを頼れると楽になるのですが、情勢がそれを許してくれなかった。

今なら一時期よりも誰かを頼ることも容易だろうと思います。地域の子育て支援に相談に行ってみたり、保育園なども通っていなくとも利用できる日がありますから問い合わせてみると良いと思います。あるいは公園や民間の遊び場(キドキドとかね)なども平日の午前中に行くと3歳未満の子どもと利用する方が多く、話が合ったということもよく聞きます。

一緒に遊ぶことも、寄り添うことも簡単とは言っても子どもによっては困難な場合もあります。無理してまでやることではないと思います。親と周囲の大人とで異なる役割があると言うくらいに考えてもらえれば良いのかもしれません。子どもはもちろん、大人も感情を溜め込みすぎないようにしたいですね。

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