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乳幼児のお絵かき

乳幼児だって絵を描きます。もちろん絵を描くといっても行為としては発散に近いものですが、絵を描くことは身体活動そのものでもあり、身体を操作した軌跡がそのまま平面に定着しているのだと捉えれば、乳幼児も表現活動を行っていると捉えることもできるのかもしれません。

では表現素材には何を使えば良いのか?結構悩ましいところかもしれません。先の尖った硬いものは怪我などが怖いし、力の加減がわからない赤ちゃんには難しい場合もあります。絵の具はたくさん種類があるから何を選べば良いのやら、肌に刺激が強いんじゃないか、とか…。

フィンガーペイントのすすめ

そこでおすすめの一つがフィンガーペイント用の絵の具です。フィンガーペイントとは、指や手で直接絵を描く技法で、僕の知る限り日本のメーカーではぺんてるとターナーの2社が販売しています。

どちらもとても良い商品です。小さな子どもたちが筆を使わず手や指で直接描くために作られた絵の具です。共通する特徴としては、とてもノビが良いこと水を加えずにそのまま扱うことができます。また、親の視点で嬉しいのはどちらもアレルギー対策が徹底されていること。原材料には食品衛生法が定めるアレルギー食品を使わず、パッチテストも済んでいます。EUが定める安全基準もクリアしています。

なので、安心して思い切り手で触れて遊んでもらいたいですね。ノビが良いということは絵の具としても扱いやすいということでもあります。メーカーの見解ではなく、あくまでも僕の個人的な見解ですが、僕の思いつく遊び方を少し紹介したいと思います。(誰からも何ももらってません笑)

感触遊びとして

まずは「描く」ということは忘れて、その感触を楽しみます。床やテーブルに養生シートを敷いて、その上に理想的にはアクリル板のような絵の具を吸いこまないものを置きます。トゲのない木製のパネルなどでもOK。絵画用のキャンバスもいいですし、なければ紙でも良いです。紙の端で手を切らないようにご注意を。汚れても良い格好で遊びましょうね。

それらの上に絵の具をまずは1色、垂らしてみましょう。最初は赤ちゃんも恐る恐るだろうと思いますから、ママやパパと一緒にやると良いかも。ノビが良い絵の具ですから感触も面白いんです。「冷たいね」「ぬるぬるだねー」と言葉にしながら遊びます。最初は指、次第に手のひら、慣れてきたら両手と触れる部分を増やしていくと良いと思います。

生後、早くに成熟に向かう感覚が嗅覚と触覚の2つです。赤ちゃんは手で触れることで世界を学習しています。なんでも口に入れてしまうのも、口の中の感覚が鋭敏なためでもあります。だから感触遊びはいろんな意味で刺激的。

色遊び

絵の具の感触に慣れたら、別の色を追加してみてください。まずは2色で色が混じり合う感じを楽しみます。マーブル状に混ざり合う絵の具が次第に別の色に変化していく様は大人でも美しいもの。子どもも色の変化に喜ぶだろうと思います。次第に色数を増やしていくのも面白いですよ。どんどんと色が変化していきます。

コツとしては色相環で反対の色を避けて、近くの色から混ぜていくこと。濁らずに綺麗な色になっていきます。

描く遊び

新しい白い紙を用意したら、手についた絵の具で触れてみます。自分の手の形がついたり、指を動かせばそのまま線が描けたりと、自分の行為がそのまま紙に残る様子を楽しんでください

目で確認をしながら、手を動かすということは赤ちゃんの頃にはとても大切な体験です。僕たちは日常生活の中で無意識のうちに目で情報をキャッチし、手を動かすということを無数に行なっています。字を書く、箸を使う、ボールをキャッチする…。お絵かきも将来のそういった動作のための身体性の獲得につながっていくのではないかと思います。

写し取る

最後はアクリル板等の上で感触を楽しんだぐちゃぐちゃの絵の具の上に白い紙を乗せたら、上から軽く擦って版画の要領で写しとります。これで赤ちゃんの絵画作品の出来上がり。その子の身体から出てきた軌跡ですからまさに世界に一つしかないオリジナル作品となります。

紹介した絵の具はもちろん筆で描くこともできますから、発達や年齢に応じて使い方を変えても良いと思います。成長とともに絵はダイナミックに変化します。準備は少し大変だけど、やるととっても楽しいですよ。大人も一緒に楽しむのがおすすめ。汚れても良い環境、格好を準備して存分に楽しでください。

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