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ホニャララLIVE #071 片山優子(アーティスト)

ライブ終了後、接続を切る前に少しだけ皆でおしゃべりをするのですが、そこでYujiさんの発言がとても示唆に富むものだなと感じました。

いわく今回のゲストである片山優子さんの作品とそのお話は、「日常的な見慣れたものを、アートへとトランスフォームさせる視点は、この時代において誰にとっても非常に重要なものであり、そのヴァイブスを味わい、学ぶことができる貴重なお話だった。」とのこと。発言のニュアンスは多少違うかもしれませんが、言っていたのはこんなこと。(勝手に暴露)

呼応するように片山さんは、モノの使命は一つではないと言います。従来のモノの機能から離れたところに美を見出すことが片山さんの作品作りの根幹をなしています。

トランスフォーム(変容)

片山優子さんはスタイリストとして活躍する日々を過ごす中で、幾つかのきっかけが重なり、ボタンを使用したアクセサリー作りを始めます。今ではほぼ毎日朝から晩までボタンと向き合っているというのだから天命なのかもしれません。

小さなボタンはその集積によって圧倒的な存在感を放ちます。まるで天然石のジュエリーや化石を思わせるような深淵な表情を見せつけます。
写真は片山さんのinstagramより。

興味深いのは、ボタンという小さな工業製品に対して大きな愛情を持ち、それでいて中立の立場からそのものを眺めていると感じた片山さんの視点でした。ボタンを縫いつける作業にはご自身のその時の状態が糸に表れると言いますし、ボタンをしばらく(数週間とか数ヶ月とか色々あるみたい)眺めていると、そのような作品にないたいかをボタンが教えてくれるとも。

主体性を持って能動的に振る舞うことが作品を作る上では重要だと思っていましたが、片山さんの話を伺っていると自分を信じて整えておけば、自ずと作品はやってくるのかもしれないとさえ思えてきます。まるでサーフィンの波待ち状態。良い波を捕まえるためには適度な脱力が必要です。サーフィンしたことないけど。

作品とは個人の何らかの活動の痕跡だと思っていましたが、片山さんの作品はまるで化石や遺跡の発掘のようです。実際の発掘現場が地層を掘るようなものだとすると、片山さんの発掘はたくさんのボタンから溢れる「輝けるぞ!」というエネルギーを手で探るようなものなのかもしれません。

数珠繋ぎ、というかボタン繋がり

もう一つ、この作品の特徴的なところは「身につけられる」ところ。作品が「どうありたいか」を大切に制作をされている片山さんですが、もしかすると作品を手に取り、身につける人のことをどこかで想っているのだろうとも感じます。

ボタンに対する大きな愛情はそのまま身につける人への愛へと繋がります。Yujiさんが「ボタン(button)がバトン(baton)になる」と言っているのですがまさに。

スタイリストからアーティストへと変容を遂げた片山優子さんご自身もまた、ボタンの作品のようになるべくして現在の活動にシフトされてきたのでしょうね。意識的に人生をデザインすることも大切だと思います。ですが、川の流れに身を委ねるようにいつの間にか変容する自分をも楽しめるような、器の大きな人間になりたいものです。自分でも驚く変容って楽しそうでしょう?

そのお人柄、スタイルにも引き込まれてしまう片山優子さん。詳細はぜひアーカイブでご覧ください。

2021年9月12日

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