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ホニャララLIVE #018 小松洋介(リエゾンアドバイザー)

リエゾンアドバイザーという肩書は初めて知りましたが、小松さんにお会いしたのは宮城県の女川町という小さな自治体に関わるものでした。まさにリエゾン(Liaison:関係)を作るようなお仕事をされています。

宮城県牡鹿郡女川町

女川町は観光地としては知名度はそこまで高くないかもしれません。東日本大震災で甚大な被害を負った地域であるにもかかわらず、被災地としても名前が聞こえてくることはありませんでした。被災に関しては被害が大きすぎて声を上げることすらできなかったとか。

ところが、一部の人たちにとってはとても有名な自治体になっている側面もあります。震災から10年。女川町の復興のストーリーはとても興味深いものです。

女川町との出会い

小松さんに話を戻すと、小松さんは震災以前は都内で会社員として生活をされています。震災を機に地元仙台に戻り、何かできることはないかと被災地をまわったそうです。

女川町を初めて訪れた時には、時間もだいぶ更けていたと言いますが、ちょうど商工会(僕の記憶が正しければ)の人たちが打ち合わせをしている場に、自己紹介をしに行ったところ、そのまま会議へ参加することになったそうです。

そして流れるように女川町の町づくりに関わっていきます。そのためのNPO法人を立ち上げ、当時は必要なことは何でもやる組織だったと言います。

その土地に縛らない関係の作り方

小松さんが代表を務めるNPO法人が提供しているサービスの一つに、「おためし移住」というものがあります。人口減少は日本全国どこの地方自治体も抱えている課題ですが、それに対するためにUターン、Iターンの流入を増やそうとします。

お試し移住もそのためのプログラムであり、それ自体は行っているところも他にもありますが、女川町のユニークな点は、定住を勧めてこないというところでしょう。

女川町は定住者を増やすという目標をおそらく持っていない。もちろんウェルカムではあるでしょうし、結果定住する人もいらっしゃいますが、それ以上に住んでいる場所にかかわらず、女川町の活動に関わってくれる人口を増やそうとしているのです。これを活動人口と呼びます。

企業家の町 女川町

同じように創業支援のプログラムも提供されていますが、これも女川町以外の自治体で創業することを、許容しています。「他所で創業したとしても、女川で支援を受けた人は、女川と一緒に何かやりたいと考えてくれる」と小松さんは言います。そういった門戸の広さが女川の魅力であり、人を引きつけるのだろうと思います。

実は今、女川町は企業家の町として有名です。女川町の駅の目の前の商店会には、企業家たちが自分の店を構えています。そして、その商店街でビールを飲んだりしていると、様々な人と交流が生まれます。その中には市長もいらしたりする敷居の低いコミュニティがそこにはあります。

還暦以上は口を出すな

女川の復興に際しては、およそ10年前に商工会議所のリーダーたる60代の男性がこういったそうです。「還暦以上は口を出すな」と。復興は10年かかるもの。そしてそれが評価されるのはさらにそこから10年かかる。つまりはその時に責任をとれる世代が中心になってやるべきだとういことだそうです。

この決断こそが、現在の女川のユニークネスにつながっているのでしょう。

と、ほとんど女川の話になってしまいましたが、これは全て小松さんから伺ったお話。女川の話を「おらが町」の如く関わる人たちのことも含めて、楽しそうに話されている小松さんはとても印象的です。

ちなみに、今回のホニャララLIVEでは、Yujiさんによる小松さんの公開解剖も見どころです。Yujiさんの視点が垣間見えて、自分ごとでなくとも面白いはず。

2020年8月8日


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