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ないならないで構わない

真似ることは学習方法としても古くから行われており、「見様見真似でやってみる」などと言いますが、ごっこ遊びは子どもたちにとっては遊びであると同時に世界、ないしは社会を理解しようとする試みなのかもしれません。

ごっこ遊びとは?

ごっこ遊びは多くの子どもが関心を示す遊びの一つです。何かになりきって(真似て)ストーリーを作ったり、日常の追体験をしたり、ミニカー等を用いて俯瞰した視点で想像遊びをすることなどを指します。

ごっこ遊びに関連するおもちゃはたくさん存在します。おままごとで言えばキッチンやお料理関連のもの。人形遊びならばリカちゃんやお世話人形。ヒーローものならばライダーにウルトラマンに、最近では鬼退治も加わったかな。女の子はプリキュアもありますね。あげればキリがありません。

ごっこ遊び関連のおもちゃは子どもたちにも大好き。床に散乱するミニカーとか、似たようなもの持ってるのにまたそれ欲しいの?みたいなこととか、身に覚えがある方も少なくないのではないかと思います。

道具と遊びの関係

ごっこ遊びは道具が遊びの世界を広げてくれる側面があります。ミニカーを使った遊びならばパトカーや消防車があることで、想像の世界で事件や火事が起きたりもするでしょう。おままごとであれば食器セットがあれば家族の食卓になるでしょうし、調理器具があればお料理が始まります。

遊びはシームレスに接続し、脈々と続いていくことが一つの理想だと考えているのですが、ごっこ遊びとおもちゃの関係はまさに、その接続を補助してくれる側面があると思います。

無題 - 2021年10月4日 23.03 のコピー

では道具が揃っていないと、ごっこ遊びはできないのかというとそんなことはありません。ごっこ遊びは道具がないならないで想像力でカバーして、いかようにも展開できるものです。

ほどよい高さのテーブルや段ボールがあれば、子どもの目にはキッチンやお店やさんのディスプレイ、ダイニングテーブルに見えているかもしれません。ちぎった紙はご飯や炒め物に、トイレットペーパーの芯は缶入り飲料や望遠鏡に見立てて遊びます。

娘が3歳のとき、旅先の滞在場所でしばらく過ごしていました。最初は新しい環境にワクワクし普段あまり出てこない遊びが多かったのですが、環境にも慣れてくると次第にいつも通りのごっこ遊びが出てくるようになります。

とはいえそこは旅先。家のように潤沢におもちゃはありません。その時はたまたま沢山の折り紙があったのですが、折り紙を折ったり丸めたりして様々なものに見立てて遊んでいる様は、とても印象に残っています。

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シンプルとは想像の余白があるということ

この見立てる力は積木などのシンプルで原始的なおもちゃによって、引き出すことも可能だと思います。積木遊びはいくつかの形状の立体物の組み合わせです。それが子どもの頭の中では様々なものになるのだから面白い。むしろシンプルだからこそ、子どもの想像力を邪魔しないという側面も強いと思います。

無題 - 2021年10月4日 23.03 のコピー

独自の哲学で幼児教育にも熱心に取り組んだルドルフ・シュタイナーが使った人形(ウォルドルフ人形)は表情がほとんどない、とても小さな目や口などのパーツが特徴的です。この無表情な人形は、子どものその時々の心情によって、様々な表情を浮かべる顔に見えます。子どもに寄り添うための無表情さとも言えるのかもしれませんし、子どもの分身にもなることができますから、嫌なことがあったときには、子どもたちはその体験を真似る遊びをすることで、自分の中にある不安や怒りを外に排出していくなんてこともあるでしょう。

無いならないで…

ないならないでというのは料理家のケンタロウさんの言葉。遊びにも通ずるものだと思います。シンプルな道具の例が示すように、ごっこ遊びには過度な道具や演出は必要ないと言えます。少しの道具があれば、沢山の想像が広がるのだろうと思います。とはいえ、おもちゃを買うことは悪いことではありません。おもちゃが遊びを誘引する部分も多々あります。何より嬉しいし!

ところで3歳の頃折り紙だけで壮大な物語を紡いでいた現5歳が所有するリカちゃんさんたちは、もはや我が家の最大勢力になりつつあります。
言ってることとやってることにはズレが生じるものです。。

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