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「なぜ?」を捨て置かないことが糧になる

 DACで小説を書いている黒崎きつねです。

 学生時代に書いた卒業論文の内容は「SERVAMP(サーヴァンプ)」の研究だった。
 小説制作と迷ったが、卒業後にがっつり研究はできないだろうと思った。

 マンガは邪道かというと、そうでもない。小説もマンガも表現の仕方が違うだけで、同じ「作品分析」という立派な研究になるのだ。

「SERVAMP」は比較的、元ネタを探すのがたやすい作品だった。技の名前やセリフの引用から作品名がわかったからである。
 シェイクスピア作品、宮沢賢治の作品、不思議の国のアリス、ジーキル博士とハイド氏などたくさんの参考資料を読み漁り、辿った。

 椿の戦争の目的、イヴとサーヴァンプの限界距離の意味、キャラクターのセリフの意味など、疑問を紐解いていくのは性に合っていたようで、「二万字以上」という指定をはるかに超えて三倍ほど書いた。

 その時分析したことが、今の制作に生きていると実感する。今でも参考資料とまではいかないが、物語の構造や人物の成長速度などを分析することがある。

 卒論の本来の目的は学んだことを社会に還元することだが、好きなものを突き詰めることで見えてくるものがある。オレが知ったのは、「作品内のささいな設定に意味があり、また人物の行動にも複雑に絡んだ理由があること」だった。

 これを現実世界に置き換えると、「なぜこの人は怒っているのか」「なぜ話したがらないのか」その奥行きを考えるだけの視野を獲得したということだ。
「なぜ?」という疑問を捨て置かずに考えること。それが大学で身に着けた、最も尊いものである。
 分野は邪道でもいい。それがいつか糧となる。

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