TRPGシナリオ執筆のTips①

昨年一年で随分とシナリオを書いてきたし、少しは書き慣れてきた気がする。今まで書いたシナリオはどれも面白いと自負しているんだけど、過去のシナリオを読むとやはり拙いと思う。ここでは、シナリオ執筆の手順や心掛けていることに加えて、過去の自分のシナリオは何が悪かったのかについても書こうと思う。全3回くらいに分けて書く予定。

シナリオの書き出し

シナリオ執筆は数年前からやっていて、昨年は特にたくさん書いた。だからこそ「シナリオをどうやって書いているのか」という問いについては、21年5月時点では明確な答えが出せなかったが、今なら答えられる気がする。

とは言え、CoC(特に6版)は戦闘が面白いフォーマットでは無いから、それを前提に書くことになる。以下の持論はCoC、エモクロアあたりには応用できても、他のフォーマットには向かないかもしれないことを先に注意しておく。

私がシナリオを書くにあたって最初に考えることは以下の3つの何れかだ。
・テーマ、モチーフから決める
・シーンから決める
・システムから決める
この3つの何れかが、物語の取っ掛かりになる。他の記事でも色々書かれているが、私はこの3つに大別できると思う。まずはここから考えて、起承転結を組み立てていくのが良い。
起承転結を考えるのも重要だが、シナリオにおいてはこの最初の作業が最も重要であると思っている。というのも、ここで興味深いテーマや、魅力的なシーン、面白いシステムを考えつくかどうかが、同時にシナリオが良くなるかの分水嶺であるからだ。

・テーマ、モチーフから決める

これは最もやりやすい方法である。興味深いモチーフやテーマがあれば、それを参考にしてシナリオを考えるのは簡単である。例えば神話生物でも良いし、歴史的事実でも良いし、最新の科学技術の記事でも良いし、はたまた日常の謎でも、普段聴いている曲でも良いだろう。ここで重要なのは、著者にとって「興味深い」ことである。選んだテーマについて、共通項を持つ別のモチーフを組み合わせるのも効果的である。

例) 神話生物として「アイホート」を出したい。
→ 連想されるテーマ:胎児、妊娠
→ 胎児よ、胎児よ、何故躍る(ドグラ・マグラ)
→ 受胎告知、処女懐胎(キリスト教)
→ カッコウの托卵 → 元の胎児が変貌するという設定はどうか
→…

・シーンから決める

セッションを重ねて探索者のキャラクターが固まってきたら、あるいは自作のキャラクターがそこに居たら、ああ言ったら面白いだろうなと思うことがあるだろう。そういったアイデアもまた、シナリオ作成に役立つことがある。そういう意味で、この方法はキャンペーンセッション向きであるかもしれない。または、自作のキャラクターで強烈な幻覚を見られる人向きか。

例) あるシーンで歌い出した探索者が居た。
→ どうして歌ったのかの理由付けをしたい
→ 歌に関する未練、あるいは強い希望を感じるシーン
→ 探索者には歌を教えてくれた人が居た
→ その人は探索者にとって大切な人であるはず
→…

・システムから決める

TRPGのフォーマットによっては、目立たない所(あるいは使い古されたルールにも)に面白いシステムが組み込まれていることがある。これを積極的に利用するのは良いアイデアだ。一方で、この方法はシナリオ作成初心者向けではない。ルールに熟達する必要があるし、ルールブックは必ず所持している必要があるし、更にはサプリメントまで買う必要があるからだ。
あるいはルールを追加で決めてしまうという手もある。こちらの方法はいくらか簡単で、シナリオ進行上面白いあるいは必要なギミックを、明文化するだけで良い。

例) ある事物に対する「気付き」を加算したい。
→ <アイデア>で判定させよう
→ 成功数をカウントするだけでは味気ない
→ SAN値チェックのように成功/失敗で加算値を変動させよう
→ アイデアチェックとしてPLに明示しよう
→…

とりあえず、シナリオの書き始めはこんなものだろう。新年早々TRPGのことしか頭にない。きっとまた気が向いたら、「シナリオの書き進め方」についての記事を書こうと思う。ではまた。

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