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雨が降ると虹が出る

いつでも笑顔の絶えない関係がいいよね

まだ10代のわたしは、当時付き合っていた彼によく言っていた。少し年上で、こちらばかり喋ることが多かったけど、話も趣味も合うしいつも楽しかった。

悲しいときとか辛いときのほうが、大事なんだよ

彼はよくそう答えた。楽しいときに楽しいのは当たり前でしょう。逆のときに側にいられることの方が大事だと思う。子供だったわたしは、わかった顔をしてうなづく。わかってないね、とすぐに突っ込まれた。


付き合っているときに、家族を一人亡くした。彼もよく会ってくれていたので、お通夜から最後まで一緒にいてくれた。

長女だから、泣いてはいけないと思った。しっかりしなければ。意気消沈する両親や親族に一生懸命寄り添って慰めの言葉をかけて、常に少しだけ微笑んでいたと思う。

悲しいのかどうかもわからないくらいショックで、とにかく2日間必死だった。終わった頃にはほっぺたが痛くて、実家の車ではなくて彼氏の車で家まで帰った。

運転をしながら、彼は泣いた。

それを見て、わたしもようやく泣いた。

漫画みたいにワンワン泣きながら(でも安全運転で)わたしたちはおうちに帰った。


楽しいときに楽しいのは当たり前でしょう。

逆のときに側にいられることの方が大事だと思う。

本当にそうだね、と泣きながら思った。力強く励ましたり黙って慰めるのではなく、そのときにわたしに必要なのは一緒に泣いてくれることだった。わぁわぁ泣いて、ちゃんと自分の感情に向き合えたので、少し時間はかかったけど今では元気。

あのときに一緒に泣いてくれた彼氏は、夫になって今も隣にいる。笑顔の絶えない家庭だけど、悲しいときや辛いときにはふたりでしっかりしょんぼりする。しょんぼり向き合えば、また笑顔になれるから。

ああ、この人に会えてよかったな

喜怒哀楽を共にするたびに思うのだ。



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