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5匹の元野良猫と下町に暮らしている。 いま、そのうちの1匹は目には見えない。 脳障害の…
アニはいつもリュックサックのショルダーストラップが捩れ、肩からずり落ちた状態で背負って…
アニは考えを言葉にするまでに時間を要する。それは数週間から数ヶ月に及ぶ場合もあり、アニ…
私は義父母と言葉を交わしたことがない。 義母は20年近く前に他界しており、義父について…
アニは数ヶ月という短い期間だが、路上生活を送っていたことがある。 春の終わり、保釈さ…
──お兄さんは普通じゃないと思います。 警察署での聴取の終わりに差し出された一冊の手…
──ずっと独りで、寂しくありませんでしたか。 ──いずれ結婚をしたい、という思いはありませんか。 第三者からの客観的かつ一般的な問いかけは、家族の力では開けないアニの脳内を見せてくれる。この質問は、アニの起こした事件に関心を持った新聞記者が取材に訪れた際に訊ねたものだ。この二つの問いに、アニは「いいえ」と即答していた。 中学3年生の時に脳梗塞を起こして以来、人知れず高次脳機能障害と共に生きてきたアニは、弟である夫の記憶では、高校、大学、社会人へと成長していくなかで次第
義母が遺した手帳に記された、当時のアニの主治医と思われる医師の苗字を手がかりに、その人…
アニは極度の偏食家だった。 子どもの頃からほとんどの野菜を口にしなかったという。魚も…
義実家を訪れたのは、アニの逮捕から一週間ほど経ってのことだった。 逮捕を知るきっかけ…
アニ(義兄)との初めての対面は、留置所のアクリル板越しだった。逮捕から四日後のことであ…